第190回国会 2016年5月18日文部科学委員会
東京五輪招致疑惑/コンサル全契約の公開を 文部科学委員会で政府の責任追及
日本共産党の畑野君枝議員は18日の衆院文部科学委員会で、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの招致疑惑を追及しました。JOC(日本オリンピック委員会)の竹田恒和会長は、自身が理事長を務めた東京五輪招致委員会がシンガポールのコンサルティング会社に約2億2千万円を送金したことを認めたうえで、「正式な業務契約に基づくコンサルタント料金だ」と主張しています。
オリンピックをカネで招致したのではないかとの疑惑について、畑野氏は「これではオリンピック開催を国民が支持することなどできない」と批判。「招致にあたってどのようなコンサルタント会社といくら契約したのか、すべて明らかにすべきだ」と政府にただしました。
これに対し馳浩文科相は「10社程度と契約していたと聞いている。(疑惑調査対象以外の)コンサルティング業務について、純粋な民間の活動なので契約額などの調査を求める考えはない」と述べるにとどまりました。
畑野氏は、これまで政府と国会議員が招致に深くかかわってきたと指摘。招致活動として、何カ国・何日海外に渡航し、どこから経費が支出されたのかと追及しました。馳氏は「12カ国、58日間訪問した。バーなどで話した。自民党の経費で行った」と述べました。
畑野氏は、招致の最終プレゼンテーションには安倍総理自ら招致を訴えてきたことを指摘し、東京都とJOCの対応ですますのではなく、政府としても責任をもって明らかにすべきだと強調しました。
(2016年5月20日(金)しんぶん赤旗)
【会議録】
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
まず初めに、二〇二〇年開催の東京オリンピック・パラリンピック競技大会をめぐる問題です。
この間、白紙撤回に追い込まれた新国立競技場の建設問題、エンブレム選定の不透明なプロセスなどに国民的な批判が起きております。
さらに、今回の招致をめぐる疑惑です。多額の資金が国際陸連前会長側に振り込まれたとされる疑惑です。オリンピックをお金で招致したのではないかと疑念を持たれております。重大な問題です。
伺いますが、これではとても東京オリンピック・パラリンピックを国民が支持することなどできない、そういう深刻な問題だと思いますが、その受けとめは遠藤オリンピック・パラリンピック担当大臣にございますか。
○遠藤国務大臣 お答えいたします。
今回の件につきましては、国民の皆さんに大変御心配をおかけしている、そういう認識ではあります。
同時に、今、先ほどの質問の中にも、竹田会長から、調査チームをつくって、そしてその経緯を報告したいということがありましたので、今回の件はまずはしっかりと説明がつくと表明されておりますが、改めてその調査チームで調査をし、何よりもJOCがなお一層丁寧に説明をして、そして国民の皆さんの理解をいただけるよう御努力をしていただきたいと思っております。
○畑野委員 馳文部科学大臣は記者会見で、きのう、ロビー活動を展開するため、より核心に触れる情報が必要だった、多数派工作で、買収ではない、票読みの山場で、二〇年の五輪をどこで開催するか、激しい情報合戦が繰り広げられていたと指摘されました。IOCメンバーによる東京電力福島第一原発の汚染水問題に対する懸念を払拭する必要もあったと説明されました。その上で、どうしたら汚染水の問題にきちんと答えられるのか、東京がふさわしいと思ってもらえるのか、核心的な情報を得るにはコンサルが果たした役割は極めて大きいと述べられました。
しかし、オリンピック招致に、このようなコンサルティングに何億円ものお金が必要だという現実にも国民はあきれております。
