5月15日、衆院文部科学委員会で、新型コロナウイルス感染症対策による学校の臨時休業や学校再開の中で、子どもたちの学びをどう保障するかについて質問しました。
「友達と会えないことが一番の悩み」「学校に行けずモヤモヤする。何もしたくなくなる」など、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの緊急子どもアンケートに寄せられた声を紹介し、「子どもたちの学びを保障する上で、こうした子どもたちの思いを学校や教職員がしっかり受け止めることが大切ではないか」と質問すると、萩生田光一文科大臣は「おっしゃる通り。まずは子どもたちの状況を把握し、心のケアを行うことが重要」と答えました。
学校現場では、学習の遅れを取り戻すため、行事削減や夏休み短縮などが広がっています。「再開後の教科学習は、学習指導要領にとらわれず、教育課程の思い切った精選など柔軟な対応が必要だ」という質問に対し、萩生田大臣は「あらゆる手段を講じても年度内に予定した指導が終わらない場合、特例的な対応を求める通知を出す」と答弁しました。
また、同感染症対策でアルバイトができず、高い学費に苦しむ学生が一律学費半額を求めていると紹介し、国が支援すべきだと述べると、萩生田大臣は「授業料減免のための補正予算7億円では不十分。次の補正で積み増したい」「一律に支援するのでなく、各大学の取り組みを支援したい」と答えました。
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【議事録】
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。 新型コロナウイルス感染症の影響について、高等教育無償化プロジェクト、FREEによる調査結果によれば、五人に一人が退学を検討しているといいます。また、大学の学費減免を求めるネット署名が広がっております。現在、二百を超える大学で署名が行われています。一律学費半額を求めるアクションの要望書や、高等教育無償化プロジェクト、FREEの緊急提言も出され、一律学費半額の運動が大きく広がっております。 ある学生は、授業料は年間百四十万円だと言っていました。一律学費半額を求めるのはなぜか。それは、経済的な問題はもちろんありますが、それだけでなく、心理的な問題、あるいは、実習ができない、資格試験が受けられないかもしれない、学会で発表ができない、研究テーマを変えざるを得ないなど、学業への影響など、新型コロナによる不利益をこうむっていない学生は一人もいないからだと訴えているわけです。 この後、同僚議員からも後ほど質問の中でも言われると思いますが、野党は、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための学生等の支援等に関する特別措置法案を提出いたしました。立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの共同会派の皆さんと、私たち日本共産党が共同提出をしているものです。授業料の半額免除を大学院生、留学生を含めて全ての学生に行う。高専、専門学校も含めております。短大も含めております。また、アルバイト減収分を最大二十万円緊急支援する、そして奨学金の返済免除であります。 萩生田光一文部科学大臣のところにも既に学生の皆さんからそういう訴えが届いていると思います。私からも紹介したいと思います。 両親ともに収入が減ると既に職場から言われているので、このまま学業を続けるためにも、大学授業料の政府支援や、奨学金も無利子にしてほしい、私立大学、世帯年収一千万以上。学費減免を必要としているのは収入が激減した家庭だけではありません、もともとぎりぎりのところでやりくりしている家庭では、少しの減収でも大学で学ぶことが難しくなりかねません、どうか御配慮をよろしくお願いします、国立大学、世帯年収五百から六百万円。こういう方です。 さらに、実習で医療機関に行けなくなると卒業できなくなるのかという声や、資格試験が受けられないかもしれないという声。どちらも国立大学、世帯年収六百から八百万円の学生です。 そして、大学が閉まっていて、学生相談室でのカウンセリングが受けられない。実家を出てひとり暮らし、飲食店でのアルバイト代を生計費に充ててきたが、新型コロナの影響で営業時間が短縮され、一カ月の収入は約九万円から半減した。家賃や光熱費、食費を払うと奨学金でも足りず、貯金を取り崩している。研究室や実験施設に立ち入れないことによって、大学での研究は何もかもとまる事態、研究テーマの見直しを迫られたり、十分な指導を受けられなかったりするなど、若手研究者の育成にも影響が出ている。こういう声がたくさん出ております。 大臣は、こうした学生たちの、大学院生たちの声をどう受けとめられるでしょうか。国としてもしっかりと支援をするべきではないでしょうか。
