第190回国会 2016年5月20日法務委員会

再婚禁止期間撤廃を/法務委員会民法改正修正案について質問

 女性の再婚禁止期間を100日に短縮する民法改正案は、3年後に再婚禁止制度を検討するという修正が行われ、20日の衆院法務委員会で全会一致で可決されました。

 再婚禁止期間短縮だけの政府案に対し、野党4党は選択的夫婦別姓導入や再婚禁止期間廃止の検討などを盛り込んだ案を提出しました。それに押された修正です。

 採決に先立つ質問で日本共産党の畑野君枝議員は、再婚禁止期間の短縮は当然だが、廃止しないことに合理性はあるのかただしました。

 岩城光英法相は、離婚後300日以内に生まれた子は婚姻中に妊娠したとするなどの“嫡出推定”について、「父子関係をめぐる紛争を未然に防止する」と釈明。これに対し畑野氏は、「嫡出推定は、血液型の発見などもない明治時代の知見に基づくもので、現在ではDNA鑑定で容易に父を確定できる」と指摘。“嫡出推定”を避けるため無戸籍を選ぶ人が法務省の調査で7割もいると述べ、「嫡出推定が無戸籍の子どもを生み出している」と批判しました。

 法務省の小川秀樹民事局長は、「医師の証明があれば推定は及ばず、現在の夫の子とされる」と表明。再婚禁止期間を続ける合理性がないことが浮き彫りになりました。

 畑野氏は、ドイツやフランスでは再婚禁止期間を廃止し、国連の女性差別撤廃委員会が繰り返し日本政府に廃止を勧告していることを指摘し、「女性の結婚の自由を侵害する再婚禁止期間の廃止を検討すべきだ」と求めました。岩城法相は、「運用状況をみながら、検討していきたい」と述べました。

 畑野氏は、選択的夫婦別姓についても、国連から勧告を受けてきたことにも触れて導入を主張。岩城法相は「慎重に対応を検討していきたい」と述べるにとどまりました。

(2016年5月22日(日)しんぶん赤旗)

 

【会議録】
 畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
 民法の一部改正案について質問いたします。
 政府が、昨年二〇一五年十二月の最高裁判所の違憲判決を受けて、女性だけに課せられた再婚禁止期間について百日に短縮するという法案を提出したのは、当然のことです。長年の多くの女性たちの運動、また裁判によって実現をかち取ったものであり、一歩前進だと言えます。
 同時に、衆議院の民進党、共産党、生活の党、社民党の野党四党が五月十二日に提出した民法改正案は、選択的夫婦別姓制度の導入、再婚禁止期間を百日に短縮するとともにその廃止を検討すること、及び婚姻最低年齢を男女とも十八歳とするものです。
 そこで、まず岩城法務大臣に伺います。
 民法の改正の答申から再婚禁止期間を百日に改める今回の法案に至るまで、二十年かかっております。そもそも、憲法の時点でこうした問題を変えなくてはならなかったと思います。さらに、一九九一年には、西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画(第一次改定)が作成されて、男女平等の見地から、夫婦の氏や待婚期間のあり方等を含めた婚姻及び離婚に関する見直しを行うということで、そして一九九六年、ちょうど二十年前に法制審答申が出されたということです。
 なぜ二十年もかかったのか、伺います。
岩城国務大臣 お答えいたします。
 まず、これまでの取り組みについてお話し申し上げます。
 法制審議会は、平成八年二月に、女性の再婚禁止期間を百日に短縮すること等を内容とする民法の一部を改正する法律案要綱を答申いたしました。この答申には、女性の婚姻年齢を十八歳に引き上げること、選択的夫婦別氏制度を導入すること、嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分と同等とすることも含まれておりました。
 法務省は、平成八年及び平成二十二年に、法案の提出に向け、法制審議会の答申を踏まえた改正法案を準備しておりました。しかしながら、この答申の内容については、国民の間にさまざまな意見がありましたことから、改正法案の提出にまでは至らなかったものと認識をしております。
 本法案は、昨年十二月十六日の最高裁判所大法廷の違憲判決を受け、違憲状態を速やかに是正するために提出するものでございます。
畑野委員 女性だけに課せられている再婚禁止期間は、差別的規定であって、廃止すべきだという声が起こっております。法律に残された女性への差別は、世界から見ても異常な、日本の男女平等への改善のおくれ、そして民主主義のおくれを示す大きな問題点の一つだということで、廃止を求める声は当然です。
