24日の衆院文部科学委員会で、保健所の調査で新型コロナ濃厚接触者ゼロとされた学校で、自費による検査で教職員や児童生徒の感染が確認された例を示し、学校を行政検査の対象とするよう求めました。
厚生労働省の佐原康之危機管理・医務技術総括審議官は「濃厚接触者に限らず、感染状況等を踏まえ幅広く検査するよう(通知等で)要請している。学校もこの考え方に基づいて状況に応じて行政検査が行われることはありうる」と答えました。
通知の内容を学校関係者にも周知する必要があると指摘すると、萩生田光一文科大臣は「(学校での)PCR検査は手法としては否定しない。保健所とも相談しながら必要に応じてやってもらう」と答弁しました。
また、経済的に困窮する学生を支援してきた学生支援緊急給付金が今年度で終わります。「学生の現状は日々の食費にも事欠く状況で、直接の現金給付が必要だ。来年度も給付金制度をつくるべきだ」と要求すると、萩生田文科大臣は「新年度もこれまでのような状況が続くなら、何らかの支援を考えなければならない」と答えました。
【動画はこちらをクリック】
【2021年3月24日衆議院文部科学委員会議事録(抜粋)】
○畑野委員 是非進めていただきたいと思います。
三月二十一日に一都三県の緊急事態宣言が解除されましたが、感染者が拡大傾向の地域もあります。より感染力が高い変異株への置き換わりも言われています。
政府の検査方針も、無症状者に焦点を当てて幅広いPCR検査を拡大する方向が示されております。ワクチン接種も始まっているんですが、十六歳未満はワクチン接種の対象になりません。
そこで、まず厚生労働省に伺います。
二〇二〇年八月二十一日付事務連絡、新型コロナウイルス感染症に係る行政検査に関するQアンドA、その三にある、行政検査の対象四の、当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由がある者は、濃厚接触者以外にどのような者が当てはまるのか、また、学校への対応でも柔軟に行われるのか、伺います。
○佐原政府参考人 お答えいたします。
新型コロナウイルス感染症に係る行政検査につきましては、感染者が多数発生している地域等において、感染拡大防止のため、各自治体の判断により、濃厚接触者に限らず、関係者を幅広く検査するよう要請しているところでございます。
こうした中、委員御指摘の濃厚接触者以外の行政検査の対象者について、例えば、特定の地域や集団、組織等において、関連性が明らかでない患者が少なくとも複数発生しているなど、検査前確率が高いと考えられ、かつ、濃厚接触を生じやすいなど、クラスター連鎖が生じやすいと考えられる状況にあると認められる場合、その地域や集団、組織等に属する方が行政検査の対象となることを厚労省のQアンドAでお示ししているところでございます。
学校についても、こうした考え方に基づき、個別の具体的な状況に応じて、各自治体の判断により行政検査が行われることはあり得ると考えております。
○畑野委員 大事な御答弁でした。
ある中学校で生徒に感染が確認されたんですけれども、保健所の調査では濃厚接触者はなしとされて、学校は健康観察期間を設けて四日間臨時休校の措置を取ったんですけれども、教育委員会は、その間、保護者宛てにメールで、疑われる症状があれば受診するようにと呼びかけてくれました。その結果、自費で検査を受けた六人の生徒の感染が確認されたということなんです。検査していなければ学校内でクラスターが発生したことも起こり得る状況だったということです。
一方、別の中学校では、学校と保健所が相談をして、生徒全員にPCR検査を実施したということです。
文部科学省に伺いますが、この厚労省の通知で示されている行政検査の対象範囲について、学校関係者にも十分周知する必要があると思いますが、いかがですか。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
学校で新型コロナウイルス感染者が発生した場合には、学校の設置者は、臨時休業の実施の必要性などを含め、まずは保健所に相談を行うこととしております。保健所は、必要な情報を収集し、濃厚接触者の特定等を実施しますが、濃厚接触者でない者を含めてどの者に行政検査を実施するかは、最終的には保健所が判断するものと承知しております。
このため、学校及び学校の設置者は、行政検査が適切な範囲で実施されるよう、保健所の調査に協力をして、子供たちが学校でどのような行動を取っていたかなど必要な情報を提供することが必要であり、引き続き教育委員会等に適切な対応を呼びかけてまいりたいと考えております。
○畑野委員 是非、学校の情報を伝えていいのだということを含めて、協力をするということですので、学校長さん始め、大いに言っていただけたらと思うんです。
大臣、この点で、アメリカのロサンゼルス統一学校区では、学校再開に向けた取組の一つとして、児童生徒及びその家族、教職員等を対象とした定期的なPCR検査が行われているというんですね。私は、学校での感染拡大を防止し、可能な限り教育活動を継続していくためには、児童生徒、教職員に対する積極的なPCR検査を行う必要があるというふうに思うんです。
この行政検査についても、濃厚接触者ゼロで終わりじゃなくて、それはよく保健所とも協力しながらというお話でしたけれども、進めていく必要があると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○萩生田国務大臣 将来的に少し落ち着いた環境の中では、それは手法としてはあっていいと思うんですけれども、今まだ緊急事態宣言が解除されて間もない自治体もある中で、PCR検査は結局一回で済まないですよね、今日の時点で陰性であっても、一週間後、陽性になる可能性もあるわけですから、そうすると定期的に打っていかなきゃならないということもあると思うので。
手法としては否定しませんけれども、直ちに学校現場などに、例えば全員のPCR検査とか教職員のPCR検査というのを義務づけたり奨励するというのはちょっと難しいかなと。先ほどお話がありましたように、感染が発生した地域などで、保健所当局とも相談しながら、必要に応じてやっていただくというのがしばらくの対応ではないかと思っています。
