第192回国会 2016年10月21日法務委員会
職場移転の自由なし
外国人技能実習法案 衆院委で可決 畑野氏が反対討論
外国人技能実習法案が21日の衆院法務委員会で、自民、民進、公明の賛成多数で可決されました。日本共産党の畑野君枝議員は「外国人技能実習制度を適正化するとしているが、制度の持つ構造的矛盾をなんら解決するものではない」として反対しました。
畑野氏は、▽人権侵害の根源である支配従属関係にメスを入れない▽実習先選択の自由がない▽悪質なブローカーや法外な保証金を排除するための2国間取り決めの規定がない▽入管法改定で「介護」の在留資格を新設し、介護分野にも技能実習制度を拡大▽入管法の難民申請のあいまいな規定によって、外国人や支援者に対し人権侵害が拡大する恐れがある―と指摘しました。
畑野氏は反対討論で、「技能実習生は例外的な場合を除いて職場移転の自由がない。構造的な問題はそのまま。労働者として保護するというなら、実習先選択の自由を保障すべきだ」と求めました。
また「介護」分野へ技能実習制度を拡大することに対し、畑野氏は「実習生の日本語でのコミュニケーション能力だけでなく、介護サービスの質の低下や新たなトラブル発生の懸念がある」と批判しました。
自民、民進、公明各党提出の修正案に対しては、実習生の待遇の内容として報酬や労働時間、休日、休暇などを明記することや、日本人と同等以上の報酬額などを定めたため、実習生の待遇改善に資するとして賛成しました。
(2016年10月22日付 しんぶん赤旗)
【会議録】
○畑野委員 おはようございます。日本共産党の畑野君枝です。
外国人技能実習法案、入管法改正案について質問いたします。
これまで、この法務委員会、あるいは厚生労働委員会との連合審査、さらに二度にわたる参考人質疑を経て、技能実習制度の制度そのものに問題があるということが当委員会で多く指摘されてまいりました。法案で技能実習生の人権が守られるのか、法案が外国人技能実習生の問題を解決できるのか、疑問を抱かざるを得ません。
二〇一六年十月十六日付の朝日新聞で、フィリピン人男性に技能実習生の過労死認定がなされたと報道されました。お手元の資料、一枚目につけております。
「ジョーイ・トクナンさんは、ルソン島北部の山岳地帯で生活する少数民族の出身。妻レミーさん(二十八)と、娘グワイネットちゃん(五)ら家族を養うために一一年に来日した。岐阜県の鋳造会社で、鉄を切断したり、金属を流し込む型に薬品を塗ったりする作業を担当していた。一四年四月、従業員寮で心疾患のため、二十七歳で亡くなった。帰国まで残り三カ月のことだった。」「岐阜労働基準監督署によると、一カ月に七十八時間半~百二十二時間半の時間外労働をしていたとされる。労基署は過労死の可能性が高いと判断。昨年、遺族に労災申請手続きの書類を送った。」と報道ではあります。
二十七歳の若さで過労死に追い込まれた、痛ましい事件です。過労死する労働が技能実習なんですか。まさに奴隷労働と言わざるを得ません。
この間の技能実習生の過労死認定の事件を受けて、金田法務大臣に思いをお伺いします。
○金田国務大臣 委員がただいま御指摘されました件、技能実習生が長時間に及ぶ時間外労働があったとして労災認定を受けたことは承知しておりますし、そのような状況で技能実習生が亡くなられましたことには大変に心が痛む思いであります。
本件のような事案が発生することのないように、現在御審議をいただいております法案に基づく方策によりまして、管理監督体制を強化して技能実習制度の一層の適正化に努めていきたい、このように考えておる次第であります。
○畑野委員 大臣がおっしゃられた、それでは、こういった事件を本当になくすことができるのか、この点について続いて伺いたいと思います。
岐阜県は、愛知県に次いで全国二位の実習生受け入れ、中でも縫製業は全国一の三千人以上が働いています。その岐阜県で、桁違いの実習生受け入れ企業の労基法違反が続いております。労働局資料によれば、二〇一〇年の制度改正後も変わっておりません。最低賃金違反、割り増し違反、長時間残業、さらに証拠隠滅などを含めて、一層悪化しているというふうにも聞いております。