○萩生田国務大臣 これまでの国会審議においていただいた御意見や、学生が代表となっている団体からの要望書を通じて、学生の皆さんが今置かれている困難な現状については承知をしておるつもりです。 現在、経済的に困難な学生等に対しては、本年四月に開始した、真に支援が必要な低所得世帯を対象とする高等教育の修学支援新制度及び従来のより幅広い世帯を支援対象としている貸与型奨学金の両制度において、家計が急変した学生等への支援も行っております。 また、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により家計に急変を生じた学生に対しては授業料等の納付猶予や減免等を行うよう、文部科学省から各大学に要請しており、約九六%の大学でそれら納付猶予等の取組がなされている現状となっております。 一方、授業料、施設整備費等の学納金は、一般に在学期間全体を通じた教育に対するものであり、一時的に学生が通学できない期間が生じる中においても、例えば約七割の大学等において遠隔授業が実施されるなど、大学においては学修機会の確保にしっかりと取り組まれているものと承知しております。 このため、文科省としては、単に授業料等を一律に減ずるのではなく、各大学においてさまざまな手だてを通じて学修機会の確保等に取り組んでいただくとともに、経済的に困窮している学生に必要な支援が確実に行き渡る方策を講ずることが重要と考えており、そのための支援を行っております。授業料の、学納金の取扱いやその支援を行う制度等について、まずは各大学においてしっかり対応していただくことが重要であり、文部科学省としては、大学独自の授業料減免への支援など、大学としても努力をいただく中で、ともに伴走しながら必要となる支援を国として検討してまいりたいと考えております。
○畑野委員 大学がやればそれを応援するということですね。私たちもそういう法案ですよ。 では、実際にどういう予算か。この間も予算委員会の審議でありましたけれども、補正予算で各大学独自の授業料減免等に対する支援、国立大学、私立大学に対する額と対象人数を教えてください。
○伯井政府参考人 お答えいたします。 まず、高等教育の修学支援新制度における授業料減免措置というのは約二千五百億でございます。また、今般の補正予算において、各大学が独自に行う授業料減免の支援額といたしまして、国立大学が四億、私立大学三億の計七億でございます。 これは平成二十年九月のリーマン・ショックの際の実績額を踏まえまして、高等教育の修学支援制度との関係も整理した上での算出ということで、予算積算上、対象学生数を何人と予定して算出したものではございませんし、また、実際に支援される人数というのはそれぞれの大学の取組によって変わってまいりますが、先般予算委員会でもお答えを申し上げましたが、数字ということでございますので、仮に、国立大学において全て全額免除を行うというふうに仮定すると約七百人の免除、それから、私立大学について、各大学における授業料減免の実績に基づく平均額から算出すると約千六百人分の金額という試算でございます。
○畑野委員 コロナ対応の補正予算の話を聞いているわけです。七百人そして千六百人、これだけですよ。全く足りないわけです。大学側の自助努力には限界がある、国も積極的に乗り出すべきだという声が出ております。 日本私立大学団体連合会が、四月二十八日付で「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う学生支援にかかる課題」を発表しております。その中で、アルバイトの解雇等により学生の学修継続が危ぶまれている、私立大学学生の学費プラス生活費に占める学費の割合は約六八%、国立大学学生は約四三%を占めており、学費の負担感が大きい、私立大学学生の収入はアルバイトや奨学金による割合が高く、アルバイト機会の喪失や著しい減少により、学費や生活費の支弁に重大な支障を来すこととなり、ひいては修学継続を断念せざるを得なくなる学生が続出することが懸念されると指摘しております。 そして、補正予算の私立大学等授業料減免等支援制度では不十分なため、学生を広く救済する総合的な方策が統合的に構築される必要があると要望されているんです。その一方策として、いわゆる中間層に該当する給与所得者八百四十一万円以下までを対象とする私立大学等経常費補助金の特別補助であった授業料減免制度の復活が強く望まれると言っているんです。 こういう大学関係者の御要望をどう受けとめられますか、大臣は。国として支援を強めるべきではありませんか。