○畑野委員 一人感染者が出たら是非PCR検査をしてほしいという声もありますから、是非進めていただきたいというふうに思います。
次に、コロナ禍で経済的困難に直面している学生への支援について伺います。
直近の、新型コロナウイルスの影響を受けた学生への支援状況等に関する調査では、昨年との比較で、中途退学者は二〇二〇年度の方がやや少ない、二万八千六百四十七人の中退者のうち千三百六十七人がコロナの影響で中退、そして、休学者は前年度と比べ大きな変化はないという結果になっています。
この間の学生に対する経済的支援との関係について、どのように評価されますか。
○伯井政府参考人 お答えいたします。
大学の中途退学者数につきましては、今御指摘いただきましたように、昨年四月から十二月末までの調査結果では、令和元年度より、前年度比約七千三百人減ということで少なくなっておりますし、休学者数については大きな変化が見られない状況になっております。
これにつきましては、昨年四月より開始した高等教育の修学支援新制度、これは家計急変にも対応しておりますし、また、各大学等が独自に行う授業料減免支援など、これまでの支援策が一定程度効果を上げている部分はあるというふうに思います。
ただ、年度末に向けて中退、休学者が増加する可能性もございますので、予断を許さないということで、引き続き注視をしてまいりたいと考えております。
○畑野委員 おっしゃるように、今が勝負だというふうに私も思います。
私も、この間、野党共同で、学生支援法案を国会に提出をしてまいりました。授業料半額、困窮学生支援、奨学金返還免除です。
昨年来やってこられた中で、学生支援緊急給付金ですけれども、これは、給付された学生にとっては、退学や休学を思いとどまった、アルバイトの減収を補い、生活費や家賃の支えになってきたという声があります。事実だと思います。しかし、予算上、四十三万人と限られた支援でした。私たちは、今、百万人の支援が必要だというふうに学生に対して思っております。
先日、大学から、修学支援新制度を受けているので、この学生支援緊急給付金の対象にならないと言われてしまった学生から相談を受けました。これは実際は対象になるんですけれども。そこで、文科省の方にもアドバイスをいただきながら、学生にもう一回そのことを伝えて、相談を大学としていただきました。最終的に給付が受けられるようになった。本当に学生が喜んでおられました。
学生の相談に乗っていた県議会議員に聞いたところ、大学は、うちの大学の推薦枠は使い切ってしまったし、最後の推薦の締切りも二日過ぎていたため駄目だ、無理だと思っていたということなんですけれども、文科省によってこの学生がつい先日も救われたということなんです。
それで、私は是非大臣に申し上げたいのは、今、多くの学生が日々の食費にも事欠くような状況です。全国各地で大学や自治体、NPO、フードバンク、民青同盟などが行っている食料支援には、食べ物や日用品、また、この間質問した生理用品など、必要なものを学生が取りに来るという状況なんです。
私は、やはり、生活費を直接給付する支援が待ったなしだと思っているんです。文科省もこの間取り組んでこられたと思います。その中の一つが緊急給付金だったわけですから、これがもし学生の中退者を一定抑える力になっているということであるならば、去年やってきたことをこの年末そして来年度もやる必要があると思うんですが、大臣は、このような学生の状況の中で、学生支援緊急給付金のような直接現金を給付する形での支援はもう必要ないというふうにお考えなんでしょうか。私は、来年度も再度、給付金制度をつくる必要があると思います。いかがですか。
○萩生田国務大臣 学びの継続のための学生支援緊急給付金については、これまで、学校が推薦すべきと判断した全ての学生約四十二万人に支給ができました。また、昨年秋以降に経済的に困窮した者など、今、一万人を対象に追加支給を行っております。
経済的に困難な学生に対して、高等教育の修学支援新制度や貸与型奨学金において、家計が急変した学生も含めて随時支援を行うとともに、各大学等が独自に行う授業料等の減免についても支援を行っており、こうした取組は来年度も継続して行ってまいりたいと思います。
アルバイト収入の減少については、厚労省の雇用調整助成金や新型ウイルス対応休業支援金・給付金で、学生アルバイトの休業も含めた支援対象になっております。アルバイト収入が減少した学生等には、これらも活用いただきたいと考えており、学校を通じて周知を行っているところでございます。
学生支援機構の寄附金によって、食料支給ですとか、それから、改めてアパートやマンションの借り直しをする場合の支援策なども講じているところでございます。
新年度になって、昨年と同じような状況が続いて、学生たちがキャンパスに行けない、あるいはアルバイトもシフトに入れない、こういう状況が引き続き続くのだとすれば何らかの支援策が必要だという前提で、今、アンケートやウォッチをしているところでございます。
○畑野委員 是非検討してほしいんですね。
三月五日付事務連絡の中で、経済的に困難な学生等に対するきめ細やかな支援についてでは、各大学が学内でのイベントを開催して食料品や日用品の支援を行うといったこともあり得る、そして、感染症対策に運営費交付金や私学助成の感染症対策強化分が活用できるというふうにしておりますので、これは大学が学生や教職員に対してPCR検査を行う場合も使えるのかということと、さっきの来年度の状況を含めて、大学がこのイベントを通じて必要な相談窓口を設けて、困難な学生が活用できる支援策につなぐなどの取組を行う必要があると思いますが、その点いかがですか。
○伯井政府参考人 こうした御指摘のようなイベントを実施する場合には、感染症対策として文部科学省関係予算の活用が可能であるということを周知しております。ただ、PCR検査につきましては、検査の対象とか頻度とか費用負担など、幾つか検討すべき論点があるというふうには考えておるところでございます。
また、イベントの機会を捉えていろいろ周知とか相談をするというのはよいアイデアだと思いますので、我々、様々な学生への周知をしていく中で、そうしたことも含めて、きめの細かな対応をお願いしたいと思っております。