先ほどの報道のように、先日はフィリピン実習生の過労死が認定されました。その中で、岐阜の縫製業は、いつ過労死が発生してもおかしくない状況が続いております。毎日四時間、五時間の残業、一日も休みなし、一時間四百円の残業の契約書。労基法の三十七条、割り増し違反というのが岐阜県の最低賃金七百五十四円に対して行われております。これは、割り増し違反どころか割引残業代になっている。関係者からは、三千人の実習生の大半がこのような状態だというふうにも伺っております。
資料に、二枚目につけました。ごらんください。これが契約書になっております。
一番下のところ、時間外労働賃金額、一年目四百円、二年目四百五十円、三年目五百円。割り増しですから割り増さなくちゃいけないのが、減っているという状況です。
そして、同じ二枚目の右側の数字が並んでいるもの、少し見づらいんですけれども、その日の残業時間が書かれているんです、四時間とか五時間とか。日曜日は八時間と書いてあるので、何かと思ったら、休みの日に朝から残業しているというので八時間。こういう実態が技能実習生からの訴えで明らかになっているんです。
厚生労働省に伺いますが、このような実態は把握されていらっしゃいますか。
○藤澤政府参考人 お答えいたします。
外国人技能実習生につきまして、長時間労働が行われている事案や、時間外手当が法定額未満で支払われている事案、賃金が法定額未満で支払われている事案があることは把握しているところでございます。
○畑野委員 労働局の資料を三枚目につけさせていただいております。
岐阜県と岐阜の労働局と名古屋入管らが構成する技能実習生等受入適正化推進会議というのがあるんです。これが毎年、業界団体に、適正な工賃、長時間労働による健康障害等を防止するための計画的、合理的な発注を要請している。これが三枚目の、代表者殿というものです。
しかし、要請しても全く変わっていない。この文書によれば、厚生労働省、法務省は、岐阜の縫製業に対して、重大な不正が続いていることを承知して、一地方の問題じゃないという認識も示しております。しかし、とても事後規制の監督指導では追いつかないというのは現場の共通認識になっているわけです。
問題は、業界の工賃設定にあるという指摘があります。なぜならば、この推進会議は、十年間に五回、業界団体に対して発注工賃の適正化を要請しているんです。ところが、監督指導された業者は何と言っているか。この十年間、工賃は上がっていない、工賃の是正をお願いしてきたというふうに聞いております。十年間で五回、毎回同じ、一番最後のはそれをさらに強く求めているという内容になっております。
五回も発注工賃の適正化を求めた根拠は何か、厚生労働省に伺います。
○藤澤政府参考人 お答えいたします。
岐阜労働局では、広く県民や技能実習の監理団体あるいは実習の実施機関に外国人技能実習生等の受け入れ適正化のためのコンセンサスの形成を図ることが重要であるとの観点から、御指摘の技能実習生等受入適正化推進会議を設立し、開催しているところでございます。
今申し上げました趣旨に沿いまして、御指摘のとおり、平成二十年から平成二十八年までの間に五回にわたりまして、岐阜県の縫製業の団体に対し、発注契約においては適正な工賃を設定していただくことについて要請を行っていると承知しております。
○畑野委員 本当に重大な、本当に深刻な実態です。私も、これを読んで、伺って驚きました。五回も言っても言うことを聞かない、放置されている。
私は、経済産業省に、この実態を認識していらっしゃるのか伺いたいと思いますが、いかがですか。
○土田政府参考人 岐阜の技能実習生受入適正化推進会議の提言の件でございますけれども、足元の経済状況のもと、下請産業でございます縫製業を取り巻く状況は厳しいものであるというふうに認識しております。
経済産業省におきましては適正取引に関する普及啓発などに努めておりまして、毎年、業界団体等を通じて、取引対価の決定に当たりましては下請事業者と協議の上、適切な労務費を含めるように要請しておりますし、本年度もそのような要請を行う予定としております。