 それでは伺いますが、再婚禁止期間を廃止しないで百日の期間を存続させることにどのような合理性があるんでしょうか。
岩城国務大臣 再婚禁止期間を廃止しない理由から申し上げさせていただきます。
 再婚禁止期間を設けている趣旨は、嫡出推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにありまして、嫡出推定の重複を回避するために必要な百日については合理的なものであると考えております。その点は、昨年十二月十六日の最高裁大法廷判決においても確認されております。
 仮に、再婚禁止期間そのものを廃止した場合には、前婚の夫と後婚の夫の嫡出推定が重複したときに、DNA鑑定等の手段をとらない限り法律上の父親が定まらず、父子関係を早期に確定することができない事態が生じ得ることとなり、かえって子の利益を害するおそれがございます。したがいまして、再婚禁止期間を設けることは適切であると考えております。
 再婚禁止期間が前提とする民法第七百七十二条の嫡出推定の規定によりますと、婚姻成立の日から二百日を経過した後または離婚の日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定されます結果、夫の子と推定されることになります。
 しかし、例えば、離婚直後に再婚することを認めますと、再婚後二百日を経過した後には後夫の子と推定される期間が開始されるにもかかわらず、離婚後三百日以内はなお前夫の子と推定される期間が残存することになりまして、嫡出推定が重複することになるため、出生時に子の父を定めることができなくなります。そこで、再婚禁止期間を百日とすることとしております。
畑野委員 今大臣から嫡出推定のことについてお話がありました。私、この問題も、本当に議論をしていく必要があるというふうに思っているんです。
 戦後、新憲法が制定されて、戦前の家制度が廃止されました。しかし、再婚禁止規定の前提となる嫡出推定は廃止されませんでした。現行の民法の嫡出推定の制度の趣旨について伺います。
小川政府参考人 お答えいたします。
 嫡出推定制度と申しますのは、婚姻中に妻が懐胎した子をその夫の子であると推定した上で、嫡出推定が及んでいる子については、夫が子の出生を知ったときから一年以内に嫡出否認の訴えを提起しない限り、その夫と子の間の父子関係を確定させる、全体としてそういう仕組みでございます。その趣旨は、法律上の父子関係を早期に確定し、子の利益を図る点にあるものと認識しております。
 このように、嫡出推定が及んでいる子については、この制度によって父子関係が早期に確定するということになるわけでございますが、民法第七百七十二条は、まず一般的な経験則をもとといたしまして、妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子であると推定した上で、懐胎時期は必ずしも明確ではないということを考慮いたしまして、婚姻成立の日から二百日経過後または婚姻解消の日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定している、こういう仕組みでございます。
畑野委員 戦前の制度から見直すということ、これが求められている、嫡出という用語についても意見が出されているところです。
 価値観が多様化している現代において、何が子の利益にかなうのか、これは議論があるところだと思います。
 それで、さらに伺いますが、嫡出推定の趣旨について、子の利益という説明について、具体的にもう少し言っていただけますか。
小川政府参考人 お答えいたします。
 子が出生したときにはできる限り法律上の父親が定まっているべきであるというのが、民法などが規律いたします家族法の基本的な構造となっているということが言えようかと思います。
 例えば、子は生まれた直後から監護、教育、扶養を受ける必要がございますが、それをする義務を負っておりますのは、基本的には親権者、すなわち子の父母でございます。したがいまして、子の法律上の父が定まらないということになりますと、子はその父から出生時から安定した監護、教育、扶養を受けることができない、こういったおそれが生じます。
 また、相続などにつきましても、法律上の身分関係が定まることを前提とした制度でございます。
 嫡出推定制度によりまして、多くの場合には、子の出生後直ちに安定した父子関係が与えられるのでありまして、この制度が存在することによってもたらされるこれらの利益は、全体として見ますと非常に大きいものというふうに考えております。
畑野委員 そもそも、嫡出推定は明治時代の当時の知見によるものです。