そこで伺いたいんですが、オリンピック招致は、開催都市である東京都と、日本オリンピック委員会、JOCが行ったもので、今回の疑惑についても、お話がありましたように、それぞれの責任でみずから明らかにするべきことであるのは当然です。その上で、招致に当たって、どのようなコンサルタント会社が、ちょっと先ほどありましたが、幾ら契約してきたのか、全て明らかにするべきだと思いますが、馳文部科学大臣、いかがでしょうか。
○馳国務大臣 二つお答えしたいと思います。
本当に非常に重要な段階にあったということはまず申し上げましたが、加えて、汚染水の問題とともに、当時、ブエノスアイレスのIOC総会では、実は三つの選挙が行われることになっておりました。
一点目は、IOCの会長選挙です。もう一点は、中核競技としてどの競技が残るかという選挙です。そしてもう一つが、二〇二〇年の開催会場をどこにするかということで、この三つの選挙に当たって、我々日本の招致委員会がどのような情報をもとに判断し、働きかけをするのか、そして、より日本が開催都市としてふさわしいと思ってもらえるようなストーリーをつくっていくための核心に触れる情報はどのようにして入手すべきか、そのためのコミュニケーションをどうするか、こういうことが当時大きな課題であったということはまず申し上げておきたいと思います。
その上で、今御指摘の点ですが、二〇二〇年東京大会の招致活動について、招致委員会は、海外コンサルタント業務について十社程度と契約を締結していたと報告を受けております。
文科省としては、ブラック・タイディングス社以外の海外コンサルタント業務について、捜査当局等から具体的な疑いが提起されているものがあるとは承知しておりません。
税金が一切投入されていない純粋な民間の活動であるため、他のコンサル契約について、契約額などの調査を求めることは考えておりません。
○畑野委員 オリンピック・アジェンダ二〇二〇、二〇一四年十一月十八日のものですけれども、その中で、提言三として「招致経費を削減する」ということが入っております。こういうことが問題になっているということなんですね。ですから、これまでと違う一層の対応が私は必要だと思うんです。
東京都とJOCが招致を行ったわけですが、政府や国会議員もこの招致に深くかかわってきたと思います。先日の予算委員会で、馳大臣は、二〇一三年八月のモスクワ世界陸上にみずからも行き、招致活動を行ったと答弁されました。
伺いますが、馳大臣は、招致活動として、海外への渡航は何カ国、何日行ったんでしょうか。また、IOC委員との面談はしていらっしゃいますか。
あわせて、同じことを遠藤大臣にも伺います。
○馳国務大臣 十二カ国に計五十八日間、訪問をさせていただきました。
そして、国際会議の場面など、あるいはホテルのロビー、深夜のバーなどで、お会いできる限り、顔を見かけたら、下手な英語ではありましたが、やはり直接話をしないと話を聞いてもらえないんですね。
遠藤さんはこの後お話しいただくと思いますけれども、私の場合には、ちゃんとスポーツ基本法という法律があって、我が国がどういうふうにスポーツに取り組んでいくのかとか、一番関心の高かったのは、子供たちのスポーツに取り組む環境、学校教育において体育の授業がどのように行われていて、その指導者はどうかとか、また、政治家でもありますので、経済界の反応はどうか、こういった周辺の情報をやはり直接聞いていただいて、東京の取り組みを支援する体制が、なるほど、国会議員団、それも与野党を通じてですが、それぞれの範囲内で働きかけをする役割を果たし、同時に、相手方からもお話を聞いて、その情報を最終的には理事長である竹田理事長に集約する形にして、確実な情報を集めるように努めた、これが当時の私の任務でありました。
○遠藤国務大臣 お答えいたします。
私は、実質的に、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック招致の国会の中での活動の中心を担っておりました。そこで、国会決議も皆さんに御協力いただきましてさせていただきましたし、その後、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック招致議員連盟というものを結成し、これは超党派でありますから、当時、元総理大臣でありました鳩山由紀夫先生に会長になっていただき、私が幹事長として、超党派の皆さんで一緒にこの招致活動をしてまいりました。