こういった縫製業の状況でございますけれども、当省といたしましては、生産工程における物づくり技術の高度化や地域資源を活用したブランド化等への支援を通じまして、繊維業界全体の振興に取り組んでまいりたいというふうに思っておりますし、適正取引ということにつきましては、法令遵守につきまして普及啓発等を実施するとともに、法令違反行為が疑われる情報を得た場合には厳正に対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○畑野委員 経済産業省に伺いますけれども、それで、実態はつかまれたんですか。
○土田政府参考人 これから関係省庁等とも連携いたしまして、そういった状況をつかんでまいりたいというふうに考えております。
○畑野委員 それぞれ聞けばいいと思うんです。上がってくるのを待つんじゃなくて、それぞれのところを全部、苦しんでいる中小企業、業者の皆さん、あるいは本当に苦しんでいる実習生の皆さん、きちっとやってほしいと思いますが、全数調査を直接やっていただきたいと思いますが、それぞれの省庁、いかがですか。
○宮野政府参考人 お答えいたします。
今後、また新たな今回の法律を成立させていただくということも踏まえまして、いずれにしても、新制度におきましてきちんと、その施行の中で、先生から御指摘のあったような実態についても把握して適切な対応をとってまいりたいというふうに考えております。
○土田政府参考人 関係省庁や地元岐阜県等とも連携いたしまして、そういった情報収集に努めてまいりたいというふうに思っております。
○畑野委員 岐阜県の方も、そういうふうに国が動けば一緒にやれると思うんですね。だから、ぜひきちっとやっていただきたい。
それで、工賃が上がらない状況で賃金を上げるというのは本当に大変なわけです。もちろんこういう事実をきちっと調査して、実習生の抱えた問題を解決していくということもやらないといけないということです。
それで、今ちょっと紹介しただけでも本当に衝撃的な実態なんですが、では、このような状況を法案が解決できるのかという観点から次に質問いたします。
まず、法案の、監理団体が今回許可制になるということが提案されておりますので伺います。
現行制度では、技能実習生が不正を告発して、監理団体が処分された場合に、その不正が原因で告発された事業所が別の名前で営業しているという事例も聞いているんです。
法務省に伺いますが、法案では、組合名あるいは代表者がかわれば、これまでと実体は同じ事業所だったという場合、許可するのかどうか、この点いかがですか。
○井上政府参考人 監理団体の事業の許可に関するお尋ねでございました。
今回の法案におきましては、監理団体の許可につきまして欠格事由の制度を整備してございます。その中で、過去に許可を取り消されるなど欠格事由に該当する事情がある場合には、法人の名前を変えようと代表者をかえようと、法人としての同一性が認められる限り許可を受けることはできません。
若干詳しく申し上げさせていただきたいと思いますが、さらに、許可を取り消された法人とは別の法人になったといたしましても、許可の取り消しの原因となった不正行為がございますが、その当時役員であった者が新たに許可を申請する法人の役員を務めている場合には、同様に欠格事由に当たることにしております。さらに、役員という概念ですが、名義上の役員ではなくて、形式上役員として登記されているかどうかではなくて、役員と同等以上の支配力を有しているかという実質的な概念で考えることとしてございます。
新制度ではこのように、いわゆる看板のかけかえのような行為には適切に対処できる仕組みとなっておりますので、過去に不正を行った団体につきましては的確に排除できるようにしてございます。
○畑野委員 あわせてちょっと伺いたいんですけれども、例えば家族が代表になるという場合ならどうなのかというのと、もう一つ、県を越えた実習先の監理の状況というのは実態調査はするんですか。県をまたいで、あるいは遠くに、米子から宮城なんて話もこの間させていただきました。どうでしょうか。
○井上政府参考人 まず、家族の問題といいましょうか、そちらでございますが、それはケース・バイ・ケースで、従来の役員、不正を行っていた役員が実質的に支配力を持っていると認定されるような場合であれば当然排除される、そういう、実質どうなっているかというところの問題になります。