○萩生田国務大臣 まず、この事態で学生の皆さんが修学を断念するようなことがあってはならないと思って、そこはしっかり支えていきたいと思います。 今、私大連合会の要望については、私どもが直接受け取ったんじゃなくて、インターネットや何かで発表されているものだと思うので、それはそれで御意見として真摯に受けとめたいと思うんですけれども、私、さっきも他の委員の皆さんにお答えしましたけれども、やはり大学も、学生の立場をしっかり見きわめて一緒に対応してもらわなきゃいけないと思うんですね。 先ほど、学校だけではやれないとおっしゃいました。学校だけではやれないから、我々文科省としても応援しようと思っているんだけれども、学校は何もしないけれども応援しろというのは、これは順番が逆じゃないかということを私は機会があるごとに申し上げていますし、大学関係者から、私学の皆さんから要望があったときにもはっきりそれは申し上げました。 すなわち、こういう状況で、自分の学校に在籍している学生たちがどんなに困っているかをやはりきちんと寄り添って聞いてあげなきゃいけないんじゃないか。学生支援の窓口が、電話をしても出ないという学校があったりする。あるいは、私立の学校では、OBの皆さんに、この状況を救っていくためにも経済的困難な学生のための奨学金をつくりたいので寄附を募っている。OBの皆さんに少し後輩たちを応援してくださいと頑張っている学校もあれば、そういうことをしないで、創立何十周年の記念事業の基金の寄附金の振り込みを送ってくる学校もあるのも現実なんですよ。 ですから、ここは私は学校の皆さんにも目を覚ましていただいて、今目の前にある、自分たちの学校の学生さんたちが困っているんだったら、それに対応する、まず策を講じてくださいと。その上で、七億円の話を、私、御党の小池議員から参議院の予算委員会で聞かれて、全く少ないということをはっきり申し上げました。だから、ちゃんと次の補正で積み増しもします。 だけれども、前提としては、学校がまず自分の学生を助けるんだ、うちの学校から退学者は出さないんだ、そういう努力をしていただく中で、国がどういう応援をできるかが順番としては重要なんじゃないかと思っておりますので、そこは、学生の皆さんを応援する気持ちは十分持っていますから、まずは学校の皆さんにも一緒になって頑張っていただくということを改めて呼びかけてまいりたいと思います。
○畑野委員 そうであるなら、本当に大臣、聞いてください、学生からも大学からも直接。どうですか。
○萩生田国務大臣 いろいろな機会を通じてお話は聞いているつもりでおります。 例えば、私立大学は最もキャッシュがあるのは何月かといったら、五月から六月なんですね。受験が終わって、入学金が入ってきて、もちろん、これは今授業料の減免あるいはその延納のお願いをしていますから、従来どおりのキャッシュは入ってきていませんけれども、三月で私学助成の半額以上は既に学校にお納めしています。ですから、一年を通じて最もお金があるはずのときに何もできないというのは、ちょっと私は理解が逆にできないんです。必要があれば十一月の私学助成の前倒しもするということも、はっきり私学協の皆さんにもお伝えしています。
○畑野委員 大学だけでなくて、全ての事業者が今後の将来の見通しが立たないんですよ。あなたが言った、授業料のあり方とか、そういう話と矛盾するじゃありませんか、大臣。 そうじゃなくて、今はコロナの緊急事態なんだから、大学も物すごく苦労していますよ。オンラインのあれだってパンクしちゃうような、そういう状況に心を寄り添って、いや、もちろん大学は頑張っていますよ。いろいろなオンラインの設備のための、学修支援を何十億という予算をかけて学生たちに振り向けるという大学だっていっぱい出ているじゃありませんか。御存じでしょう。 そういうときに、まず、人ごとにするんじゃなくて、教育の取組というのを本当に政府は支援をするんだ、そういう発信を萩生田大臣がしなかったら、大学の責任にされても、自粛要請を始めたのは、コロナによる、政府なんだから、大丈夫ですよ、自粛と補償は一体にと、これは本当に私は求められると思うし、まさに憲法と教育基本法の立場に立ってやるべきだということを申し上げたいと思います。 大学がやるというんだったら応援するというわけだから、そういうふうに両方でやってください。鶏が先か卵が先かではないです。同時進行でやっていただかないと、これは困るということを申し上げたいと思います。 それで、伺いますが、家計急変の学生への支援です。これを求めてまいりました。修学支援新制度について確認します。申込みのそもそもの見込み数、それから応募人数、採用人数、また家計急変を理由とする応募数について伺いたいと思います。新制度の申込み見込みというのと応募数と採用数というのは、それぞれ学生の何%かも教えていただけますか。