 最高裁判決の反対意見で次のように述べられていることに私も注目いたしました。
 旧民法が施行された明治三十一年ころとそれ以降の医科学水準の変化について見ると、例えば、ABO式血液型が発見されたのは一九〇〇年、明治三十三年、産婦人科医荻野久作がオギノ理論を発表したのは一九二四年、大正十三年。旧民法制定から約百年余の間に科学的、医学的研究は急速な発展を遂げており、生物学上の親子関係の証明は造化の天秘に属することで不可能という前提のもとに、離婚した全ての女性に対して再婚禁止を課すなどという手荒な手段をとらなくても、血統の混乱を防止することが可能になったと述べております。
 嫡出推定は、明治民法の制度趣旨を引きずったもので、時代おくれではないかと言わなくてはなりません。
 先ほど大臣も言われましたが、必要であれば、DNA鑑定の技術など、現代の科学的知見によって早急な父の確定が容易にできるのではないでしょうか。いかがですか。
小川政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、DNA鑑定などの科学技術を用いることによりまして、血縁上の父子関係を確定することは可能であるというふうに考えております。
 しかしながら、仮に、嫡出推定制度を廃止して、DNA鑑定により科学的に血縁上の親子関係が存在することを確認した上で法律上の父子関係を確定するという制度を採用した場合には、法律上の父子関係が子が生まれた出生時には確定せずに、その意味で子の福祉に反する事態が生じ得るというふうに考えられます。
 また、DNA鑑定につきましても、鑑定試料が本人の検体であるかどうかをどのように判断し、その信用性をどのように担保するかといった問題もありまして、DNA鑑定によって父子関係を確定するためには、裁判手続あるいはそれに準ずるような相当慎重な手続が必要になり、かなりの時間を要することも考えられるところでございます。
 DNA鑑定の信用性が高まっている現在におきましても、鑑定をしない限り父子関係が確定しないというのは問題であり、嫡出推定制度によって法律上の父子関係を早期に確定し、子の利益を図る必要性はなお大きいものというふうに考えております。
畑野委員 先ほどから、父子関係、父子関係と言うんですけれども、子供を育てるのは誰か。父だけじゃないですよ、母もいるわけですよ。また、周りの、今でいえば保育園問題も問題になっておりますけれども、あらゆる社会制度がある現代と、女性にも選挙権がなかったその時代と、これは大きく変わっているということを私は言った上で、今、科学技術を含めて、いろいろ混乱をする、紛争も起こると言うんですけれども、そういう事態になるのはたくさんありますか。本当に、ほとんど生じない、まれなケースですよ。
 それをよもや全体に強いるということはないでしょうし、それよりも、今の規定を置くことによって多くの皆さんが苦労している。後でお話をしますし、先ほど無戸籍の話もありましたけれども、そういう実態の問題が多く出ている。こちらの方が私は今や不合理であると言いたいと思います。
 私、昨年の法務委員会でこういう質問をいたしました。
 法務省が調査しているように、戸籍に記載したくない理由の第一に、夫の嫡出推定を避けるためという実態がある。これが、先ほどあったように、理由全体の七〇%も占めている。実の父親を認定する強制認知でも、場合によっては、裁判官が、例えばDVをやった元夫を呼ぶなどという事態が生まれて、これはもう、呼ばなくてもいい状況なのにわざわざ呼んでくるとか、それで、本当に裁判所に行きたくないというふうに女性が思うということもあると伺っている。夫の嫡出推定を避けるためという最も多い理由を見ても、この問題というのは、民法七百七十二条による嫡出推定に係る問題ではないかということを私は申し上げました。
 そもそも、親子を早く確定するための規定が、今、これだけの無戸籍の方をつくっている。そして、本当の父親でない元夫が戸籍に記載されることは、真実でない、不実の記載になる。だから、選ぶとしたら、不実記載か、それとも無戸籍か、どちらかにならざるを得ないという実態があるということを私は申し上げました。
 子どもの権利条約第七条、「児童は、出生の後直ちに登録される。」という子どもの権利条約にも違反するものだと思うと、嫡出推定があるために無戸籍の子供たちが生まれる事実をそのときに申し上げました。
 嫡出推定制度を維持したまま無戸籍児をどのように解決すると言われるのか、伺います。
岩城国務大臣 法務省では、全国の市区町村を通じまして、いわゆる無戸籍者の存在に関する情報を集約するという取り組みを行っておりまして、その理由がわかる場合には、それについても報告を求めております。
