畑野君枝議員は14日の衆院文部科学委員会で、芸能従事者の不安定な働き方や、未成年の芸能従事者が自死した事案を紹介し、文化庁・文化芸術活動基盤強化室の対応を求めました。萩生田光一文部科学相は「文化芸術の担い手を支援するために基盤強化室をつくった」と応じました。
畑野氏は、4月から認められた芸能従事者の労災保険特別加入について、認定基準が「契約に基づき報酬が支払われる作業」とされるものの、契約書がない場合が多いと指摘。三原じゅん子厚生労働副大臣は「契約書がなくても、労基署が業務の発注や支払い等の実態を調査し、適切に対応する」と答えました。
畑野氏は、撮影現場でのハラスメントへの対策を要求。性的なシーンなどで俳優が意に沿わない演技を強要されないよう米国では制作側と俳優側の仲介役としてインティマシーコーディネーターを起用していると指摘しました。矢野和彦文化庁次長は「どのような支援が必要か検討する」と答えました。
(しんぶん赤旗2021年4月28日付)
【議事録】
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
この一年間、新型コロナ感染拡大の中、文化芸術の灯を消すなと、文化芸術関係者の皆さんが声を上げ続けてこられました。当委員会でも、萩生田光一文部科学大臣に、私も繰り返し、文化芸術への支援を求めてまいりました。
そこで、まず初めに、厚生労働省に伺います。
労働者災害補償保険法施行規則が改正され、法第三十三条第五の特別加入の対象として、省令で定める種類の作業に従事する者に、これまで長きにわたり対象とされてこなかった、俳優やフリーランスの芸能従事者、アニメーション制作従事者らが追加されました。
どのような考え方から今回の措置を可能とされたのか、三原じゅん子厚生労働副大臣に伺います。
○三原副大臣 お答えさせていただきます。
労災保険の特別加入制度は、労働者以外の者について、業務の実態、災害の発生状況等から見て労働者に準じて労災保険により保護することがふさわしい者に、一定の要件の下に労災保険に特別加入することを認めているものでございます。
フリーランスとして働く方の保護を図るため、特別加入制度につきましては、昨年六月一日より、労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会において対象範囲の見直し等に関わる議論が行われまして、日本俳優連合等からもヒアリングを行ってきたところでございます。
これを踏まえまして、厚生労働省としては、特別加入制度について、芸能従事者等の方を対象に、四月から拡大したところでございます。
対象の拡大につきましては、今後とも、要望等を踏まえて進めてまいりたいと思っております。
○畑野委員 日俳連の話もございましたが、この委員会でも議論になってまいりました。大きな前進だったというふうに思います。皆さんが本当に声を上げてこられ、またそういったことも反映されたということでございます。
そこで、続いて伺いますが、厚生労働省の三月九日付通知、少し長いのですが、申し上げますと、労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する政令及び労働者災害補償保険法施行規則及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行等についてというこの通知では、芸能関係従事者の労災認定に関わる業務遂行性について、契約に基づき報酬が支払われる作業とされております。
昨年十二月二十五日に文化庁が発表した文化芸術活動に携わる方々へのアンケートの調査結果では、個人として活動している方の六二・八%、雇用されている方の五九・三%が書面による契約を交わしていない状態だというふうに言われております。
そこで伺いたいのですが、契約に基づき報酬が支払われる作業とは、契約書を交わしていないという場合でも、業務の実態を見て判断するということでよろしいのでしょうか。具体的にお答えをいただきたいと思います。
○三原副大臣 委員御指摘のとおりでございます。
芸能従事者の労災認定の判断基準は、契約に基づき報酬が支払われる作業を業務遂行性を認める範囲としております。
今先生おっしゃっていただいたとおり、芸能従事者については、書面による契約書が取り交わされていない場合というのが大変多うございます。その面も想定されますので、その場合においても、労働基準監督署において発注や報酬支払いの実態等の調査を行った上で適切に判断することとしております。
