2月25日の衆院予算委員会分科会で、安倍政権が羽田空港増便計画のもとで進める3月29日開始予定の羽田新飛行経路の運用をやめるよう迫りました。

 新ルートでは、これまで回避していた石油コンビナート上空を離陸直後に飛行できるよう変更しました。

 災害対策基本法に基づく国の防災基本計画にある「石油コンビナート対策等」は、航空機の墜落等を想定しているのかと尋ねると、内閣府の村手聡大臣官房審議官は「航空機の墜落等、大規模な事故を原因とするものも含みうる」と答弁し、墜落事故対策の責任が国にあることを明言しました。国土交通省はこれまで、墜落の想定については答弁を避けてきました。

 「諸外国で離陸直後に石油コンビナート上空を飛行するルートはあるのか」と質問。オランダのロッテルダム空港を例示した国交省に対し、空港とコンビナートとの距離が離れていることを指摘すると、同省航空局の平岡成哲航空ネットワーク部長は「ご指摘の通り、経路下にはあるが(離陸)直後ではない」と認めました。

 国交省の実機による飛行確認では、川崎市で騒音の最大値94デシベルを記録しており、小泉進次郎環境大臣に対し現場に行って確認することを求めました。小泉大臣は「静かな環境は子どものみならず多くの方にとって重要」と答弁しました。

【動画】

https://www.youtube.com/watch?v=dvpJNHG9oKI

【議事録】

○畑野分科員 おはようございます。日本共産党の畑野君枝です。  安倍政権が進める羽田空港の増便のための新ルート問題について、まず伺います。  国土交通省が一月から二月にかけて実機飛行による確認を行いましたが、都心上空を通過した航空機は七日間で計五百二十便に上りました。これは東京、神奈川、埼玉へまで及ぶルートです。騒音の最大値は、川崎市で九十四デシベルにも達しました。九十四デシベルといえば、もう本当にうるさい、極めてうるさい騒音です。  私もその現場で航空機の騒音を聞きました。その後、御近所の保育園にも伺いまして、先生にもそのときの子供たちの様子を伺ってまいりました。そのとき子供たちは本当に怖がって、遊んでいるのを中断して、そして、先生が子供たちを怖がらせないようにということで何と言ったかというと、鬼じゃないのよ、雷様じゃないのよと言って、そうやって声をかけたというんです。テレビは全く聞こえなかったということです。また、都心の中でも、視覚障害者の方からは、音響つき信号機はもちろん、通行の際に頼りにしている町のさまざまな音が聞こえなくて、怖くて外を歩けないという声も伺っております。  私は、環境を担当する、騒音、これはあってはならないということで、いつも担当しておられる小泉進次郎環境大臣に、国土交通省は聞かないものですから、こういう子供たちの実態、現場の声をぜひ届けたい。そして、聞いていただきたいんです。三月二十九日から始めようというんですけれども、これはやめてほしいんだけれども、もしそういう、実際に飛ぶ現場があったら、ぜひ川崎にも聞きに行っていただきたいと思います。いかがでしょうか。

○小泉国務大臣 子供の育ちの中で、静かな環境というのは私も大切だと思います。特に、飛行機に限らず、私も今でも家に帰ってチャイムを押すこともやめていますし、起きちゃうから。そしてくしゃみも、それで起きちゃいますから、いかに静かな環境というのが大変大切なものか、それは痛感をしています。  環境省は、平成十八年の東京国際空港の環境影響評価において、今後、飛行経路等の変更があった場合に、騒音を予測し、それに基づき所要の措置を講じるよう国交大臣に意見を提出しています。  そして、現在、国交省では、実機飛行確認で測定した騒音について、予測の検証を含め分析していると聞いています。本格運用後も騒音測定を行い、必要に応じ障害防止工事等を行うと認識しています。  国交省には、新飛行ルートに伴う騒音測定を踏まえ、引き続き適切な対策の実施に努めていただきたいと考えています。

○畑野分科員 世界の問題を大臣も論じられておりますけれども、世界では、旅客機を人口密集地の大都市上空に飛ばさないということが当たり前になっているんです。ぜひそういうふうに進めていただきたいというふうに思います。対策を強く、政府として、求めていきたいと思います。これ以上の騒音を出してはいけない、そういう規制値もぜひつくっていただきたいというふうに思います。  次に、航空機事故について。  川崎市でいえば、離陸直後に石油コンビナート上空を飛行するという重大な危険性があります。一たび墜落事故が起きれば大惨事です。  国は、一九七〇年、東京国際空港長に対し、東京国際空港に離着陸する航空機について、川崎石油コンビナート地域上空を避け、適切なコースをとらせることと通知いたしました。  国がこの通知を出したのは、そもそもなぜですか。