 その結果は、委員御指摘のとおり、嫡出推定が及ぶ場合に、戸籍上、夫または前夫の子とされるのを避けることを理由として出生届を提出しない者が多いのが実態であります。
 他方、今回の改正は、再婚禁止期間に関する最高裁判所の違憲判決を踏まえ、違憲状態を早期に解消することを目的とするものでありまして、この機会にあわせて嫡出推定制度を見直すことは考えておりません。
 したがいまして、今回の改正によっても、無戸籍者の問題が根本的に解決することにはならないものと考えております。
 嫡出推定制度の見直しは、法律上の父子関係をどのように設定するかという家族法の根幹をなすものでありますため、改正の要否や改正する場合の制度設計のあり方などについては慎重に検討する必要があると考えております。
 そこで、無戸籍者問題についてでありますが、これまでも、その解消に向けて情報を集約し、一人一人の実情に応じて戸籍に記載されるための丁寧な手続の案内をしたり、関係府省を構成員とする無戸籍者ゼロタスクフォースを設置して、関係府省との間で連携強化を図るなどの取り組みを行ってまいりました。
 これからも、引き続き、無戸籍の方の実態についてきめ細やかに把握するよう努めますとともに、全国各地の法務局において相談を受け付け、一日でも早く戸籍をつくるために、一人一人の無戸籍の方に寄り添いまして、懇切丁寧に手続案内を行うなど、無戸籍状態の解消に取り組んでまいりたいと考えております。
畑野委員 ですから、大臣がお答えになりましたように、いろいろ、もちろん直ちにやらなくてはならないと思いますが、解決のためにするべきことはするんですが、根本的に言えば、この嫡出の制度そのものを見直す、このことが必要だというふうに申し上げたいと思います。
 さらに伺いますが、そういう点で、やはり再婚禁止期間を廃止する、その上で、必要に応じて、当事者の請求によって父子関係を確定するということなどを含めて検討していく必要があると思うんです。どういうことがいいのかと御懸念の点もあるというふうにお話がございましたが、私はそんな心配は大してする必要はないというふうに思いますけれども、そういうことを含めて検討していく必要があると思いますが、いかがですか。
岩城国務大臣 父子関係を確定する制度を検討することはどうかというおただしだと存じます。
 まず、再婚禁止期間を設けている趣旨でありますが、嫡出推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにありまして、嫡出推定の重複を回避するために百日の再婚禁止期間を設けることについては合理的なものであると認識しておりまして、その点は最高裁判決においても確認されております。
 そこで、再婚禁止期間を廃止いたしますと、嫡出推定が重複することが生ずるため、別途、裁判によりまして父子関係を確定する制度を検討することが必要になります。このような制度を採用するということは、法律上の父子関係が確定するまでの間はその子に父がいないことを意味することになりまして、子の福祉に反する事態が生じるものと思われます。
 また、父子関係を確定する方法としてDNA鑑定を利用することも考えられますが、DNA鑑定の信用性が高まっている現在におきましても、鑑定をしない限り父子関係が確定しないというのは、子の利益の観点から問題があるものと考えております。
 したがいまして、現状では再婚禁止期間を設けることは適切でありまして、それにかわる父子関係を定める制度を設けることは容易でない面があるもの、そのように考えております。
畑野委員 嫡出の相続分の区別が民法改正によって廃止されました。ですから、これは検討を、今いろいろとおっしゃいましたが、そういうことも含めてやはり議論をしていく必要が私はあるというふうに思います。
 実際がどうなっているのか。本当に多くの皆さんが御苦労されているわけですね。
 婚姻後二百日以内に生まれた子は、嫡出推定はされません。このような子は実務上どのような扱いを受けているのか、戸籍上どういう運用をされているのか、伺います。
小川政府参考人 お答えいたします。
 婚姻後二百日以内に生まれた子は、民法第七百七十二条による嫡出の推定を受けないわけですが、夫婦の嫡出子としての出生届がされれば、その届け出を受理し、その夫婦の子として戸籍に記載されるという取り扱いでございます。
 この取り扱いは、内縁中に懐胎し、適法に婚姻した後に出生した子は、婚姻届け出と出生との間に二百日の期間がなくても、出生と同時に嫡出子としての身分を有するといたしました大審院の判例を前提といたしまして、実務運用上、婚姻届け出の前に内縁が先行しているかどうか、あるいは出生した子が内縁期間中に懐胎したものであるかどうかといった事実関係につきましては、戸籍の窓口では判断することができないといったことを考慮したものでございます。