○畑野委員 この芸能従事者の現場の実態をよく御存じだと思いますけれども、例えば電話で、何月何日よろしくねという話があるわけですよね。今はなるべくLINEで、文書に残すように努力はされているというんですけれども、なかなかそういう慣行がない、そういう現場だというふうに思いますので、是非、国としても、実態をよく見て、それに即して進めていただきたいということを重ねて申し上げておきたいと思います。
三原じゅん子副大臣におかれましては、お忙しいと思いますので、御退席いただいて結構です。ありがとうございました。
○左藤委員長 御退席をよろしく。ありがとうございました。
○畑野委員 今お話がありましたように、コロナ禍で、文化芸術に携わる方々が、通常の労働者を守るルールの蚊帳の外に置かれ続け、経済的な面はもとより、人権保障の面からも劣悪な状態に置かれてきた実態が浮き彫りになってまいりました。
芸能従事者の労働実態の改善にとって、今お話があった労災の特別加入が認められたことは一歩前進ですけれども、この流れを更に広げていく必要があると思います。
文化庁は、今年度予算で、芸術家等の活動基盤整備強化及び持続可能な活動機会の創出として、芸術家等の事業環境及び持続可能な運営に関するモデル事業を実施するとして、事業を推進するために、四月に文化芸術活動基盤強化室を設置したと伺っております。
特に芸術家などの事業環境の調査分析に関して、その必要性をどのように認識されているのか、伺います。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
文化芸術の担い手は、先ほどもやり取りの中にございましたとおり、小規模な団体やフリーランス等、流動的な雇用形態で活動される方が多く、今般のコロナ禍では、その社会的、経済的な不安定さが顕在化いたしました。文化芸術活動支援事業でも、書面によらないというこの業界の習慣に、私どもも正直なところ、かなりてこずったというところでございます。
今後、こうした担い手に持続可能な形で活動を続けていただくためにも、健全な事業環境を確保することが重要であり、担い手の活動実態や経営実態の把握とともに、担い手が実際に直面している課題の背景等の分析が必要であるというふうに考えております。
本年四月に設置しました、今委員から御指摘のございました文化芸術活動基盤強化室におきましては、実態調査等を通して、環境改善のための支援に努めてまいりたいと考えております。
○畑野委員 是非進めていただきたいと思うんですね。
これができないのはけしからぬということではなくて、そういう実態があるということを前提に、それにふさわしい支援を進めていくことが大事だというふうに思います。もちろん、当事者の皆さんの御努力も、それはあると思うんですけれども、そうした現状に即したものにしていただきたいと思っております。
例えば、俳優であれば、芸能プロダクションに所属し専属契約を結んでいるが、プロダクションが雇用している関係になく、撮影の仕事を紹介するだけとか、俳優は撮影に関する具体的な指揮命令を制作会社や監督から受けるが、制作会社や監督に雇用されているわけでもない、こういう実態があります。俳優本人が制作会社や監督からの指示を拒否できるだけの自立的な立場かといえば、それは不可能に近いのが実態であり、また、個人事業主とも言えないということもございます。
このように、俳優の働き方は、誰が雇用主なのかはっきりせず、労働基準法第九条の労働者性の判断が困難で、賃金未払いや一方的な仕事のキャンセルに直面しても、労働者としての保護が受けられない場合がほとんどだというふうに伺っております。
関係者の皆さんからは、既存の労働関係法令とは別の枠組みが必要ではないかとの意見もあります。
伺いますが、実態把握を行い、セーフティーネットを検討するのであれば、こうした可能性も含めて、排除すべきではないと考えますが、いかがでしょうか。
○矢野政府参考人 文化芸術分野では、契約書を作成する習慣が根づいておらず、今委員から御指摘のあったとおり、雇用主がはっきりしないなど、担い手である方々の不安定さを生み出す契約慣行も見られるところでございます。