○伯井政府参考人 お答えいたします。 令和二年度予算におきまして、修学支援新制度における支援対象者数は約五十一・四万人と見込んでおります。これは割合でいいますと、大体、学生数は三百五十万人と見込んでいますので、今ちょっと計算して、約一五%程度かと思われますが、そういう数でございます。それから、申請数につきましては、昨年度末時点で、新入生十八万人、二年生以上の在校生が十八万人の合計三十六万人となっております。既に採用が決定した者には、順次、奨学金の振り込み手続等が進んでおります。 また、新型コロナウイルス感染症の影響により、締切りを延長しなきゃならない、一カ月ちょっと先延ばしで申込みをしておりますので、最終的な人数というのは現段階では確定していないという状況でございます。 また、四月から新たに採用を開始するとともに、家計急変への対応ということで、それを加味した、家計急変対応の家庭の学生から申込みを受け付けているところでございまして、支援対象者数の全体像が判明するのは夏ぐらいになる見込みでございます。 その家計急変を理由とする申請につきましては、四月末時点で約千件以上の申請がなされているというふうに伺っております。
○畑野委員 そもそもの制度が一五%だと。これは大学院は入っていませんよね。そして、申請しているのは全体の学生の一〇%。採用数は、今のところ十数万人というふうに伺っていますから、まだ全ての学生の数%、そういう状況だと思うんです。 それで、家計急変の応募が千人ということで、資料をつけておきましたけれども、この間、やはり収入減少の期間を短くすることや、公的証明書ですね、罹災証明にかわるということで言われてきたんですが、そういうものは申し込んでももらえない状況ですから、そういうものがなくても申請できるなどの手続の簡素化を求めてきたんですけれども、これは大臣、どうなっているでしょうか。
○萩生田国務大臣 先ほどの議論にちょっと戻るんですけれども、私は全ての大学がそうだと言っているんじゃなくて、先生がおっしゃるように、オンラインなどで努力している学校もいっぱいありますし、あらかじめ学生たちにお金を戻して、そして家庭学習の応援をしている学校もあることは承知しています。ただ、そうじゃない学校もあるので、そこは伴走しましょうね、一緒にやりましょうねということなので、誤解のないように。応援する気持ちは十分持って、今対応しています。 高等教育の修学支援新制度において、新型コロナウイルス感染症の影響により家計が急変した場合には、それを加味した所得見込みで支援の判定を行うこととしております。 その判定に当たっては、当初は、減収後三カ月分の収入に基づき算定することにしておりましたが、新型ウイルス感染症による家計急変の場合は、減収後一カ月分の収入のみで判定することができるようにしております。 また、新型コロナウイルス感染症拡大によって収入が減少したことを確認するため、各種公的支援を受けていることの証明書類の提出を求めていたところ、公的証明書を提出できない場合であっても、申告書を提出することによって申請できるように手続の簡素化を行いました。 こうした取組により、新制度の支援を学生たちに迅速に届けることができるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
○畑野委員 なくてもできるようにしているということですね。届出というのは、先ほど他の議員からもありましたけれども、本当に急がれているので、おくれることのないようにしていただきたいと思っているわけなんです。 これは前進なんですが、しかし、先ほどもあったように、この修学支援新制度というのは、大学院生や多浪生、留学生、そして中間所得層は対象外なんですよね。家計急変といった場合にはそれは入ってくる人もいるかもしれません。そもそも、制度設計が省かれている人たちがいるというふうに思います。 大臣、先ほどもう一回言い直した、一部の大学のことを言っているんですと言っているんですけれども、そうやって大学ごとに仕分けていくと問題があるんですよ。学生たちが一律に学費の半減と言っているのは、分断をつくらない、みんなで大学を応援しよう、学生たちを応援しよう、そこでこそ社会が動くんだということを、運動の中でつかみながらそういう呼びかけをしているんです。私、分断という発想はぜひやめていただきたいと思うんです。 大臣、順序が違うとよく言うんですけれども、もう一回確認ですけれども、じゃ、大学が半減しますよというふうにしたら、その分、国は補填するという格好でやるということでいいですか、確認ですけれども。
○萩生田国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、一律に同じ支援をするということじゃなくて、やはり各学校の取組に対して支援をしていきたいと思っていますので、例えば、半減したら半分は国費で埋めるということが果たして国民の皆さんの理解をいただけるかどうかということもありますので、直ちにそういうことを約束はできませんけれども、しっかり学校経営ができるように応援はしていきたいと思います。
