今夏の東京五輪・パラリンピック大会中、会場外で競技を大型スクリーンで中継するライブサイトが全国250会場余りで計画されていることが2日、衆院文部科学委員会の畑野君枝議員の質問で明らかになりました。
東京五輪・パラリンピック組織委員会の布村幸彦副事務総長が答弁しました。
さまざまなイベントも行うライブサイトは、自治体と組織委が共同して行うものが19自治体30会場で計画され、地方自治体独自のものは145自治体227会場(2019年8月時点)の申請があります。
組織委は「現在、コロナ対策のあり方を含め、各自治体で調整を進めている状況」としていますが、これに加え、1日からパブリックビューイング(PV)の申請も始まっており、今後さらに増えることが予想されます。
ライブサイト、PVについては、コロナ感染症の専門家から「人流が増えることが懸念される」「これはもう論外だ」と共通して感染拡大につながるとの指摘があり、さらなる批判が起きそうです。
東京都渋谷区の代々木公園のライブサイト計画には反対署名が広がり、都は1日に五輪期間中の中止を決めています。都の当初の計画では、都内10会場で1日9万5千人以上、総計で285万人の来場を想定していました。
(しんぶん赤旗2021年6月3日付)
【動画】→https://www.youtube.com/watch?v=w2DpxHBbWl0
【2021年6月2日衆議院文部科学委員会議事録】
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。 東京オリンピック・パラリンピック競技大会特別措置法の一部改正案について、提出者に伺います。
必要な医薬品の持込み等に対する本法案の特例措置は、ADHDの選手の治療に関わるもので、その必要性については理解するものですが、しかし、現在、その大会を開催することそのものが鋭く問われており、我が党は、大会の開催の中止とコロナ対策への集中を政府に迫っているところです。開催を前提とした立法は容認できない。 本来、政府内での調整の下、閣法で対応すべきものを対応できず、議員立法として急遽対応しようというものであると考えますが、どのようにお考えですか。
○馳議員 大会の開催については、本来は、IOC、そして、開催地を提供する東京都においてそれぞれ判断されるものと思っています。
今国会の法律においては、まさしく参加資格のある者が一定のルールの下に参加できるような状況をつくり出してほしい、こういう要請に基づいて措置をしたものでありますので、大会の開催、厳しい状況ということは私も自覚をしておりますが、それと、今回の、資格のある者が参加できるようにしようという特措法の趣旨とは一定のやはり違いがあるということは御理解いただきたいと思います。
○畑野委員 本法案の内容そのものが、やり方そのものも含めて、コロナ禍で突き進む、そういう政府の開催準備の不備を如実に示していると申し上げます。泥縄式に開催に進むのではなく、大会を中止してコロナ対策へ集中すべきだということを重ねて申し上げます。 この夏のオリンピック、パラリンピックが、開催そのものの是非が今問われております。開催できる状況なのかどうかということを前提として議論するべきだと私は繰り返し求めてまいりましたので、次にその点について質問いたします。
まず、ホストタウンについてです。
丸川珠代大臣は、六月一日の閣議後の会見で、事前キャンプや事後交流を取りやめた自治体が百五に上るとおっしゃいました。その後、いかがでしょうか。
○丸川国務大臣 毎週集計をしておりまして、毎週ということでもない、週に二回のときもあります。今のところ百五でありまして、実は我々、報道を見て、見つけたものは全部御連絡をして、実際のところいかがでございますかということを確認しております。
我々としては、全国九ブロックにまずブロック責任者を置いて、かつ各県担当者を置いて、実に丁寧にお声を聞いておりまして、受入れを取りやめるという方もいらっしゃれば、いや、実はまだ交渉しているけれども、取りやめみたいな報道をされちゃったけれども我々はやる気でいるというところもありまして、非常に、今、担当職員まで置いて、首長のリーダーシップの下で実現努力を重ねてくださっている自治体に、本当に感謝を申し上げたいと思います。
○畑野委員 そうすると、百五止まりだと。
昨日、たしか二つの自治体で取りやめという話がありましたよね。ですから、それは御認識ございますか。