それから、遠隔地の方の受け入れ先の問題をどうするかということでございますが、これは監理団体として遠隔地の方の実習実施者を監理できるか、適正な監理の体制が組めているかどうかというところで、遠隔地であっても、もちろん適切な監査等をできる体制を組んでおれば問題ございませんが、それに十分なものがないということであれば、許可の段階で十分なチェックをしていくということになります。
○畑野委員 遠いところを一つ一つ見に行くということはなかなかできない、文書上で確認し切れるのかということが、本当に不正を根絶できるのかという点で疑問があるわけです。
それから次に、申告権の問題です。
不正を告発するための制度ということで、技能実習生が申告権をきちんと使えるかどうかということが問題になります。
それで、前回、私がその体制があるのかと質問をいたしまして、新しい制度で申告、相談の窓口を外国人技能実習機構に設置する、実習生の利便性を考慮し、直接来所という形に加えて電話でも受け付けることを検討している、本人確認のための氏名、在留カード番号等を聴取するとともに法令違反の事実の申告を受け付けるというふうに答弁をいただきました。その他いろいろあるんですが、では本当に申告権が機能するのか。
対応できる言語、この間も幾つかの外国語を紹介しましたけれども、技能実習生の比較的多い、中国語、ベトナム語、フィリピン語、インドネシア語だけでは十分だとは思えません。
ことし上期の入国で一番多いのがベトナム人だということですが、ベトナム人の実習生が全国の労基署で当日申告した、今、それを受理できるところは何カ所あるんでしょうか。
新法によってどういうふうに対応するのか、あわせて伺います。
○宮野政府参考人 お答えいたします。
まず、全国の労働基準監督署におきましては、ベトナム人技能実習生につきまして、ベトナム語で作成した外国人労働者向けパンフレットを活用することによりまして申告の受け付けを行っているところでございます。
また、新法施行後におきましては、新たに設立する外国人技能実習機構の相談窓口におきまして、ベトナム語での相談を受け付けることができるようにし、適切に申告につなげてまいりたいというふうに考えております。
○畑野委員 そうすると、これは全国で何カ所、今、現時点で、労基署でいろいろ文書があっても言葉の関係がありますから、具体的に何カ所でできているんでしょうか。その実態を知りたいんです。
○宮野政府参考人 お答えいたします。
繰り返しになりますが、現在、全国の全ての労働基準監督署におきまして、ベトナム語で作成したパンフレットというものを用意しております。それによりまして申告の受け付けを行っているということでございます。
○畑野委員 全然不十分ですよ、それは。もう駆け込んでいって、どうしたらいいかわからないところでただ紙だけ出されても、具体的に対応できる、言葉がしゃべれる人を含めて配置しなくちゃいけない。そこのところ、本当に、具体的な御回答が今ありませんでした。
さらに伺いたいんですが、岐阜県労連の事務局長から伺いましたら、実習生の住まいに行くと、六畳一間に二段ベッドが三つあって、クーラーもなく、女性でも防犯上必要な窓を閉めることはとてもできない、窓をあけて扇風機で風を送っている状態である、国際貢献のはずだが、本来の姿から実態はかけ離れているというふうに伺いました。
申告権は機能するんでしょうか。現行の制度上、岐阜の監督指導件数、指導に従って是正したというところはありますか、わかりますか。
○藤澤政府参考人 お答えいたします。
岐阜県内の監督指導などに対してどのように指導をし、是正されたかというお尋ねだろうと思います。
平成二十七年の四月から十二月までの間に、岐阜県内の労働基準監督署において、外国人技能実習生を雇用する八十三の事業場に対して監督指導を実施し、その九二・八%に当たる七十七の事業場で労働基準関係法令の違反が認められております。