正確に今、何カ国、何日、まだ精査しておりませんが、少なくとも、その二〇一三年の決まった年は、ロシアに二回、ウクライナそしてスペイン、そして最終的にブエノスアイレスに行ったということを覚えております。
○畑野委員 今、両大臣からお答えしたので、ちょっとつけ加えて伺いたいんです。
それは、相当な回数、馳大臣も行っていらっしゃるんですけれども、費用、滞在費などはどこから出ているんですか。
○馳国務大臣 正式な私の当時の立場は自由民主党二〇二〇年オリパラ招致本部長ということで、当時、三月ぐらいでしたかに、いわゆる総裁直属として、僕は、ロビー活動は日本は今までも弱い、二〇一六年のことは御承知のことかと思いますが、やはり政治の側からも、特に私は実はオリンピック選手でありますし、また日本レスリング協会の副会長もしておりましたので、そこそこの人脈がございましたので、そういう観点から、活動してほしいと言われました。
国会議員の中にオリンピック選手は五名おりまして、麻生太郎さん、私、橋本聖子さん、堀井学さん、谷亮子さん。この中で、やはり総理とすれば、自由民主党の、私は当時十八年の経験もありましたし、福島の問題については放射性廃棄物処理の法案にも議員立法で携わっておりましたので、ちゃんと、政治家という立場と、オリンピアンという立場と、また、福島問題に答えていくに当たって説明して歩くにはふさわしいということで指名をされたわけでありまして、したがって、党の経費で行かせていただいたというのが実情であります。
○畑野委員 遠藤大臣はいかがでしょうか。
○遠藤国務大臣 今、馳大臣からお話ありましたように、私も、当時、馳大臣と一緒に自民党のオリパラ本部の本部長代理をしておりましたので、私の渡航については自民党本部で出したと記憶しております。
○畑野委員 今、両大臣から御答弁がありましたように、お二人とも招致に深くかかわってこられたというのは事実ですよね。お話があったように、招致の最終プレゼンテーションには安倍総理大臣みずから出席もし、招致を訴えてきたという経緯もあります。
ですから、私、申し上げたいのは、政府として、東京都あるいはJOCの対応を待ちたいということではなくて、本当に、直ちに、そういう点も含めて、明らかにしていく点を求めてやっていただくことは必要だというふうに指摘をしておきたいと思います。
○馳国務大臣 おっしゃるとおりだと思っているんですよ。私も、先週、疑惑として指摘された、これは、こんな疑惑を抱えてとんでもない、したがって、やはり事実関係はフランス捜査当局にちゃんと協力をしてほしいと。ただ、捜査当局に協力するということは、同時に、説明責任を果たしていくに当たって、捜査中というのはなかなか情報が外に開示できないという問題もありますから、そのバランスをとりながら、契約書等、守秘義務があったりするものですから、法律に基づいて適時適切に、やはりまず疑惑を晴らすための協力をしっかりしてほしい、こういう指示を出したところであります。
私も、実際自分がかかわっていた招致に対してこういうことを言われることは極めて残念に思っておりますので、そういう観点からも、やはり丁寧に対応していきたいと思います。
○畑野委員 オリンピック、パラリンピックのあり方そのもの、根本から本当に考えていく必要があるということを私は申し上げたいと思います。
そのことを申し上げて、次の質問に移ります。
子供の教育にとって困難な状況が広がっている中で、教育条件の底上げ、とりわけ少人数学級の推進は待ったなしの課題です。繰り返しこの問題をこの委員会で各党の議員の皆さんも熱心に御提案もされ、御議論もされてきたと思います。
二〇一一年に、全会一致で、小学校一年生を三十五人学級にする法改正を行ったとき、その附則で、小学校二年生から中学三年生の学級編制の標準を順次に改定するということなどが定められて、政府にそのことを求めました。当時、全会派による修正案が出されて、「政府は、前項の措置を講ずるに当たっては、これに必要な安定した財源の確保に努めるものとする。」という言葉が加えられました。立法府の意思は明らかだと思うんです、進めようということだと思うんです。
