神奈川県相模原市緑区長竹の韮尾根(にろうね)地区に建設を予定している「津久井農場計画」の問題で25日、日本共産党の、はたの君枝衆院議員、大山奈々子、上野たつや両県議、田所健太郎相模原市議、井上博明、鈴木信一両愛川町議が計画予定地を視察しました。
 視察した予定地は山間の谷になっており、計画では100万立方メートルの土砂を地上から80メートルの高さまで「谷埋め盛土」し、農場を建設するとしています。事業主は「有限会社佐藤ファーム」(茅ケ崎市)で、盛り土などの工事を行うのは「株式会社フジタ」です。
 「谷埋め盛土」については、阪神・淡路大口災や東日本大口災等の際、盛り土した部分全体が滑り落ちる「滑動崩落」が各地で発生しています。予定地には沢が流れており、盛り土が滑動崩落すれば、下流域にある同県愛甲郡愛川町半原川北地区に深刻な被害を及ぼす恐れがあります。
 農場建設反対運動をしている「韮尾根自治会環境委員会」の鈴木秀徳さんは、「事業者の説明にも不明確な点が多い。農場が造られてしまえば住民は命の危険の中で暮らさざるを得なくなる。絶対に造らせてはならない」と話しました。

 その後、神奈川県の「愛川町半原地区の環境を考える会」と「相模原市緑区長竹地区韮尾根自治会『環境委員会』」が愛川町で、「津久井農場計画」問題の講演会を開きました。

  日本科学者会議長野支部の桂川雅信幹事は、大雨や地震で「谷埋め盛土」全体が地滑りを起こす事例が各地で発生しており、同計画予定地で地滑りが起きれば、下流域にある愛川町半原川北地区に深刻な被害を及ぼす恐れがあると指摘しました。また、同計画はリニア中央新幹線のトンネルエ事の残土処分が目的の可能性もあると指摘し、「業者が盛土後に農場建設を放棄すれば、誰も管理しない危険な盛土だけが残ることになる」と強調しました。

 鈴木秀徳さんは、農場計画の事業者「佐藤ファーム」と工事を担当する「株式会社フジタ」は住民に対して不誠実な対応を繰り返していると指摘。「事業のために住民の暮らしや命がこの先ずっと脅かされるなど言語道断」と、計画中止を呼びかけました。

(7月28日、31日しんぶん赤旗)