一般に、労働基準関係法令の違反が認められたことにより是正勧告を行った事業場については、その後報告を求めるといったこと等により是正を確認しているところでございまして、是正勧告を受けた事業場においては適正に是正が図られているものというふうに認識をしているところでございます。
○畑野委員 あわせて伺います。司法処分に回したのは何件ですか。
○藤澤政府参考人 平成二十七年におきまして、岐阜労働局では、六件の外国人技能実習生受け入れ事業場について書類送検を行っているところでございます。
○畑野委員 本当に深刻な事態ですよ。これだけの違反が出ているということです。
それで、資料の四枚目につけましたけれども、左が岐阜県の実態、右側が全国のこの間の監督指導、送検の状況です。
左の方の岐阜県の状況でいいますと、先ほど言った割り増し賃金の問題、これは、繊維製品製造業のところは二十一件あるんですね、五五・三%。最低賃金の問題でいうと五〇%、十九件。これは本当に、こういう状況は続いているということ、多くは泣き寝入りしているということだと思います。
こういう状況がありながら放置されて、しかも、法案で申告権に本当に実効性があるのかということが、疑問を持たざるを得ない実態だと思います。
このような実習生からの申告に対してのその後の対応が重要です。出入国管理法、労働関係法令違反が認められた場合に、実習生の法的救済、そのための関係機関と連携しての法的支援が必要な場合は弁護士や労働組合などに引き継ぐなどの実習生の法的救済の支援、これはすべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
○井上政府参考人 技能実習生の保護のための相談対応とか援助、第一次的にはこれは外国人技能実習機構を中心に行うこととしてございますが、民間の機関の方々のお力をおかりすべき場面もあろうかと考えてございます。
例えば、暴行傷害等の重大な権利侵害を受けた場合にシェルターで一時保護というようなこともあろうかと思いますが、そのようなときも民間の団体、機関の方々にお願いすることが考えられますし、また、御指摘の弁護士会に関しましては、技能実習生からの法律相談でございますとか訴えの提起、成立した示談の履行確保等、技能実習生の委任を受けての法律事務の遂行といった形での協力をいただくことが考えられます。
このように、必要に応じまして、適当な民間の機関の方々との連携を図ってまいりたいと考えております。
○畑野委員 時間が残り少なくなりましたので急ぎます。
岐阜の縫製業者さんからは、実習生に対して、監理費三万円と、そのほか月当たり五万円の費用がかかっている、技能実習生に特有な監理費など必要経費を出さなくちゃいけない、それがなければ、日本のパートだったら十分給料が払える、それでも日本人が来てくれないので、技能実習生を頼りにしているんだという事情も伺います。
もちろん、地方の中小企業や主要産業を守らなくちゃいけません。だからといって、これを理由に技能実習生だけに奴隷労働を押しつけてはならないわけです。
法案で、技能実習生が働く岐阜の縫製業の監理費、受検料など、重い負担は一体どうなんでしょうか。
○宮野政府参考人 お答えいたします。
新制度におきましては、監理費、受検料それから手数料は、過度な負担とならないように配慮をすることといたしております。
具体的には、監理費につきましては、監理団体は、監理事業に必要となる経費等を勘案して、用途や金額を明示した上で徴収することができることとしております。
受検料につきましては、現行制度においても、営利を目的として試験業務を行うものでないことを試験実施機関の要件としており、これを踏襲いたします。具体的には、試験の実施に必要な経費を勘案して各試験の実施団体において適切な額が設定されることとなります。
また、認定申請の手数料につきましては、実費を勘案して主務省令で定めることといたしております。
○畑野委員 受検料が六万円とか、それから、前は各県でできたのが、今度は遠くに行かなくちゃいけない、交通費もかかる、その上、新しい機構に手数料まで払わなくちゃいけない、これは負担がふえるというふうに私は言わざるを得ないんです。
それで、最後に修正案について確認だけ。大臣に、もう時間がありませんから、確認をさせていただきます。