私が昨年の予算委員会でも質問した安倍首相が、全会一致の重みもかみしめながら、さらに三十五人学級の実現に向けて鋭意努力していきたいと答えられました。
しかし、予算案やその後の予算の状況を見ると、一向に進まない。安倍政権になって三回の予算編成ですが、今回もまた、三十五人学級推進の、推進のスの字もないんです。財務省は、教職員をもっと減らせ、もっと減らせ、そういうふうに言ってくるということも聞いております。
それで、世間はどう見ているか。昨年十二月に放映されたNHKの「時論公論」で、少しでも予算を削りたい財務省と、先生の数を確保したい文部科学省との間で、毎年のように予算編成で最後までもめ、政治決断が図られないまま、根本的な問題解決が果たされない状態だと報じられております。
先生の、教職員の数の確保は、保護者、教育関係者そして立法府の総意です。
私はことし四月の小学校の入学式に伺いまして、校長先生が、教職員を減らすなんてことは絶対にやめてくださいというふうに訴えておられました。しかし、これが、財務省の反対があって、いろいろあって、なかなか進まない。
これは、総理が鋭意努力したいとお答えになったわけですから、馳文部科学大臣に、改めて、前に進めていただきたいということで、きょうは質問させていただきます。
なぜ少人数学級が切実なのかということなんですが、学校現場の現状、これは御存じのとおりですけれども、今の教職員の数では子供の変化に追いつかないという状況があります。
四十人学級が完成した一九九一年と比較して、二〇一四年、中学校の学内暴力なんですが、これは途中で調査方法が改められていて、単純な比較はできないという資料ですが、文部科学省からいただきました。この間、件数は十倍になっている。それから、外国人の子供の人数は約五倍、小中学校で大きくふえております。同じく、小中学校、通級による指導を受けている児童生徒数は、これは二〇〇六年との比較ですが、二〇一五年には約六倍にふえている。
ですから、丁寧に対応する必要のある子供が急増している。既に一九九〇年代後半には、学級崩壊という言葉も生まれました。
先日、現場の先生方からお話を聞いたんですが、皆さんからは、何かあればすぐキレてしまう、自傷がとまらない、授業中に立ち歩くなど、それまで二、三年に一度会うかどうかという子供が今ではクラスに何人かいるとおっしゃっていました。
そこで、馳文部科学大臣に伺いますが、中教審初中分科会が、二〇一〇年七月二十六日の提言で、「生徒指導面等の課題が複雑化・多様化し、学級の秩序が確保できなくなる事態も生じるなど、四十人という学級規模では学級経営が困難。」となっているという見解を示しました。大臣、この現状認識は間違いありませんか。
○馳国務大臣 間違いありません。
○畑野委員 それで、今、本当に進まないものですから、例えば、現場は加配の教員を活用して少人数学級を広げています。これは、やってみたら少人数学級はよかったという経験が生まれております。
神奈川県川崎市教育委員会のまとめた各校の報告書があるんですが、国基準では一クラス三十八・三人になる小学校三年生で、一学級ふやして一クラス二十八・八人にしたA小学校です。
その報告書では、指導者がゆとりを持って児童に接することで、学習の中で困り感を持った児童にすぐ対応し支援することができた、そのことで、わかる喜び、学ぶ楽しさを児童に味わわせることができ、基礎基本の充実につながった。これは学習面の成果です。児童一人一人と触れ合う時間がふえ、児童の悩みや友達関係のトラブルにいち早く気づき対応することができた、また、個々の児童のよさを生かし、生活、友達関係などのコミュニケーションを培う上でも少人数学級が有効であった。これは生活面の成果です。
ほかの小学校でも、また中学校でも、同様の成果がこもごも書かれています。
