「初めて言っていただきました。ありがとうございます」―。2月15日の衆院予算委員会、日本共産党の畑野君枝議員が、身にまとった純白のスーツのまぶしさに負けない笑顔を輝かせました。
少人数学級検討
35人学級について政府が、小学校に加え中学校でも実現に向け検討すると初めて表明した瞬間です。1学級20~30人という世界の流れを示して迫った畑野氏に、菅義偉首相が「望ましい指導体制を検討していく」「中学校を念頭に言った」と明言したのです。18日に閣議決定された「骨太の方針」にも「中学校を含め」検討すると盛り込まれました。
コロナ禍を機に高まった声が政治を動かし、40年間変わらなかった学級編成(40人)を小学校全学年で35人に引き下げる改正法が今国会で成立しました。
菅首相は畑野氏に「一人ひとりにきめ細かな教育が可能になる」と少人数学級の効果を認め、萩生田光一文科相も「中学校も含め最終的には30人以下が理想だ」と踏み込んで発言。文科省は、国庫負担1700億円で小中全学年を30人学級にできるとの試算を初めて示しました。
もう一つ、関係者の長年のたたかいが実ったのが、建設アスベスト(石綿)補償基金の創設です。建設アスベスト訴訟で国と建材メーカーの責任を認める初の判断を下した最高裁判決(5月)を受け、6月に基金創設のための新法が全会一致で成立。初提訴から13年、被害者や家族らが求めてきた「裁判を起こさずとも救済」される仕組みができました。基金への建材メーカーの未参加や、対象職種・期間の制限など残る課題の早期解消へ、共産党など野党は「国の責任で道筋をつけよ」と求めています。
入管法改定案では、市民の怒りの声と野党の結束が菅政権を追い詰めました。3月に名古屋出入国管理局でスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが亡くなった事件で、遺族にさえビデオの開示を拒むなど、法務省、入管庁の隠ぺい体質が露呈。国会前での連日の座り込みやSNSでの発信などで、入管行政と同法案への批判が急速に広がりました。
共産党と立憲民主党、国民民主党は同法案反対で結束し、衆院法務委員会での採決を3回阻止。世論に耐えきれず、政府・与党は成立を断念しました。
LGBT法案を
一方、LGBT法案をめぐり、共産、立民など野党が2016年に「差別解消法案」を提案したのに対し、自民党はようやく今年、「理解増進法案」を提起。超党派議連で、野党の要求を受け、法案の目的・理念に「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されない」と盛り込み、「性同一性」の言葉を「性自認」に修正する案が了承されました。
与野党合意により、今国会中の成立が期待されましたが、自民党議員が強く反発し、同党は法案の提出を見送り。同党内の会合では、LGBTへの差別や偏見、憎悪に基づく発言が相次いでいたことが発覚。9・4万人分の抗議署名が集まり、全国16紙の社説が法整備を支持するなど、世論が自民党を包囲しています。
(しんぶん赤旗2021年6月21日付)