○畑野委員 ぜひ、今度のコロナの件で、やはり大学の学費のあり方が問われていると思います。OECD諸国の中で、日本の高等教育に対する公費の支出は際立って少ない。学生、保護者の負担が大き過ぎるわけです。国際人権規約の高等教育の漸進的無償を進めるということは本当に必要で、今回の新型コロナ問題でいえば、大学も、学生、保護者も両方支援する必要があるということを強く訴えておきたいと思います。ぜひ野党の法案も検討していただきたいと申し上げておきます。 時間がなくなってしまいましたので、次に進みます。 二月二十七日、春休み期間までの学校の全国一斉臨時休業の要請がありました。その後、緊急事態宣言が発出され、そして延長され、きのう、特定警戒都道府県以外の三十四県と特定警戒都道府県のうちの茨城、石川、愛知、岐阜、福岡の五県の計三十九県について緊急事態宣言が解除されました。これを受けて、今月末を待たずに再開される学校も広がっていくと思います。 この間、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの皆さんが臨時休業中に集めた緊急子供アンケートがあります。一番多かったのが、日常生活が送れていない、外出できないことやお友達と会えないということだったと述べられています。 学校での預かりがあっても、お友達と遠く離れて座り、ランチでも一人で黙々と食べ、話したらだめ、一緒に遊んだらだめはとてもつらい、小一。友達と会う回数がとても少なくなって連絡が余りとれなくなってしまった、それが一番の悩み、小六。学校好きなのに行けないからもやもやする、何もしたくなくなる、小三。笑うことが減った、小五。この一カ月近く、突然不安になって泣いたりすることが多くてしんどい、みんな心のコロナにかかっているってLINEで言っている、高二。こういう声です。 今後、臨時休業が続く地域と段階的に学校再開する地域とが併存する状況のもとで、それぞれの地域が実情に応じて子供の学びを保障していく上で、何よりもまず、子どもたちの置かれている状況や今紹介したような思いを学校や教職員がしっかり受けとめるところから、全ての教育活動を出発させることが一番大切ではないかと思うんですが、萩生田大臣の御認識はいかがでしょうか。
○萩生田国務大臣 私もそう思います。 昨日の緊急事態宣言の一部解除を踏まえ、地域や学校の実情に応じて学校の段階的な再開が進んでいくものと考えておりますが、学校再開後においては、児童生徒の心身のケアに十分留意しながら、臨時休業期間中の学習のおくれを取り戻すことが重要です。 これまでも、臨時休業期間中において、児童生徒が自宅等にいる状況であっても、規則正しい生活習慣を身につけ、学習を継続するとともに、学校の再開後を見据え、学校と児童生徒との関係を継続することができるように可能な限り措置を講じることについて、通知等においてお示しはしてきたところでありますけれども、実際には対面していないわけですから、なかなかその効果が評価しづらいと思います。 感染防止を徹底した上で、分散登校など可能な限りの工夫を行って、まずは児童生徒一人一人の状況を丁寧に把握し、児童生徒の発達段階も踏まえながら学習指導を充実していくことが求められます。 依然として心理的なストレスを抱えている児童生徒も存在すると思いますので、児童生徒等の状況を的確に把握し、健康相談等の実施やスクールカウンセラー等による支援を行うなどして、心の健康問題に適切に取り組むことが再開後最も重要だと思っております。 文科省としても、児童生徒へのきめ細かな指導のための教員の加配や、退職教員等も活用した学習指導員、スクールカウンセラー等の追加措置などを通じて、各自治体、学校の取組をしっかり支援してまいりたいと思います。
○畑野委員 臨時休業中の学びの保障について、四月十日付の局長通知で、教科書に基づく家庭学習を課すことを求め、「教師がその学習状況や成果を確認し、学校における学習評価に反映することができる」としています。また、この通知は、登校再開後の指導について、家庭学習の内容の定着が見られ、再度指導する必要がないものと学校長が判断したときは、学校の再開後に、当該内容を再度学校における対面指導で取り扱わないこととすることができるとしています。 しかし、これが現場では混乱を呼んでいるんです。もう本当に、入学式、卒業式もできなかった、あるいは行ってもプリントだけもらってくるという実態が、私が聞いたあるお母さんからも切実に訴えられまして、親はもう本当に大変だ、子供も気の毒だと。じゃ、新しいことを家でやったから、あとは学校で省略ねというのでは、これはもう本当に大変だと思うんですね。 大臣に伺いたいんですが、こういう家庭学習の状況は今いっぱいあるんです。もう時間がないから言えませんけれども、機械的に学習評価に反映したり、もう授業で教えませんよということがあってはならないと思うんですが、いかがでしょうか。簡潔で結構です。
