萩生田光一文部科学相は22日の衆院文部科学委員会で、新型コロナウイルス後の学校のあり方について、小中学校での40人学級の見直しも含めて検討を進めるとの考えを示しました。日本共産党の畑野君枝議員に対する答弁。

 小中学校の学級編成について定めた義務教育標準法は、小学1年を1学級35人以下、それ以外を同40人以下としています。教室での密接や密集が避けられず、感染予防上の問題が指摘されています。

 畑野氏は、政府の今年の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)に盛り込まれた「少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備」の検討について、検討対象に義務教育標準法の見直しが含まれるのかと質問。萩生田大臣は「現在の64平方メートルの部屋(教室)に40人が入る環境が、本当に今後の感染症に耐え得るか、しっかり考えていかなければならない。少人数の有効性を深掘りしたい」と述べ、含まれることを認めました。

 畑野氏は「少人数学級は国民的な幅広い要求になっている」と強調。経済協力開発機構(OECD)加盟国で最低となっている日本の教育予算水準をOECD平均並みに引き上げることに、日本共産党から自民党まで7政党全てが賛成していることをあげ「少人数学級は全政党が力を合わせて実現していくべきものだ」と迫ると、萩生田大臣も「自民党から共産党まで全ての政党が教育予算を増やせということを言っていただいている、大変心強い」と応じました。

(7月23日しんぶん赤旗)

 

【議事録】

○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。  このたびの豪雨災害そして新型コロナ感染症で亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、被災された方々、感染された方々に心からお見舞いを申し上げます。  新型コロナ感染症の影響により、約三カ月にわたる学校での臨時休業を経て、六月から学校が再開されています。この間、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県などで、教育長、教育委員会、また教職員の方々からお話を私も伺ってまいりました。  少人数の分散登校で、四十人学級を、小学校では二つに分ける、中学校では体も大きいので三つに分けるなど、それぞれ取組をされておられます。分散登校時の二十人以下のクラスでは、子供たち一人一人に言葉がかけやすく、勉強もじっくり見てあげられた、わかる、できることへの喜びを持つ子がふえた、教師が子供たちに丁寧に接することができると子供たちの方も見てもらえているという意識から集中力が高まったなど、少人数学級の効果が上がるという声が異口同音に聞かれました。  全国連合小学校長会会長の喜名朝博氏も、六月二十二日付の日経新聞で、ウイズコロナ時代では二、三十人が適当では、一学級二十人なら分散登校も要らないし丁寧に目配りができると述べられています。  萩生田光一大臣に伺います。少人数学級を歓迎するこうした声をどのように受けとめていらっしゃいますか。

○萩生田国務大臣 お答えします。  少人数の分散登校において、常時と比較しきめ細かな指導が行えた、子供と触れ合う時間が確保できたという先生方の声や、あるいは、質問がしやすかったという子供たちの声を含めて、さまざまな声を承知をしております。また、月曜日に開催された教育再生実行会議におきましても、大人数のクラスが不登校の壁になっているとの指摘が委員からございました。  このような現場の声や、これまでのコロナウイルス感染症対応を踏まえ、新しい時代の学びを支える環境整備のあり方について検討してまいりたいと思います。

○畑野委員 そこで伺いたいのですが、七月十七日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇、いわゆる骨太方針には、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備が盛り込まれました。これは、小学校一年生一クラス三十五人、それ以外は四十人としている現在の学級編制基準を見直し、少人数学級を進めるという観点も含まれているのでしょうか。

○丸山政府参考人 お答え申し上げます。  これまでの新型コロナウイルス感染症対応を踏まえ、子供たちの学びを保障するとともに、GIGAスクール構想のもと、個別最適化された学びを実現することができるよう、児童生徒一人一台端末のもとでの効果的なICTの活用や、身体的距離の確保など、新しい時代の学びを支える環境を整備することが重要であるというふうに考えております。  教育再生実行会議において、全ての子供たちの学びを保障するため、令和時代のスタンダードとしての新しい時代の学びの姿や、その中での少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備などのあり方について議論をしていただくこととしており、このような議論も踏まえまして、関係者間で丁寧に検討してまいりたいと考えております。

○畑野委員 そうすると、少人数学級を進めるという観点が除かれていない、含まれているということでいいでしょうか。確認を大臣にお願いします。

○萩生田国務大臣 今局長が答弁したとおりでございまして、コロナ後の学校のあり方というのを幅広く検討していきたい。その中には、現在の六十四平米の部屋に四十人が入る環境が本当に今後の感染症にたえ得るかということもしっかり考えていかなきゃならないと思っていますので、そういった意味で、少人数の有効性というものも深掘りをしていきたいと思います。