こうした課題に対処いたしますため、流動的な雇用形態で活動する芸能従事者などの実態調査、環境分析等を実施するとともに、書面による契約の推進、これはすなわち、関係をはっきりさせるという意味でも書面にするという契約慣行の改善が必要だというふうに考えていまして、その取組を文化芸術界と協力しながら推進する必要があると考えております。
こうした取組を通じまして、文化庁としては、芸能従事者を始め、文化芸術活動の担い手が持続的に活動を続けられるよう、こういった大きな観点から事業の改善をするというのが私どもの役目だというふうに考えております。
○畑野委員 現場の方が、書面にしてくださいと言っても、じゃ、あなたは来なくていいですよと言われる、そういうこともあるわけですから、これは是非、業界全体等も含めて、文化庁が旗振り役となっていただきたいと思います。
二〇一八年に、芸能活動をしていた未成年の女性が自死する事件が起きました。私も御遺族からお話を伺いましたが、所属事務所から、芸能活動をめぐって、辞めたいと言ったら一億円の損害賠償を支払うように迫られ、その翌日に自死されたということです。心から哀悼の意を表します。
しかし、この間、こういった方たちを含めて、未成年芸能従事者の自死について所管する省庁が明確でなかったということがございます。どこに相談したらいいのか分からないということでした。こういうことを繰り返させてはなりません。
文化芸術活動基盤強化室がそうした事案の受皿になるべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
○矢野政府参考人 未成年の芸能従事者の自殺につきましては、大変痛ましいことでございました。
芸能従事者の業務環境に関しては、パワハラや不当な労働実態が生じないよう、文化庁といたしましても、関係省庁と連携しながら改善に取り組んでいくことが必要であるというふうに考えております。
文化庁としては、文化芸術活動基盤強化室を中心に、流動的な雇用形態で活動するアーティストなどについて、先ほども申しました雇用契約も含めた実態の把握をしっかりと図っていきながら、その成果を踏まえた改善に努めてまいりたいというふうに考えております。
○畑野委員 萩生田大臣にも一言御所見を伺いたいと思うんですけれども。
例えば、この方は高校生なんですけれども、なかなか高校にも通えないと。学校内のことだったら文部科学省になるんだけれども、いや、この方は芸能従事者でしょうというと、じゃ、経済産業省なのですか、労働者なのかどうか、厚生労働省なんですかと、本当に担当することがなくて、御遺族の方も、どこに相談していいのか分からないということで、国会に来られたときには厚生労働省と文化庁に来ていただいて、お話をやっと聞いていただけたということもあったんですね。
こういう、未成年の芸能従事者の方への支援というのも、文部科学大臣あるいは文化庁を担当されている大臣として是非検討していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○萩生田国務大臣 今ほど、未成年の芸能従事者の自死についてのお話がありましたが、私も、未来ある若者が自殺をするというのは大変痛ましいと思っております。
文化芸術は、国民の心に癒やしや生きる活力を与えるものであり、その担い手であるまさに芸能従事者の皆様が生き生きと活動できるよう支援するのが文化庁の役割だと認識しています。
今回、文化芸術活動基盤強化室を設置しました。一歩前進だと評価いただけると思うんですけれども、このコロナを経験して、文化に携わる人たちの就労形態が多岐にわたっているなということがよく分かってまいりました。また、フィーの支払い方なども、これも本当に様々なものがあって、なかなか我々が今まで知らなかったことも数多くあったんですけれども、やはり、逆にこのコロナ禍をプラスにできるように、文化芸術に携わる人たちの応援ができる文化庁になるべきだということでこういった組織をつくらせていただいたところでございまして、仮に、その対象者が未成年であったり学生であるとすれば、これは文科省や文化庁も、しっかり寄り添っていくという姿勢は常に持っていたいなと思っています。
○畑野委員 是非、そういう点では、文化芸術活動基盤強化室というのがつくられたということでございますので、進めていただきたいというふうに思います。
そこで、更に伺いたいのですが、三月二十四日に、現代美術作家らでつくる表現の現場調査団が、表現の現場におけるハラスメント調査の結果を発表いたしました。