○平岡政府参考人 お答えをいたします。  昭和四十五年に、東京航空局長から川崎市長に宛てまして、川崎石油コンビナート地域上空の飛行制限を設定し、通知をしたということでございますが、この主な背景といたしましては、昭和四十一年に東京国際空港周辺におきまして立て続けに航空機事故が発生したということであります。  具体的には、昭和四十一年二月四日に全日空の千歳発東京便が東京湾に墜落した事故、さらに同年三月四日に、カナダ太平洋航空の香港発東京経由バンクーバー便が東京国際空港に着陸進入中に滑走路末端手前の護岸に衝突し、大破、炎上した事故が発生いたしました。こうした事故によりまして、地域から御心配の声が上がったというふうに承知しております。  こうした事情を踏まえまして、川崎市長から当時の運輸大臣宛てに要望が行われました結果、羽田空港に離着陸する航空機は原則としてコンビナート上空を避け、それ以外の航空機は三千フィート以上で飛行することについて、昭和四十五年に東京航空局長から川崎市長に通知がなされたものと理解しております。

○畑野分科員 おっしゃったように、その年の三月の本会議、一九六六年三月の川崎の市議会の本会議で、臨海工業地帯の飛行禁止に関する意見書が採択され、同月、同じ趣旨の請願も全会一致で採択されました。飛行禁止は議会を含め地元挙げての運動になり、当時の市長が国に要望してこの通知に至ったという経過があるんです。つまり、地元ぐるみの運動だったんです。  それを、国土交通省、何ですか、局長は。市からの要望で出したこの通知を、昨年十二月十六日に廃止した。市民の願いと市民の運動の歴史を踏みにじるような、本当に許せないものだと申し上げます。  飛行ルートの下には、事業所約二千三百、従業員約五万九千人が集中している石油コンビナートがあります。大量の高圧ガス、毒ガスなどのパイプラインがあり、原油やナフサ、液化天然ガスなど、可燃性の液体やガスを扱う工場が密集していて、万が一、航空機の墜落事故や落下物などがあれば、想像を絶する大火災となる。だから、今も皆さん心配されています。  伺いますけれども、国交省は二〇一七年十一月から、羽田、成田などの七空港で、外国の航空会社も含め、部品欠落が確認された場合の報告制度を設けています。二〇一八年十一月から二〇一九年十月までの直近の一年間で、欠落した部品の個数は七百二十八に上ると伺っておりますが、羽田では幾つか、わかったら教えてください。  また、航空機からの落下物は、国交省の資料によると、二〇〇八年度から二〇一八年度の発生件数は二十三件となっています。そのうち羽田空港周辺での落下物はゼロだと言っておりますが、なぜ羽田がゼロなのか、お答えください。

○平岡政府参考人 お答えをいたします。  羽田空港周辺における固定翼の民間航空機からの落下物につきましては、平成二十年から平成三十年までの期間において報告された実績はございません。これは報告されたものを集計するという形になっているものでございます。  一方で、空港到着後の機体チェックなどで部品がなくなっていることが確認されました部品欠落につきましては、部品欠落が発生した場所は特定できませんので、個別空港ごとに集計する性質ではございませんけれども、国際線が多く就航する主要七空港におきまして点検した結果、平成三十年度に報告された欠落部品の総計は四百八十八件となっております。その半数以上は十グラム未満の軽いものとなっているところでございます。

○畑野分科員 羽田についてはどうですか。

○平岡政府参考人 お答えをいたします。  平成三十年度に羽田空港において報告された件数、部品欠落の件数でございますけれども、百五十四件となっているところでございます。

○畑野分科員 なぜ羽田空港周辺での落下物はゼロなのか。なぜですか。

○平岡政府参考人 お答えをいたします。  落下物の件数につきましては、報告されたものを集計するという形になっておりまして、羽田空港周辺において固定翼の民間航空機からの落下物については……(畑野分科員「なぜですか、その理由。海があるからでしょう」と呼ぶ)海があるからとは限りません。  羽田空港につきましても、千葉県上空を飛んで着陸するというふうに、陸上のルートを経由して、その後、海を通って着陸するという経路を通っておりますので、海があるからということではなく、陸上経路も通って、含めて、羽田空港の周辺において報告された件数はございません。