○丸川国務大臣 これも、報道で出てきますと、まずお問合せをしてということですので、理由がいかなるものだったかということまで今把握はしておりませんけれども、しっかり、これからもサポートできるところはきっちりやってまいりたいと思っております。
○畑野委員 本当に皆さん心配をしているわけです。 それで、二つ目に、ボランティアの問題です。
都市ボランティアですけれども、大量に辞退が進んでいる。札幌市、マラソン、競歩などで、五百二十九人中辞退者百七十六人、宮城県、サッカー、千七百人中六百人、千葉県、フェンシング、レスリングなど、二千八百二十六人中千八十三人というふうに聞いております。 組織委員会としては、こういう事態は把握されていますでしょうか。全体のボランティアの数と辞退者数、またその理由について伺います。
○布村参考人 お答えいたします。
ボランティアには、大会ボランティア、これは組織委員会が募集しております、また、各自治体が募集される都市ボランティアがございますが、組織委員会としては大会ボランティアの方で御説明を申し上げます。
登録者八万人のうち、今年の二月の時点で既に約一千名を超える御辞退があったところでございますけれども、その後も、コロナ感染への不安に加えて、シフト表を受け取って実際に活動が難しいと感じて御辞退をされた方、あるいは、四月の異動、就職、引っ越しなどの御自身の環境の変化により活動が難しくなって辞退される方もいるという状況でございます。 一方で、オリンピック、パラリンピック片方だけだったのを、両方で活動いただける方も増えている、そのような状況の中で、大会の顔としてのボランティアの活動について、現在、最終的な確定に向けて取り組んでおります。
○畑野委員 都市ボランティアについても、しっかりとつかんでいただきたいというふうに思います。
千葉県の熊谷知事が、組織委員会が幕張のホテルを大量予約も、情報共有されずと御発言をされていました。 このような事態はあるんでしょうか。どのような対応をされていますか。
○布村参考人 お答えいたします。
選手の方は、基本、選手村に宿泊されることになりますが、大会に関わる関係者のため、会場周辺などに組織委員会としてホテルを手配してございます。
これらのホテルにつきましては、まだ配宿等が変動している状況ですけれども、近いうちに具体的な情報を千葉県も含めて関係の自治体の方々に提供させていただくべく、準備を進めております。
○畑野委員 次に、東京二〇二〇ライブサイトとパブリックビューイングが、東京都内、合わせて六か所ある、飲食もオーケーということです。これはどのようになっているのか。今動きがあるというふうに聞いていますが、組織委員会に伺います。
あわせて、東京二〇二〇ライブサイト、コミュニティーライブサイト、パブリックビューイング、この三つ、それぞれどんなふうに組織されているのか、数字が分かれば教えてください。
○布村参考人 会場にいらっしゃれない方々にもオリンピック、パラリンピックを観戦いただけるようにということで、パブリックビューイングを実施してございます。また、ライブサイトも実施していますけれども。
パブリックビューイングについては、我々組織委員会と各自治体が連携をして、競技の観戦あるいは競技大会のイベント等を実施するという取組で、コミュニティーライブサイトあるいはパブリックビューイングの方は自治体の方で実施をいただくという状況です。
二〇一九年八月の時点で、ライブサイトは十九自治体、三十会場、コミュニティーライブサイトは百四十五自治体、二百二十七会場で公表をさせていただいておりましたけれども、現在、コロナ対策の在り方も含め、各自治体と調整を進めているという状況でございます。現在、そういう状況でございます。
○畑野委員 確認ですけれども、代々木公園、昨日動きがありましたけれども、組織委員会でどのように認識されていますか。
東京都が、昨日、オリンピック期間中はこの代々木公園のライブサイトは中止するというふうに言われていますけれども、御承知ですか。
○布村参考人 代々木公園につきましては、ライブサイトの会場として予定されておりましたけれども、昨日、小池都知事から、オリンピック期間中の代々木公園のライブサイト会場が新型コロナウイルスのワクチン接種会場として活用されるという方向性を出されたところは承知してございます。
○畑野委員 次に、IOCが、東京オリンピック・パラリンピックに出場する選手に対して、コロナやそのほかの感染症、猛暑などによって引き起こされる重篤な身体的障害、さらには死亡を含めて、自分自身のリスクとする、自己責任の同意書を求めていたことが明らかになりました。これは事実でしょうか。