 しかし、この嫡出子として受理された子につきましては、民法第七百七十二条に規定する嫡出推定は及ばないために、利害関係がある第三者はいつまでも、親子関係不存在確認の訴えによって父子関係の存否を争うことが可能でございます。
 なお、その子が夫の子ではないとして、嫡出でない子として出生届がされました場合には、民法第七百七十二条による嫡出の推定を受けないために、そのような届け出も受理されるというのが取り扱いでございます。これは昭和十五年の民事局長回答によるものでございます。
畑野委員 だから、実態は、規定が既に形骸化されているということなんですね。
 もう一つ伺いますが、婚姻の解消もしくは取り消しの日から三百日以内に生まれた子は、前婚の夫との間の子として嫡出推定されます。このような子は実務上どのような扱いを受けるのか、戸籍上どのように運用されていますか。
小川政府参考人 お答えいたします。
 前婚の解消または取り消しの日から三百日以内に生まれました子供は、民法第七百七十二条による嫡出の推定を受けるために、前婚の夫の子として戸籍に記載されるということが原則でございます。
 ただし、子の懐胎時期が前婚の解消または取り消しの日より後であることを証明する医師の作成した証明書を添付した上で出生届が提出されました場合には、民法第七百七十二条の推定が及ばないということといたしまして、前婚の夫を父としない出生届を受理することとしております。これは平成十九年五月七日付の通達に基づくものでございます。
畑野委員 大変なことなんですよね。こういうことが無戸籍を生むということになるんです。
 昨年の再婚禁止期間に関する最高裁判決の事実関係、新聞の記事などの報道も、次のように書いております。
 岡山県総社市に住む女性は、二〇〇六年二月に結婚し、夫の暴力により半年後に別居。同年十月には岡山地裁がDV防止法に基づく保護命令を出した。二〇〇七年三月に女性が離婚訴訟を提起し、十月には離婚を認める判決が出たが、夫が控訴したため離婚が成立せず、二〇〇八年三月二十八日、裁判上の和解で離婚が成立した。同年十月七日に女性は別の男性と再婚したが、本規定のため婚姻がおくれたことによって精神的損害をこうむったとして訴訟を起こした。そして、女性にのみ六カ月間の再婚禁止期間を設けている民法七百三十三条一項の規定が、憲法が定める、十四条、法のもとの平等、二十四条、両性の平等に反するかが問われた裁判で、最高裁は、百日を超えて再婚禁止期間を定める部分は憲法に違反すると認めたということです。
 婚姻関係がDVによって別居ということになり、裁判の手続などで離婚に数年かかり、その上さらに再婚禁止期間がある。これは本当に当事者にとって不利益ではないでしょうか。
岩城国務大臣 家庭内暴力等が原因で婚姻関係が破綻している場合であっても、その加害者が協議離婚に応じない、そのために被害者が離婚訴訟を提起することを余儀なくされ、離婚をするまでに一定の時間を要することがあるのは、御指摘のとおりだと存じます。
 他方、再婚禁止期間を設けている趣旨は、嫡出推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにありまして、子の利益を図ることを目的とするものであります。
 再婚禁止期間は、女性に対してのみ再婚について制約を課すものでありますが、離婚に至る事情や離婚までにかかった時間の長短にかかわらず、両親の離婚によって出生時に子の父親が決まらないという事態が生じないようにするため、やむを得ない制約であると考えております。
 なお、本法案におきましては、女性が前婚の解消等の時点で懐胎していない場合には再婚禁止規定の適用除外を認めることとしておりまして、この点は、御指摘のような事案におきましても一定の効果があるものと考えております。
畑野委員 ですから、この間の裁判によって、そういう状況が最高裁でも憲法違反だというふうに言われてきて、今回こういう法案が出されているわけです。しかし、女性にとって、まだ待たなくちゃいけないという点でいえば、まだ男女間の差別がある、あるいは、女性だけに課するという懲罰的な感じがするという方もいると聞いております。これから本当に議論していく必要があると思うんです。
 世界の動きを含めてどうかということですが、ことし三月の国連女性差別撤廃委員会の第七回、第八回の最終見解で再婚禁止期間についてどのように言っているか、伺います。