○萩生田国務大臣 そのとおりです。 プリントをやったから、それで授業をやらなくていいという意味の通達じゃないので、そこはぜひ誤解のないようにお願いしたいと思います。
○畑野委員 それで、そういう点では、夏休みを三分の一にするとか、もう全部の行事をどかすか削減するとか、そういう話も出てきているんです。 私は、あの四月十日の局長通知で、学校教育は、教師から児童生徒への対面指導、児童生徒同士のかかわり合い等を通じて行われるものだというふうに言っていることは、大事だと思うんですね。しかし、何でこんな焦った話になるかというと、とにかく教科書を全部終わらせなくちゃいけないというふうになっているからだと思うんです。 今は、傷ついた子供たちを受けとめるということが大事なので、私は、子供たちにこれだけはという単元や教材をえりすぐって、省略する、あるいは先送りできる課題や単元は年度内に詰め込まない、学習指導要領にとらわれなくてもいいと思うんですね。 学習課程の思い切った精選を行って、ゆとりを持った授業を行えるようにする必要があると思うんですが、柔軟な対応を行うことが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○萩生田国務大臣 児童生徒の学習に著しいおくれが生じることのないよう、各自治体や学校が主体となって必要な措置を講じていただくことが大事です。 そのためには、感染防止対策を徹底した上で、登校日の設定や分散登校の実施などにより段階的に教育活動を再開させること、再開後には、時間割り編成の工夫、長期休業期間の短縮、土曜日の活用、学校行事の重点化等のあらゆる手段を活用し、最大限、今年度の学校における教育活動を充実させていただくことが重要であると考えています。 一方で、今後も長期的に感染拡大を防ぐ必要があるとされており、地域によっては臨時休業や分散登校の長期化が続いたり、一旦終息しても、再度感染者が増加するなどの事態も想定されます。 御指摘の学習指導要領については、各学校段階において全国の子供たちが共通に学ぶ必要のある内容を定めたものであり、その取扱いを、直ちに変更を加えることは考えておりませんけれども、しかし、各都道府県教育委員会に対し、先ほど述べたあらゆる手段を講じて、学校における学習指導を充実してもなお今年度予定していた内容の指導が終わらない場合の特例的な対応について、通知を発出する予定です。最終学年以外の児童生徒については、次年度以降を見通した教育課程を編成すること、学校の授業における学習活動を一部重点化することなども考えられる旨を示し、今後、各設置者等の参考となる詳細な情報を順次提供する旨お知らせする予定です。 今後とも、関係自治体と連携を図りながら、児童生徒の学校生活の充実が図られるように取り組んでまいりたいと思います。
○畑野委員 最後に伺います。 再開した学校で感染症対策を進める上で、やはり少人数のクラス分けとかが必要になってくると思うんです。私、退職教員にも積極的に協力を含めて、今年度、緊急措置として二十人以下学級にしていく、一人一人に丁寧に対応していくということをやったらどうかと思うんですけれども、どうでしょうか。
○丸山政府参考人 お答えを申し上げます。 学校の再開に当たっては、地域の感染状況を踏まえつつ、子供たち一人一人のきめ細かな学習指導を実施するため、学級を複数のグループに分けること、また、分散登校により時間帯を分けることなどにより、学習集団を小規模化し授業を行うことが考えられます。また、家庭学習の支援や、学びのおくれに対応するための補習等を行うことも考えられます。 このような取組を実施するためには、学校全体の指導体制の充実を図る必要があり、昨日ありました総理指示も踏まえ、加配教員、学習指導員、スクールサポートスタッフの追加配置ができるように全力で取り組んでまいりたいと考えております。 人材確保には一定の期間を要するため、先日、大臣の方から、退職をされた先生方に向けて協力をお願いする旨のメッセージを発出しております。また、学校・子供応援サポーター人材バンクというものも今開設をしているところであります。 休業明けの学校現場は、これまでに経験のない状況下で、学習支援を始め、子供たち一人一人のきめ細かな配慮がいつも以上に必要になると考えます。ぜひとも、退職教員や学校の先生方からの協力を得ながら、しっかりと再開に向けた支援を取り組んでいきたいと考えております。
○畑野委員 時間が参りましたので、保健室へのサージカルマスクの問題とかを聞こうと思いましたが、引き続き、ぜひ大臣、進めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。