○畑野委員 大事な御答弁を大臣からいただきました。ぜひ進めていただきたいと思うんですが。  実は、七月二日に、全国知事会、全国市長会、全国町村会が連名で、少人数学級のために、少人数編制を可能とする教員の確保を求められました。七月十六日には、教育研究者有志が、早急に三十人学級、その後速やかに二十人程度の学級への移行を実現するよう求めて、全国署名がスタートしています。私たち日本共産党も、六月二日、二十人程度の少人数学級を提案してまいりました。  新型コロナ感染症の影響の中で、子供たちの学び、心身のケア、感染症や、また災害対策などのために、少なくとも三十人学級、二十人程度の少人数学級実現は、今や国民的な幅広い要求になっていると思います。  日本の初等教育から高等教育の公的支出がGDPに占める割合は二・九%と、OECD加盟国三十五カ国中最下位です。ことしの二月から三月にかけて、SDG4教育キャンペーンが各政党にアンケート調査を実施いたしましたが、自民党の皆さんから私たち日本共産党まで七政党全てが、教育予算をOECD平均並みにふやすことに賛成をしているという状況です。ですから、この少人数学級を含めて、教育の前進というのは、全ての政党が今力を合わせて実現をしていくものだというふうに思います。少人数学級もそういう課題になっております。  そこで大臣に伺いますが、全国知事会、全国市長会、全国町村会からの少人数学級への要望などに応えて、大臣としても少人数学級を進めるために頑張るというふうに言っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○萩生田国務大臣 全国の地方三団体からは、現在の四十人学級では感染症予防のために児童生徒間の十分な距離を確保することが困難であること、GIGAスクール構想において、最適な学びを実現するためには少人数によるきめ細かな指導体制が必要であることから、少人数学級ができる教員の確保が必要との要望をいただきました。  このような要望も踏まえ、また、今先生から御披露いただきましたように、自民党から共産党まで全ての政党が教育予算をふやせということを言っていただいている、公の議会の場でそのことを御披露いただいて大変心強く思います。  全ての子供たちの学びを保障するための少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備などについて、関係者間で丁寧に検討してまいりたいと思います。

○畑野委員 ぜひ少人数学級を進めていただくように大臣に頑張っていただきたいと、党派を挙げてこの取組を進めていく必要があるということを訴えたいと思います。  指導体制の整備という点で、次に伺いたいのは、学校の中で唯一設置基準がない特別支援学校の問題です。  児童生徒数の増加に教室が追いつかずに不足をし、過大、過密化していることが指摘されてまいりました。新型コロナ感染症対策では、基礎疾患のある子供たちが多く在籍する特別支援学校は、とりわけきめ細やかな対策が求められます。  新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議のこれまでの議論の整理で、国は特別支援学校に備えるべき施設等を定めた設置基準を策定することが求められるということが盛り込まれましたが、どのように大臣は受けとめていらっしゃいますか。

○萩生田国務大臣 近年、各都道府県でも特別支援学校の新設等が進められていますが、特別支援教育を必要とする子供の増加により、教室不足が生じていると認識しております。  こうした状況を踏まえ、新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議において、特別支援学校の設置基準のあり方について検討を行っております。  七月十七日に中教審の特別部会で報告されたこれまでの議論の整理では、特別支援学校の教育環境を改善するため、国は特別支援学校に備えるべき施設等を定めた設置基準を策定することが求められると示されているところです。  今後、有識者会議における議論を踏まえて検討を進めてまいりたいと思います。

○畑野委員 大変重要だと思うんですね。今後の検討に当たっては、障害種ごとの基準、児童生徒数や学級数の上限、障害に応じて必要とされる施設や特別教室、通学時間の上限なども含めて検討するよう求めておきたいと思います。  今、学校では、文科省の、学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルに基づいて感染症対策が行われています。四十人学級では、教室内で子供たちの間を二メートル、最低一メートル確保することが物理的に困難です。多くの学校現場では、学習や感染症対策と四十人学級とのジレンマに本当に苦しんでいらっしゃいます。  私は、先ほど大臣もお答えになりましたが、今後、定数改善などを行って、少人数学級とそれにふさわしい教員増を行っていく必要があると思います。同時に、今緊急の対策で求められているのが、学校現場への人の配置です。  そこで、三点伺います。  一つは、第二次補正で措置された加配教員、学習指導員、スクールサポートスタッフの配置状況と、今、手を挙げようかな、加配教員三千百人、でも、うちに来るのは少ないかなと思って諦めているところもある。随時それは要請に応えるということなんですが、補正で措置された以上にニーズが来た場合に、この追加支援を行っていく必要があるのではないかということです。  二つ目に、毎日の教室の消毒作業が大変で、教員の負担もふえています。教育長さんからは、もうとにかく先生方が気の毒です、消毒作業から解放してあげたいという声が上がりました。学校再開に伴う感染症対策、学習保障に係る支援経費やスクールサポートスタッフの経費は、消毒業者への作業を委託する費用にも使用ができるのかということです。  三つ目に、教職員がPCR検査を受けられるように国として検査体制を強化する必要があると思いますが、この三つの点について伺います。