小川政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の国連の女子差別撤廃委員会は、平成二十八年三月、本年三月に、我が国に対し、再婚禁止期間を全部廃止するように勧告したものと承知しております。
 もっとも、再婚禁止期間を設けました趣旨は、先ほど来申し上げておりますように、嫡出推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあり、嫡出推定の重複を回避するために百日間の再婚禁止期間を設けることは合理的なものであるというふうに認識しております。
 したがいまして、我が国といたしましては、再婚禁止期間を撤廃しないことが女子差別撤廃条約に違反するものとは考えておりません。
 女子差別撤廃委員会に対しましては、今後も、このような我が国の立場あるいは状況について十分な説明をして、理解が得られるよう適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
畑野委員 国連の勧告を真摯に受けとめて、求められている、一部前進した、さらに頑張り検討するというふうにやはり答えるべきだと思うんです。
 各国の再婚禁止期間の現状について、先日伺いました。それで、再婚禁止期間を、今まであったけれども今度廃止したという国について、大臣に伺います。
岩城国務大臣 法務省が行った調査によりますと、ノルウェー、スウェーデン、デンマークなどにおきましては一九六八年から一九六九年ころ、ドイツ及びオランダにおきましては一九九八年、フランスにおきましては二〇〇四年に再婚禁止期間が廃止されたもの、そのように承知をしております。
畑野委員 あと韓国など含めて言われているんですが、これらの国々が再婚禁止期間を廃止した理由について、これはどのように承知していらっしゃいますか。
岩城国務大臣 まずドイツですが、一九九八年施行の親子法改革法によりまして、またフランスにおきましては、二〇〇五年施行の離婚に関する二〇〇四年五月二十六日の法律により再婚禁止期間が廃止されているものと承知をしております。
 これらの国においてその廃止をした理由につきましては、必ずしも詳細を承知しておりませんが、再婚をすることについての制約をできる限り少なくするという要請を踏まえたものであると説明されているようであります。
 なお、これらの国と我が国における離婚制度や父子関係の確定等に係る制度は異なっておりますので、その一部である再婚禁止期間に関する制度のみを単純に比較することは相当でないもの、そのように思います。
畑野委員 やはり女性差別をなくそうという世界の流れと関係していると思うんですが、それでは、主要国で女性だけに再婚禁止期間を残している国はありますか。
岩城国務大臣 これも法務省が行った調査でありますが、女性に対して再婚禁止期間に関する規定を設けている国としては、イタリア、トルコ、タイ、イスラエル、インド、サウジアラビアなどが挙げられますが、その期間でありますけれども、九十日、これはイスラエルとかインド、三百日、これはイタリア、トルコなど、各国によって異なっております。
畑野委員 OECDに加盟しているような国というのは本当に少ないということですね。
 それで、嫡出推定の合理性の問題を私はこの間ずっとこの場で議論してまいりました。これまでの議論を踏まえて、嫡出推定を前提とした再婚禁止期間の制度、これは女性の再婚の自由を侵害するものだというふうに思います。
 これを早期に撤廃するという検討にぜひ政府としても入るべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
岩城国務大臣 嫡出推定制度、これまでも説明してまいりましたが、法律上の父子関係を早期に確定し、家庭の平和が脅かされる事態を防ぐことによりまして子の利益を図るものであり、この制度が存在することによってもたらされている子の利益は、総体として非常に大きいものと考えております。
 また、再婚禁止期間につきましても、嫡出推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐために必要なものであり、この点につきましては、昨年十二月十六日の最高裁判決でも同様の指摘がなされております。
 このように、御指摘の再婚禁止期間と嫡出推定制度は、いずれも子の利益を図ることを目的とする重要なものでありまして、現在のところ、これを維持すべきものと考えております。
 もっとも、本日の審議におけるさまざまな御指摘、そういったものを踏まえまして、本法案による改正後の運用状況等も見ながら、これらの制度のあり方については今後も検討してまいりたいと考えております。