○畑野分科員 海を通ってということですから、海があるんです。  それで、例えば原発の上空については、原発付近をできる限り避けるよう、当時の運輸省が通達を一九六九年に出しています。米軍も、岩国基地で離陸の際、コンビナート上空を避けるという運用がされてまいりました。  ちょっと確認なんですけれども、国交省に。離陸直後に石油コンビナートの上空を飛行するルートは諸外国でありますか。離陸直後です。

○平岡政府参考人 お答えをいたします。  網羅的に調べたわけではございませんけれども、ロッテルダム空港があるということを確認しております。

○畑野分科員 ロッテルダム空港とコンビナートの距離は何キロありますか。

○平岡政府参考人 手元に資料がございませんので、確認の上、御報告させていただきたいと思います。

○畑野分科員 私が目測したところでは、十キロはあると見ました。そういうのもちゃんと調べて言っているんです。わからなかったらわからないと言っていただければいいんです。これはひとり歩きしますからね。ちゃんと確認しているんだったら、そういうふうに責任ある答弁をしてください。  今わからなかったら、ロッテルダム空港、離陸直後のルートがあるんですかと聞いていますから、わからないんだったらわからないと訂正していただけますか。

○平岡政府参考人 お答えをいたします。  議員御指摘のとおり、ロッテルダム空港から離陸して、その経路下にはございますけれども、その直後という、必ずしも直後ということではございません。

○畑野分科員 離陸直後じゃないと。だから、そういう不正確なことを言っちゃだめですよ。ないんですよ、世界でもね。  川崎コンビナートは、多摩川を渡ったらすぐコンビナートですよ、羽田から。そんな無謀なことをやろうとしているんですよ。その具体的な数字もきちんと調べないでやろうとしている。  消防庁に聞きますが、一九六九年に、石油コンビナート地帯における航空事故による産業災害の防止についてという通知を当時の運輸省に宛てておられます。概略、簡単にお答えください。

○小宮政府参考人 石油コンビナート地帯における航空機事故による産業災害の防止を図るため、消防庁次長から当時の運輸省航空局長に対し、全国の石油コンビナート地帯の上空における最低安全高度以下の飛行の禁止及び離着陸時における同地帯上空の飛行の回避などの災害防止のための必要な措置をお願いしております。

○畑野分科員 つまり、コンビナートの上は飛ばないことが最大の安全策だということで取り組んでこられたと思います。  川崎市議会史によれば、さきに述べた一九七〇年通知のもとになった川崎市長の運輸省への陳情は、災害対策基本法第三条に基づいて石油センター地域を飛行禁止区域にするよう求めるものだったと記されております。  災害対策基本法第三条の「国の責務」は、「国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することに鑑み、組織及び機能の全てを挙げて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」と規定されております。  内閣府に伺いますが、災害対策基本法に基づく防災基本計画は、一九七一年五月に一部修正が行われ、石油コンビナート対策等が明記されました。これは、石油コンビナートへの航空機の墜落、落下物の落下による災害の発生を想定しているのでしょうか。

○村手政府参考人 お答え申し上げます。  現在、防災基本計画において、石油コンビナートについては、危険物等災害対策編の中で、災害予防対策や、大規模な事故、災害が発生した場合の連絡、活動体制等を規定してございます。この記載については、原因が何かを特定しているものではなく、航空機の墜落等、大規模な事故を原因とするものも含み得ると考えてございます。

○畑野分科員 しかし、それに対して、国土交通省に聞いても、経済産業省に聞いても、具体的な対策はないというのがこの間のお答えだったんですね。ですから、その安全対策、誰が責任を持ってやるのかということなんです。こんなことでは三月二十九日から本格飛行などは、やることは許されませんよ。人命軽視も甚だしいと言わなくてはなりません。  この根本になったのがインバウンド、二〇一三年、安倍政権の成長戦略です。首都圏空港の機能強化と離発着の増便が決められました。これまでの航空行政とも矛盾する場当たり的なやり方で、万が一事故が起きたら、一体誰が責任をとるんですか。小泉大臣ですか、きょう、この問題を取り上げていますから。内閣でもぜひ問題にしてほしいと思うんです。  そして、今、あわせて、新型コロナウイルス感染症対策で大変な事態になっています。航空機でいえば、実際、各航空会社は、運休、減便、小型化、こういう事態になっているんです。私は、この新ルートの飛行はきっぱりやめるべきだというふうに思います。  大臣、小泉大臣に聞いていただきたいのは、ぜひ地元に行って声を聞いてほしいんです、環境大臣として。どうですか。先ほど最初に申し上げました。