修正案の中で幾つか書かれているんですけれども、例えば、技能実習を行うことが困難になった実習生の支援をいろいろ書かれておりますけれども、やはり国の責任できちっと行うべきではないかと思うんです。金田大臣、いかがでしょうか。
○金田国務大臣 委員御指摘のように、技能実習を行うことが困難になった技能実習生への支援は、例えば、新制度では、技能実習を継続して行うために実習先を変更することについては、やむを得ない事情が認められる技能実習生に対しては監理団体において移籍先を探す、そういうことはもちろん、それから、主務大臣と外国人技能実習機構において必要な支援を行っていくというふうになっておりまして、この点をも含めて、政府として、技能実習制度の適正化をして、技能実習生の保護に力を尽くしていきたい、このように考えております。
○畑野委員 時間が参りました。
予定した質問が終わらないほど、まだまだたくさんの問題点があると思います。引き続きこの問題を追及していくことを申し上げまして、私の質問を終わります。
○鈴木委員長 これにて両案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○鈴木委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。畑野君枝君。
○畑野委員 私は、日本共産党を代表して、外国人技能実習法案及び入管法改正案に反対、自民、民進、公明各党提出の修正案に賛成の討論を行います。
外国人技能実習制度は、技能移転による国際貢献を名目とし、技能実習生を保護するとしながら、その実態は、労使対等を前提とせず、低賃金、非熟練労働力の受け入れをするものであり、安価な労働力として使われてきました。労働関係法令の違反や人権侵害が引き起こされ、内外から厳しい批判を受けてきたのであります。
本法案は、こうした外国人技能実習制度を適正化するとしていますが、制度の持つ構造的矛盾を何ら解決するものではありません。
最大の問題は、技能実習生が、母国でブローカーなどを経由し、送り出し機関に保証金を取られ、我が国の受け入れ先の企業を特定して送り込まれていることです。
実習生は、送り出し機関や受け入れ先との間で対等な関係を持てず、支配従属的な関係を受け入れざるを得ません。このもとで、低賃金、ピンはね、強制労働、セクハラと性的暴行、パスポート取り上げなど数々の人権侵害が続発し、実習生の失踪が多発してきたのであります。私が質疑で取り上げたベトナム人などの実例が示すとおりです。多くの人権侵害を生み出す根源である支配従属関係にメスを入れない限り問題は解決しません。
ところが、法案は、受け入れ機関の管理監督をするとしていますが、技能実習生は、受け入れ機関を特定した上で在留資格が与えられる仕組みです。例外的な場合を除いて職場移転の自由はありません。現行の構造的な問題はそのままです。労働者として保護するというのなら、実習先選択の自由を保障すべきです。
また、悪質なブローカーや法外な保証金を排除するための二国間取り決めの規定もありません。質疑の中で、政府は、送り出し国政府の協力を得て不適正な送り出し機関を排除する枠組みをつくっていく考えだと答弁しましたが、強制力のある二国間取り決めなしに、どうして実効性が担保できるでしょうか。
もう一つの問題は、入管法改正で介護の在留資格を新設し、介護分野にも技能実習制度を拡大しようとしていることです。
介護分野では、労働条件と低賃金が放置されていることが問題となっています。技能実習に介護を追加することによって、実習生の日本語でのコミュニケーション能力の問題だけでなく、介護サービスの質の低下や新たなトラブルを生み出すことが懸念され、容認できません。
さらに、入管法の難民認定の問題です。
難民認定申請者に対する、不明確、曖昧な規定による刑罰及び在留資格の取り消し事由の拡大は、その濫用によって、外国人やその支援者に対し、不当な人権侵害を拡大するおそれがあります。
以上が、二法案に反対する理由です。
なお、自民、民進、公明各党共同提出の修正案は、技能実習生の待遇改善に資するものであり、賛成します。
以上、討論を終わります。(拍手)