○丸山政府参考人 お答えを申し上げます。  まず一点目の、二次補正予算で措置をされました加配、それから学習指導員、スクールサポートスタッフの配置の状況ということでございますが、御案内のとおり、全体として約八万五千人分、三百十億円の計上に対しまして、現在、各自治体からその八割弱に当たる六万七千人分の申請をいただいております。先週末、各自治体に内示を行ったところでございます。  これを踏まえまして、少人数指導や、放課後、夏季休業中の補習、習熟度別学習の実施など、全国各地において、学習指導を実施するための人員の配置や、校内の消毒等の教員業務支援のための人員の配置などが大規模に実施をされる予定であります。  なお、今後のことでございますが、既に各自治体に対して二次募集を始めておりまして、現場や教育委員会の声をしっかり聞きながら、各自治体における追加ニーズに迅速に対応していきたいと考えております。  それから、二点目の感染症対策等々でございますけれども、同様に、二次補正予算で措置をしております学校再開に伴う感染症対策、学習保障等に係る支援事業、先ほど御説明をしましたスクールサポートスタッフの追加配置等におきまして、お話しいただきました学校の消毒作業を業者に委託等々を行うということについても補助の対象としております。  これらの事業を活用しながら、設置者において感染症対策と子供たちの学びの保障に取り組んでいただけるよう、引き続き支援をしてまいりたいと考えております。  それから、三点目のPCRの検査でございますが、現在、感染症法に基づいて行政が行うPCR検査は、感染が判明した者、疑わしい症状のある者、接触者など、感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者等を対象として実施をされております。  これを踏まえまして、合理的な理由なく希望に応じてPCR検査を実施することは考えておりませんが、教職員が安心して教育活動を行えるように、引き続き必要な支援をしてまいりたいというふうに考えております。

○畑野委員 先ほどPCR検査の議論もありましたけれども、例えば、感染拡大が進んでいる地域ですとか、そういうところを含めて進めていただくことが大事だというふうに思います。  また、加配教員など、私が伺ったのは、今国が補正でつけた分を超すような要望があった場合に、それにも応えるようにぜひ検討していただきたいということですので、お願いをいたします。  さて、今年度の全国一斉学力テストは、新型コロナ感染症による休校措置等で中止になりました。当初予算額とその後のキャンセルなど含めた執行状況はどうなっているのかというのを伺いたいのと、このコロナの感染症の状況の中で、来年度、二〇二一年五月二十七日に全国一斉学力テストを実施するということで驚きました。  文部科学省は、この間、学習内容の重点化や、次年度、次々年度にその内容を移すことなど、児童生徒や教員の負担への配慮を求める通知を出しておりますので、それとも矛盾すると思います。  来年度の全国一斉学力テスト、これはやめるべきだと思いますが、いかがですか。

○浅田政府参考人 二点御質問いただいたと思います。  まず、今年度の全国学力・学習状況調査は、当初、四月十六日に実施をする予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の学校教育への影響などを考慮して、実施を中止することといたしました。  なお、調査問題はもうでき上がっておりますので、各自治体、学校の判断で活用していただけるように、全国の学校、教育委員会にお送りをしたところです。  今年度の実施に係る当初の契約額、小中合計で約三十五億円でございました。これが、中止に伴って、その中で、例えば、調査結果の回収であるとか、あるいは採点、集計といったことが不要になります。したがって、この契約について、現在、その執行状況の精査を行っているところでございます。  もう一つ、来年度の全国学力・学習状況調査につきましては、これも新型コロナウイルス感染症で学校教育に大きな影響が生じていることを踏まえて、当初は令和三年四月二十日に実施をするということをもう既に公表、連絡しておりましたが、これを一カ月余り後ろ倒しして、五月二十七日に変更いたしました。  あわせて、調査日に調査を実施できないケースというのは、これは間々ございますけれども、そういった学校が事後的に調査を行う後日実施というのも設けておりますが、その後日実施の期間につきましても、これは例年二週間程度とっているんですが、今回は、その期間を約一カ月間に延ばして、六月三十日までこの後日実施で調査を受けていただくということを可能にしたところでございます。  教育課程の編成につきましては、次年度以降を見越した教育課程の編成も含めた学習指導上の工夫について、これは、それぞれの学校で、児童生徒や教職員の負担等も踏まえながら、その時々の感染状況等も見きわめて、各学校で適切に対応いただくものだと思いますけれども、さきに述べました来年度の日程の変更によって、各学校の実情に応じて柔軟に日にちを設定して調査を実施していただくことが可能ではないかなと考えております。  なお、この調査自体は、全国的な児童生徒の学力、学習状況を把握、分析して、教育指導の充実、学習状況の改善に役立てるということを目的とした重要な調査だと考えておりますので、この日程で実施できるように準備を進めていきたいと考えております。

○畑野委員 三十五億円ですよね、ことし。来年の学テはやめて、やはりコロナ対策に回すべきだということを申し上げ、最後の質問として伺いたいのは、ことしの二月十日の予算委員会で、私は主体性評価の問題について質問をいたしました。やめるよう求めてまいりました。  教育情報管理機構の決算報告書、事業報告書が提出されましたが、機構の二〇一九年度当期純利益はどうなっていますか。

○伯井政府参考人 御指摘の教育情報管理機構の二〇一九年度の当期純利益は、マイナス五千三百八十万八千六百五十円となっております。

○畑野委員 大変な赤字ですよ。だからやめなさいということを言ってきたので、先ほど委員会でも議論になりましたが、ジャパンeポートフォリオの活用はきっぱりやめるべきだということを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。