○小泉国務大臣 畑野先生が冒頭おっしゃった静かな環境、こういったことが子供のみならず多くの方にとって重要だという御指摘はそのとおりだと思います。  その上で、今まさに国交省が答弁をしていますが、担当しているところですから、私としては、担当の部分で厚労省にはしっかりやっていただきたいというふうに思います。

○畑野分科員 環境大臣としての責任もぜひ果たしていただきたいと重ねて申し上げておきます。  昨年十月の台風十九号は、多摩川水系の中で戦後最大規模の洪水と言われる一九七四年の狛江水害を超え、過去最高の水位を記録したと伺いました。特に川崎市では、平瀬川と多摩川の合流地点での、一人亡くなられる災害も起こり、そして、各地で下水があふれるなどの内水氾濫による浸水被害を受けました。私も各地を回ってまいりました。ことしも同様な台風が到来する可能性があり、昨年の被害が繰り返されるのではないかという住民の不安を伺っています。  そこで、国土交通省に伺いますが、多摩川の対策、今後どうしていくのかということと、あわせて、ことしの台風への備えをどうするのか、この二点について伺います。

○塩見政府参考人 お答えを申し上げます。  昨年の台風十九号、令和元年東日本台風でございますが、によりまして、世田谷区の玉川地区では、河川からあふれた水によって浸水被害が発生し、また、川崎市の中原区、そして高津区、多摩区では、下水道施設からの逆流などによりまして浸水被害が発生したところでございます。  これを受けまして、国と都、そして神奈川県、それから多摩川に面しました八つの市区で連携することによりまして、復旧と、そして再度災害を防止するための対策を、多摩川緊急治水対策プロジェクトとして一月三十一日に取りまとめまして、ハード、ソフト一体となった取組を始めているところでございます。  このプロジェクトの中では、まず、河川におけるハード対策といたしまして、おおむね五年間で、被災をいたしました堤防や護岸の復旧といった災害復旧事業に二十八億円、それから、再度災害を防止するための河道掘削や堤防整備、堰の改築といった改良復旧に百六十三億円、合計で百九十一億円の事業を実施することとしてございます。  このうち、先生お尋ねの今年度の取組ということでございますが、初年度となります今年度は約三十五億円の補正予算を計上いたしまして、ことしの出水期までに完成することを目標にいたしまして、被災しました堤防の復旧、護岸の応急対策、そして水位を下げるための河道掘削、それから、世田谷の玉川地区におきましては新しい堤防整備に向けました準備工事に着手するということにしてございます。  それから、もう一点の、下水道施設からの逆流による浸水被害が発生したことを受けまして、国土交通省では、現在、有識者会議におきまして、下水道施設から河川へ排水する箇所に設置されましたゲートを遠隔で操作できるように改築することなどについて検討を進めてございます。  川崎市におきましては、早速、今年度の補正予算によりまして、ことしの夏の台風シーズンまでに実施いたします短期的な対策といたしまして、昨年逆流被害が発生しました五つの排水樋管、山王、宮内、諏訪、二子、宇奈根、この五つの排水樋管でございますが、このゲートの遠隔操作化を行うということにいたしておりますし、またあわせて、排水ポンプ車の導入についても行うというふうになっているところでございます。

○畑野分科員 私も各箇所を回ってきました。その山王、宮内、諏訪、二子、宇奈根の五カ所も見てまいりましたし、崩落の現場も見てきました。大丸用水の氾濫で御苦労された多摩区なども見てまいりました。  つけ加えなんですけれども、この連休中も見てまいりまして、実は、先ほど言った平瀬川と多摩川の合流地点のところ、国が管理しているところの土手が低くなっている、あるいは、高津区なんですが、堆積物が多摩川にたくさん積み重なっている、こういう現場を見てきました。それから、河口の方では、川崎河港水門が高さが足りなかった問題とか、JRの鉄橋の下の部分の土手が低くなっている、こういう状況もあります。  ですから、今おっしゃったことと、少しまだ加わっていないところがあると思うんですが、ぜひ地元から要望を聞いていただいて、そういったこともきめ細かに、この夏の台風に備えていただきたいと思うんですが、確認です、対応していただくように検討していただけますか。

