日本共産党の畑野君枝議員は10日の衆院予算委員会で、挫折続きの安倍政権の「大学入試改革」の残された柱である「主体性評価」の問題を明らかにし、中止を求めました。

  「主体性評価」とは、主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度を大学の一般入試で評価するもの。高校生が学びや活動の記録をベネッセが開発したソフト「クラッシー」などから入力し、「JAPAN e―ポートフォリオ」(JeP)に情報が蓄積され、そのデータが点数化されて大学の合否判定に使われる仕組みです。例えば文科省が委託した実証事業では、「部活動」で部長となれば10点、副部長なら5点などと点数化するとしています。

  畑野 主体性を点数化して合否判定に使うなどおかしい。

  萩生田光一文科相 (主体性評価は)学びのデータをどのように入試で活用するかは検討していきたい。

  畑野氏は、部活動の部長など全員にポストがあるわけではなく、教育現場からは「毎月部長を交代するしかない」などの声が上がっていることを紹介。さらに、高校生が学びや活動の記録にウソを書くようになるのではと教員が心配していることを伝え、次のように主張しました。

  畑野 高校生の学びが“打算的”になる。主体性を点数化し、合否判定に使うことはやめるべきだ。

 

企業のもうけに

 膨大な個人情報が蓄積されるJePを運営するのは「一般社団法人教育情報管理機構」です。ただ運営をサポートするのは大手教育関連会社のベネッセ。同機構規約で「JePに連携し、蓄積した情報を活用して事業を行う会員」とされる特定賛助会員(年会費300万円)にも、ベネッセなどの教育情報企業が名を連ねます。

  畑野氏は、文科省と同機構が結ぶ「基本協定書」では、個人情報の目的外使用や第三者への提供を排除していないことを追及しました。

  畑野 基本協定書は、文科省高等教育局が指示・承諾すれば、個人情報を目的外に利用し、第三者に提供して良いことになっている。

  伯井美徳高等教育局長 指摘の通りだ。

  畑野 民間企業のもうけのために受験生の個人情報を集める。これがJePだ。

 

出発点は首相に

 今回の入試改革の出発点は、安倍首相の私的諮問機関である教育再生実行会議の提言(2013年10月31日)です。同会議メンバーで、塾事業などを手がける成基コミュニティグループの佐々木喜一代表は、メンバーに任命されたことをアピールし、自らの事業宣伝に活用しています。

  畑野氏は、佐々木氏の「志教育プロジェクト」の賛同者には下村博文元文科相や安倍首相の妻・昭恵氏も名を連ねていること、佐々木氏が「桜を見る会」に招待されていたことも指摘。「安倍政権と民間企業が一体となり、教育を企業の利益拡大の場に変えるために行われてきたのが『教育再生実行会議』だ。入試改革はこの出発点から抜本的に見直すべきだ」と主張しました。

(2020年2月12日しんぶん赤旗)