回答した千四百四十九人のうち、過去十年以内に、セクハラ経験があるが八〇%、パワハラ経験があるが九〇%となっております。紹介されている具体例では、舞台の当日、急に衣装を水着に変えられた、三十代女性、俳優、殴る、蹴るの暴行を受け、それを撮影され、映画として公開された、三十代男性、映像関係者などの実例です。私も聞いて、本当にこれはひどいと思いました。
調査結果をまとめたコメントでは、こうしたハラスメントが常態化、横行する背景に、表現の現場では、特に権力構造における、つまり、力を持っている若しくは高い役職や地位に就いている層のジェンダーバランスの不均衡の問題がある、また、表現の現場に従事する者の多くがフリーランスであり、法的保護の対象外であることも大きな原因として挙げられていると指摘しております。
三月二十六日に、総務省、文化庁、厚労省、経産省連名で出された芸能従事者の就業中の事故防止対策等の徹底についてという通知は、放送番組等の制作を受注し、制作管理を行う制作管理者に対し、安全衛生対策の確立とともに、作業環境、相談体制の整備等として、芸能従事者がストレスなく作業できるよう、トイレや更衣室も含めた環境整備、トラブルやハラスメントについて相談できる体制の整備への配慮を求めています。トイレや更衣室がないという話も伺ってまいりました。
ハラスメント防止について、例えば、フランス国立映画センター、CNCは、撮影や制作においてセクハラを発見し、防止する目的で、エンタメ業界で働くプロデューサーを対象にワークショップを開催しているということです。今後は、そのCNCの補助金の対象となるために、こうしたワークショップの修了を要件とするということなんです。
伺いますけれども、こうした海外の取組も参考に、例えば、日本でも、文化芸術団体を支援する補助金の申請要件にハラスメントに関する研修事業を必須とし、その費用を支援するなど、できることから具体化するべきではないかと思いますが、いかがですか。
○矢野政府参考人 お答えいたします。
映画等の芸能従事者へのハラスメントの防止につきましては、先ほど御指摘のあったとおり、関係各省が連名で通知をしたところでございますが、現場におけるハラスメントの相談体制の整備等の配慮についてお願いしております。
また、映画制作におけるハラスメント防止につきましては、映画制作会社において撮影前にハラスメント対策の研修を実施しているような例がございますとともに、映画業界が作成中の映画制作についてのガイドラインにおいてハラスメント防止について盛り込む予定であるというふうに伺っておりまして、我々としても、やはりこういう好事例を横展開していくということは必要だろうというふうに考えております。
また、さらに、映画撮影現場におけるハラスメント防止については非常に重要であるというふうに認識しておりまして、撮影現場における取組を注視しつつ、ハラスメント防止についてどういう支援ができるか、今後、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
○畑野委員 萩生田大臣の御所見も伺いたいと思います。
ハラスメント対策、これはもう、現代ではあってはならないという、当然の対策が行われるべきだというふうに思いますが、文化芸術の分野でのハラスメント対策についての御所見を伺います。
○萩生田国務大臣 今、文化庁の次長も答弁しましたように、現場でハラスメントがあるということはあってはならない、大前提だと思います。
他方、私は、舞台の練習ですとか映画の撮影現場とかに立ち会ったことがあるんですけれども、もう時代がどんどん変わってきましたから、今どき、大声を出して、罵声を浴びせる監督さんというのは余りいなくなったんだと思うんですけれども、俳優さんが泣くまで叱って、そのまま延長で撮影をして、でき上がったものは非常にいいものに上がっているなんという、芸術がゆえに、我々とはちょっと違う感覚の方がいらっしゃることも現実問題としてはあるのかなと思うんです。
ただ、それが、受け手によっては、もうその仕事が嫌だと思うようなやり取りは、これからの時代は全然なじまないと思いますので、今先生から提案があったようなことは、やはり芸術に携わる全ての分野、ジャンルの皆さんにしっかり守っていただいて、まあ、スポーツもそうですよね、昔は、体罰は当たり前みたいな時代がありましたし、夏場に水を飲むなという指導をしていたわけですからね。