○塩見政府参考人 お答え申し上げます。  今回の緊急対策プロジェクトにおきましては、できるだけ早く、おおむね五年程度で、河川の水が河川からあふれないように、今回の台風十九号と同じ程度の洪水が来てもあふれないようにするための対策をおおむね五年程度で行うということで、その必要な対策を盛り込んでいるところでございます。  また、いろいろな御希望が地元からあると思いますので、丁寧に地元の事務所の方でお聞きをさせていただきたいというふうに思います。

○畑野分科員 ぜひ対応していただきたいと思います。  台風十九号では床上、床下浸水が多く発生いたしました。半壊、一部損壊と判定されて、被災者生活再建支援法の適用外になっているという方が多くおられます。京都市でも独自の支援をされていますし、川崎市でも、適用外の半壊、一部損壊の被災者には一律三十万円の補助を出しています。しかし、これでは足りません。リフォームするために一千万円近くかかって老後の生活のめどが立たないとか、あるいは、断熱材が水を吸ってしまい壁がカビだらけになるなどして四百万円かかったという話もあるんです。  伺いますが、被災者生活再建支援制度の上限を五百万円まで引き上げるとともに、支援の範囲を半壊や一部損壊にまで拡充するべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。また、自治体の独自の支援についてどのように把握していらっしゃいますか。

○村手政府参考人 お答え申し上げます。  被災者生活再建支援制度は、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、住宅に全壊や大規模半壊等の重大な被害を受けた世帯に対して、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により支援金を支給するものです。  このような制度の趣旨から、支給金額の引上げや支給対象の拡大については、国や都道府県の財政負担等の課題も踏まえ、慎重に検討すべきものと考えております。  特に、支給金額の引上げにつきましては、全国知事会による平成三十年七月の被災者生活再建支援制度に関する検討結果報告におきまして、「現行の支給額は、被災者が住宅再建を行うために必要な支給額であると考えられることから、支給限度額は現行どおりとする。」とされているところでございます。  支給対象の拡大につきましては、全国知事会からの半壊世帯までの対象拡大の御要望も踏まえまして、全国知事会と協力して、昨年被害が発生しておりました地域において、半壊世帯の詳細な実態調査、実態把握調査を行うとともに、実務者会議におきまして継続的に意見交換を行っているところでございます。  また、被災者生活再建支援制度の対象とならない一定規模以下の災害につきましては、内閣府からの通知で、各都道府県及び関係市区町村において支援措置の実施について検討するなど、被災者の生活再建支援について必要な対策を講じていただくようお願いしているところであり、引き続き地方公共団体における積極的な取組を促していきたいと考えております。  以上でございます。

○畑野分科員 本当に、現場の皆さん、水の中、泥の中、大変な御苦労をされています。その思いにぜひ応えていただきたいと思います。  武蔵小杉などのタワーマンションでは、地下にある電気設備が浸水し、停電、断水が発生しました。市電設工業会関係の方からは、電気系統を上に上げることが必要だというふうに伺ってまいりました。  既存施設、特に病院や公的な施設への援助も必要だと私は思っております。止水板などの設備なども徹底する必要がありますし、補助金制度なども含めて検討をしていただきたいと思うんですが、どのような対応をされていますか。

○淡野政府参考人 お答えを申し上げます。  令和元年東日本台風の際には、地下に設けられました高圧受電設備が浸水し、停電したために、高層マンションのエレベーター等が使用不能となる被害が発生をいたしました。  被害の発生を踏まえまして、国土交通省におきましては、電気事業法を所管する経済産業省と連携して、学識経験者、業界団体等から成る建築物における電気設備の浸水対策のあり方に関する検討会を昨年十一月に設置し、検討を進めてまいりました。  検討会におきましては、新築時のみならず、既存ストックにおける対策のあり方の検討や、優良事例の収集、整理を進めており、先週十八日に開催いたしました第三回の会合におきましては、今後の議論のたたき台となるガイドラインの原案を提案いたしましたところでございます。  今後、この原案をもとに検討を行いまして、パブリックコメントも行い、幅広く意見をいただいた上で、本年の春を目途にガイドラインとして取りまとめ、経済産業省と連携しつつ、業界団体等を通じて広く周知し、建築物における電気設備の浸水対策に関し積極的な対応を促してまいりたいというふうに考えてございます。  また、御指摘の支援措置につきましても、経済産業省と連携をして、必要な支援が可能かどうかも含めて検討してまいりたいと存じます。