そして、その同意書については組織委員会が取りまとめるのですか。日本政府はこのことについて把握をしていらっしゃいますか。あわせて、過去の大会で同様の内容の書類提出が求められていたのか。現在、国内外の選手、何人分が出されているのか。そして、このような自己責任という立場に日本政府も立たれているのか。併せてお答えください。
○布村参考人 お答えの前に、先ほど、パブリックビューイングに関して、東京二〇二〇ライブサイトは自治体と組織委員会の共同主催、パブリックビューイングは地方自治体での実施という形であるべきところをちょっと逆に申し上げましたので、失礼いたしました。
IOCが求めている同意書に関してでございますけれども、選手がオリンピック大会、パラリンピック大会に参加するに当たりましてIOCが提出を求めている同意書において、免責条項自体は従前の大会から含まれておりましたけれども、今回の東京大会については、従前の規定に加えまして、コロナ対策によって、万が一陽性になった場合等、選手の個人情報の取扱いですとか、隔離されるという措置がございますので、コロナ対策をより丁寧に規定した同意書を今後各選手に求めていくということになります。
手続としては、各選手団長が来日された際、組織委員会がお預かりしまして、IOCに提出するという手続になっているところでございます。
○丸川国務大臣 中身は私どもも組織委員会に見せていただいて、なるほど、こういうふうに書いてあるのかというのは認識しています。
その上で、余り役割分担のことを言うと、また何か押しつけ合っていると言われてしまうんですが、仕切りとしては、一応、IOCと選手の間で取決めをされるということだという認識をしています。
しかしながら、大会をお迎えする側として、海外から入ってこられる方が健康で安全であるということは、お迎えする側にとっても健康で安全が守られるということでありますので、五者でしっかりと連携をしながら、いかにしてその環境を、定期的な検査や厳格な行動管理、また、水際の措置をしっかりやって、国民と交わらない形で行動していただく空間づくりというのをしっかり進めてまいりたいと思います。
○畑野委員 感染症による死亡を入れたということは、そういう危険があるということですよね。これがどこに、政府の言う安心、安全かと問われると思います。それを自己責任だと求めることも問題だと申し上げておきます。
最後に、丸川大臣に確認させていただきたいんです。
通告していないんですけれども、この間の報道によれば、コロナ禍の下で東京オリンピック・パラリンピックが開催できるのかという問題で、新型コロナウイルス感染症対策分科会の感染症の専門家の皆さんがリスク評価の提言作成を進めたものの、政府側の了承が得られず、提出できないということが言われています。これは事実でしょうか、御存じでしょうか。 緊急事態宣言を出す目安となるステージ4であれば、東京の場合、医療体制の逼迫が深刻化し、国民への医療提供に支障が出ると評価して、開催は難しいとの認識を共有しているということなんですが、いかがですか。
○丸川国務大臣 恐縮です、分科会の中でどういう議論、つまり、表面に出ない議論でどういう議論をされているかということまでは承知をしていなくて、報道で知ったんですが。 ただ、一方で、いつも尾身会長とはよく委員会で御一緒していまして、どういうリスク意識をお持ちかということをよく理解しております。
何しろ人流抑制が最終的には肝だということは言われておりまして、私どもも今それを、具体的にどう向き合っていくのか、様々な検討をしているところでございます。
○畑野委員 尾身会長からも、非公式には何回か事務局が来て、考えを示したが、正式に会議などで意見を聞かれたことはないとおっしゃっているんですね。
だから、丸川大臣の方からやはり問題提起をして、そして、専門家の声をきちんと聞く。科学的な検証をしないで開催に突き進むということは、これは認められないと思います。
分科会の専門家の方からは、全国の人の動きが活発になり感染状況が悪化することを懸念され、また、開催によってウイルスを国外に広げかねないことへの日本の責任についても指摘しているんですね。
ですから、私は、この夏のオリンピック、パラリンピックは中止の決断をして、コロナ対策に全力を尽くす、このことが皆さんの願いに応える道だということを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。