もう時代の変化とともにそういう間違いはどんどん正して、新しい時代にふさわしい芸術であってもらいたいなと思いますので、そこはしっかりウォッチをしていきたいと思っています。
○畑野委員 やはり、偽物の芸術であってはならない。つまり、演じる人が苦しんだ映像を何か芸術作品のように評価するというのは、私は違うと思うんですよね。つまり、その方は物すごく心にストレスを抱えるから、うつ病を発症したり、普通はメンタルケアを諸外国ではやっているというんです。例えば、犯人の役とか大変な役をやったときに、それに憑依をするではないですけれども、本当に苦しむのが、その後俳優に起きているという話も伺いました。やはり、一人一人の俳優の人権を大事にする、そういう現場になっていく必要があるというふうに私は思います。
次に伺います。
映画やテレビドラマの制作では、俳優側に比べ、制作側の力が圧倒的に強いのが実態だと思います。監督が様々な演技を要求し、断り切れずに不本意な撮影が行われることも多いと言われております。
アメリカでは、特に性的なシーンの撮影で、制作側と俳優側の仲介役となって交渉や演技のサポートをするインティマシーコーディネーターを起用することが増えているということです。日本にはそういう方は数名しかいないということですが、表現の場におけるハラスメント被害を防ぐために、こうした専門人材の養成も検討していく必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御答弁申し上げましたとおり、映画業界が作成中の映画制作についてのガイドラインにおいてハラスメント防止についても盛り込む予定であるというふうに伺っておりますけれども、ハラスメントの被害を防止する取組を促進するということを、文化庁としても重要であると認識いたしております。
映画撮影現場における取組を注視しつつ、今、私ども初めてお聞きするような御指摘でございまして、御指摘の職種についてどのような支援が必要であるかも検討してまいりたいというふうに考えております。
○畑野委員 私もこの間初めて伺いまして、こういう仕事があるんだと。是非検討していただきたいと思います。
二〇二〇年度第三次補正の、コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動の充実支援事業、いわゆるアーツ・フォー・ザ・フューチャー事業について伺います。
補助対象が団体に限定されているのではないか、あるいは概算払いがされないのではないかなど、関係者から様々な意見が寄せられています。事業の具体化に当たってはこうした点についてきちんと対応するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
また、団体は任意団体も対象と伺っておりますが、これは具体的にどのようになるのか、伺います。
○矢野政府参考人 お答えいたします。
令和二年度の第三次補正予算の、コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動の充実支援事業、いわゆるアーツ・フォー・ザ・フューチャーについては、個人について対象として考えてはいないところでございますが、団体の公演等の開催を支援することが個人が活躍できる場を確保するというふうに考えておりまして、この積算も、個人、何人が関与するか、従事するかで補助金の額も決まってまいります。その際、個人として公演活動等の主催者の実績を持つ者が中核となる任意団体も対象とすることとしております。
今後とも、団体を介して支援が個人に確実につながるように取り組んでまいりたいと考えております。
概算払いについては、現在、関係者から御意見を踏まえて検討しているところでございます。
○畑野委員 結果的には個人も対象になり得るということなんですけれども、大変分かりにくいので、じゃ、何人になったらその実行委員会形式とか任意団体になるのかというのを、もう少し詳しく、具体的にしていただきたいというふうに求めておきます。
大臣、この一年間、フランスの失業保険のアンテルミタンとか、あるいは文化芸術復興基金に、国も支援して、つくろうではないかとか、いろんな議論をしてまいりました。今後、コロナの状況がどうなっていくか分かりませんが、本当に不安定な芸能従事者の皆さんを、安定的に活躍していただくために、もっと踏み込んだ対策を考えていく必要があると思うんです。