○畑野分科員 川崎市側の河川敷には、陸上競技場を始め、少年野球場やサッカー場などスポーツ施設が多数あります。台風災害によって月例マラソンができないなど伺っております。都市公園としてのスポーツ施設の整備、復旧の進捗状況について伺いたいと思います。  あわせて、都市公園となっていない河川敷にあるスポーツ施設、またアリーナや体育館、市民ミュージアムなどの復旧対策への支援についても伺います。  市民ミュージアムの地下に貯蔵されていた資料への対応もあわせて伺います。

○徳永政府参考人 都市公園についてお答えします。  川崎市の多摩川河川敷の都市公園は、野球場やサッカー場などに利用されておりますが、令和元年東日本台風、いわゆる十九号による増水に伴いまして、土砂の堆積や表土の流出など多くの被害が発生しております。  このため、国土交通省では、川崎市に対しまして、早期の復旧には都市災害復旧事業が活用できることや、その事業の仕組みなどについて助言を行うほか、本年一月八日には、災害復旧に伴う工事費などを現場で決定する災害査定を行ったところでございます。  川崎市におきましては、一月下旬に工事契約を行っております。三月から復旧工事に着手できるように調整を進められており、五月から十一月の間で順次災害復旧事業が完了し、供用を開始できるというふうに聞いております。  国土交通省としては、一日も早い復旧に向けまして、今後とも川崎市を支援してまいります。  以上でございます。

○寺門政府参考人 お答えをいたします。  御指摘ございました、社会教育施設としての災害復旧につきましては、激甚災害法に基づきまして、公立社会教育施設災害復旧事業におきまして、激甚災害により被災した特定地方公共団体の設置いたします公立社会教育施設等の施設設備等の復旧に要する工事費等に対しまして、国がその三分の二を補助することとしたところでございます。

○杉浦政府参考人 お答えいたします。  台風十九号により、川崎市市民ミュージアムでは地下収蔵庫が浸水いたしまして、収蔵品約二十三万点が水没するなど、大きな被害が発生いたしたところでございます。  これに対し、文化庁は、川崎市の要請を受けまして、速やかに、独立行政法人国立文化財機構に対しまして、文化遺産防災ネットワークなどを活用した技術的支援の協力要請を行ったところでございます。  文化庁では、現地で技術的指導を行いますとともに、国立文化財機構におかれましては、文化財関係団体の協力を得て、博物館、美術館などの専門家を派遣して、収蔵品の搬出や応急処置などへの技術的指導助言を行ってまいりました。  こうした中、川崎市市民ミュージアムでは、本年一月時点で、収蔵品が約三三%程度、地下から搬出されております。今年度中を一定のめどといたしまして、収蔵品の搬出を優先的に進めると伺っております。  文化庁といたしましては、今後とも、川崎市からの相談に応じまして適切に対応したい、このように考えております。  以上です。

○畑野分科員 最後に、小泉大臣に伺います。  石炭火力発電プラントの輸出のあり方について問題提起をされてこられました。  先日も、日本の高効率なものを世界に輸出すれば世界全体のCO2削減につながるという主張に対して、大臣は、高効率な石炭火力と言われているものでさえ、従来と比べたら一割も変わらないというふうにおっしゃっているんですね。COP26の場が、日本が一歩前に進んだと思われる環境整備を進めていくというふうにおっしゃっているんです。  であるならば、横須賀の石炭火力発電所、これは中止すべきだというふうに思いますが、いかがですか。

○小泉国務大臣 けさ、読み上げのところでも触れましたとおり、私が昨年来、問題意識を持って提起をしてきた、輸出に関する四要件の見直しの議論を行うことについて関係省庁と合意することができました。これは間違いなく、国際社会にとって、動かないと思われた日本が動くかもしれない、こういうメッセージが伝わると思っています。  そして、御指摘の、私の地元の横須賀のことについてでありますが、個別のプロジェクトを、どうなるかというのは、それぞれもちろん世界は見ています。ただ、それに対しても、この気候変動の取組に逆行するようなことはいけない、そういうふうな意見は既に出しております。そして、これからも厳しく見てまいります。  ただ、いずれにしても、この四要件は全体にかかわるものでもありますので、そういった仕組みにかかわるところで今後議論が行われることで合意できたことは、いずれにしても大きいことであると考えております。

○畑野分科員 以上で終わります。