畑野委員 ぜひ、検討に向けて議論を進めていただきたいということを申し上げます。
 ここで確認をしたいのは、先ほど伺った、ことし三月の国連女性差別撤廃委員会の第七回、第八回の最終所見で、夫婦同氏の強制、それから婚姻年齢の問題、このことについてどのような勧告を受けていますか。
小川政府参考人 お答えいたします。
 国連の女子差別撤廃委員会は、本年三月、我が国に対しまして、再婚禁止期間を全部廃止することとともに、婚姻適齢を男女ともに十八歳とすること、夫婦同氏制度を定める民法の規定を改正することを勧告したものと承知しております。
 男女の婚姻適齢、最低婚姻年齢を十八歳に統一すること、それから、選択的夫婦別氏制度を導入することにつきましては、平成八年に法制審議会からの答申を得ているところでございまして、その後、法務省といたしましても、法案の提出に向けて、法制審議会の答申を踏まえた改正法案を準備したことがございましたが、国民の間にさまざまな意見があったことなどから、改正法案の提出には至らなかったものと認識しております。
 女子差別撤廃委員会に対しましては、このような我が国の立場や状況について十分な説明をし、理解が得られるよう、今後も適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
畑野委員 選択的夫婦別姓の問題については、私もこの委員会で何度も取り上げさせていただきました。国会でも議論をしようということを訴えてまいりました。国ももっとイニシアチブを発揮していただきたいということも申し上げております。
 いよいよ政府内でこの問題についても議論をすべきではないかと思いますが、岩城大臣の御所見を伺います。
岩城国務大臣 何度も申し上げておりますけれども、昨年十二月の最高裁判所の大法廷では、夫婦同氏制度は合憲であるとの判断を示されました。
 夫婦の氏の問題は、単に婚姻時の氏の選択にとどまらず、夫婦の間に生まれてくる子の氏の問題を含め、我が国の家族のあり方に深くかかわる問題であります。
 選択的夫婦別氏制度につきましては、国民の間でさまざまな意見がありまして、例えば、直近の世論調査を例にとってみましても、反対が三六・四%、容認が三五・五%、通称のみ容認が二四・〇%などといった結果になっております。
 そのため、選択的夫婦別氏制度の導入の是非については、最高裁判決における指摘や国民的な議論の動向を踏まえながら、慎重に対応する必要があると考えております。
 なお、法務省では、ホームページにおきまして、選択的夫婦別氏制度や我が国における氏の歴史などについてわかりやすく説明したページを掲載しております。選択的夫婦別氏制度の導入の是非につきましては、国民的議論を深めていくには、まず、このような周知方策等により、国民の皆様に関心を持っていただくことが必要だと考えております。
 法務省としては、今後も、国民各層の意見を幅広く聞くとともに、国会における議論の動向を踏まえつつ、慎重に対応を検討してまいりたいと考えております。
畑野委員 大臣、これだけ議論をされていらっしゃるわけですから、ぜひ進めていただきたいと思うんです。
 最後に、婚姻年齢を男女とも十八歳にすることについても検討するべきだと思いますが、大臣の御所見を伺います。
岩城国務大臣 男女の最低婚姻年齢を十八歳に統一することについて、これは平成八年に法制審議会から答申を得ております。
 法務省は、平成八年及び平成二十二年に、法案の提出に向け、法制審議会の答申を踏まえた改正法案を準備しましたが、国民の間にさまざまな御意見があったことなどから、改正法案の提出には至らなかったものであります。
 もっとも、平成二十四年の世論調査におきましては、女性も男性と同様、満十八歳にならなければ婚姻をすることができないものとした方がよいと答えた方は四六%、女性は満十六歳になれば婚姻をすることができるということでよいと答えた方は二〇・九%であり、最低婚姻年齢につきましては男女ともに十八歳とする改正をすべきであるという意見の方が反対する意見よりも多い結果となっております。
 この問題は、我が国の家族のあり方に深くかかわるもので、国民の間にもさまざまな御意見がありますが、社会情勢や国民的な議論の動向も踏まえつつ、引き続き検討してまいりたいと考えております。
畑野委員 最後に、委員長、野党四党の共同提案の法案が出されております。ぜひ委員会で審議をしていただくように求めて終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。
葉梨委員長 後刻、理事会で協議いたします。
畑野委員 終わります。