その点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
○萩生田国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたとおり、今回の経験を踏まえて、文化芸術に携わる人たちの就労形態というのは様々だなということをよく文化庁も理解したと思います。
やはり、一人一人役割があって、誰一人欠けてはならないわけでありまして、そういった人たちが、仮にこのコロナが更に続いて、舞台や練習の機会を失って、この分野から去ってしまうことがあれば、コロナが去った後に充実した文化活動の再開ができなくなる可能性があるわけですから、そういう意味では、応援したいという気持ちは十分あります。
他方、なかなか、その人がこういう人だということを客観的に評価する評価の仕方の難しさというのも感じているところでございまして、全ての団体を、小規模だろうが、大規模だろうが、上場企業だろうが、全く同じように扱いをした方がきっと分かりやすいんだと思うんですけれども、そういうことが、なかなか踏み込めないために、今次長が答弁したような中身になっているというのが正直なところです。
提案のあった概算払いについては、関係者の皆さんから御意見をいただいておりますので、是非前向きに検討したいと思いますし、また、今後まだこのコロナの状況が続くとすれば、次なる手をしっかり打って応援を続けていきたい、その気持ちには変わりございません。
○畑野委員 これは引き続き議論をしてまいりたいと思いますが、是非前進させていただきたいと思います。
最後に、「#教師のバトン」について伺います。
厳しい勤務実態を訴える投稿が多く寄せられております。実は私、二〇一八年に、教師の持ちこま数の削減に向けて、やはり教員の配置をしっかりと、定数改善を行うべきじゃないかという議論をしてきたんですが、大臣、今後どのように対応されるおつもりか、伺います。
○義本政府参考人 お答えいたします。
三月二十六日から「#教師のバトン」を始めましたけれども、委員御指摘のとおり、現場の先生方から、長時間勤務の実態ですとか、部活動の重い負担を訴えるというふうな内容が多く寄せられたところでございます。
文科省としましては、これをしっかり受け止めて、働き方改革をしっかり進めていかないといけないと思っているところでございます。
持ちこま数の問題等につきましても、今後、いろんな形で精査させていただきながら議論をさせていただきたいと思っているところでございます。
○萩生田国務大臣 持ちこまに限らず、学校現場の先生方の働く環境を変えて、子供たちと向き合う時間をしっかりつくっていくというのが私の基本姿勢で、その改革を今始めたところでございます。三十五人学級も一つの方法だと思いますし、今まさに免許の更新制なども中教審にお諮りをしているところでございまして、何か一つやれば全てみんなよくなるわけじゃないので、総合的にしっかり見直しをしていきたいと思います。
それで、一日のうちに、やはり先生方が、少し間の時間があって次の準備ができるとか、そういう環境も必要だと思いますし、また、いつも申し上げているように、小学校の五年生、六年生、高学年になったら、やはり理科だとか体育だとかは専科の先生にやっていただいて、専科の先生が入ってくれば、その分担任の先生は時間が空くわけですから、持ちこまのみならず、全体的に教員の働き方を変えていく、そういう努力をしていきたいと思います。
このハッシュタグが、いろいろ現場の悲痛な叫びが出ていまして、真摯に耳も傾けて、私は、逆に言えば、知っているつもりでいたので、世の中の人に一緒に知ってもらういい機会だなというふうに思っております。
一点だけこの機会に申し上げさせていただくと、私、是非品よくと言ったのは、初期に、死ねとか、ちょっと耐え難い書き込みがあったものですから、それに対して申し上げたんですけれども、案の定また切り取られて、大臣が都合のいい発言だけをしろと言っているかのように言っているんですけれども、どうぞ引き続き、御批判があったらどんどんしてください。
○畑野委員 時間が参りましたので、是非、免許更新制も廃止にしていただく、少人数学級は更に進めていただく、そして、基礎定数の算定基準数値の改善、乗ずる数を含めて改善をしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。