学級というのは、ただ勉強するだけの場所ではなく、生活する単位です。そこに四十人の子供が詰め込まれれば、手のかかる子が多過ぎて、トラブルが絶えない、落ちつかない生活になる、それで勉強にも身が入らない悪循環になる。こういう状態に人生の入り口で置かれれば、将来にマイナスの影響を与えるのではないでしょうか。逆に、少人数であれば、生活も落ちつき、それが勉強にも好循環を与えていくというふうになると思うんです。
加配でそうやって頑張っているんだけれども、もう加配だけでは限りがあるわけですね。
神奈川のある中学校の教職員がこう訴えております。空き時間の教員が絶えず校舎内を巡回し、授業に入れない生徒、また途中で出てきてしまう生徒の対応に追われて、問題生徒の多いクラスには支援という形で入り込むなど、教材研究や授業準備の時間が圧倒的に不足しています、このままでは、やがて疲労こんぱいした教員が年休、病気療養休暇をとり始め、残された現場の教員がさらに疲労こんぱいしていくという悪循環に陥りかねません、このような状況は、多かれ少なかれどこの学校も抱えている問題ではないでしょうか、教職員が余裕を持って授業や教育活動に取り組まなければ子供にとっても不幸なことではないかと思います、三十人以下学級の早期実現、教職員定数の増員を切に求めますという声です。
馳大臣に伺います。四十人学級完成から二十五年、子供の変化の中で、四十人という学級規模では学級経営が困難になっている、こういう差し迫った認識がございますか。
○馳国務大臣 総体的に四十人学級ということが厳しい状況であるという認識は、まず持っております。
同時に、私も、時代でいえば四十人から四十五人ぐらいいた小中高校の中で、やはり多くの、競い合う、またいざというときには助けてくれる仲間がいたというふうな、集団の重要性といったこともこれはまた認識しているところであります。
ただ、先ほど畑野委員がおっしゃったように、一九九一年、あの時代から四半世紀たって、発達障害児などの特別な支援を必要とする児童生徒の激増、また日本語教育を必要とする児童生徒の激増、また校内の暴力等の事案で、教職員が生徒指導、いわゆる生活指導に教育的な配慮、時間を要する現状を見ると、私は、やはり十分な、教職員の定数というよりも、教職員の配置を丁寧に行っていく必要があるということを肌身で感じております。
恐らく、畑野委員は、私の応援団というよりも尻をたたく意味での御質問をいただいていると思うんですが、我々は、こういう現状をきちんとエビデンスとして財務省にもお示しをしながら、やはり、良質な教職員の確保、そして教職員の処遇の改善、OECDで言われておりますように、週平均五十四時間というのは、これはやはりどう考えても働き過ぎですよ。こういう状況も踏まえて対応する必要があると思いますし、昨年来、義家副大臣のもとで、どのような指導体制が必要かとプロジェクトチームでも議論しておりますので、こういったことを踏まえて適切に対応していきたいと思います。
○畑野委員 そういう点で、この間、私も、三十五人学級にどれほどの予算がかかるのかということで、毎年一学年ずつ実施した場合、試算をすると、国庫負担金は、来年度からやるとして、初年度、二〇一七年度でおよそ二十四億円、完成年度の二〇二四年度でもおよそ三十九億円の負担だということで、さほど予算はかからないというふうに試算をいたしました。
それで、質問は飛びます。文部科学省と財務省に伺いたいんですが、教員は、単なる授業の専門家ではありません、日々のいじめ対応を含む生活指導の専門家でもあります。生活指導とは授業と並ぶ教員の中核的業務だと思いますが、文部科学大臣、間違いないですよね。
○馳国務大臣 教育基本法第一条においても、また学校教育法においても、また学習指導要領においても、生活指導、いわゆる生徒指導ですね、これは教員の、授業と並ぶ中核的な業務と言って差し支えないというよりも、生徒指導の業務をすることによって全人格的な教育を完成させるために大きな役割を果たしている、こういうふうに表現をした方がふさわしいのかなと思います。
○畑野委員 財務省はいかがでしょうか。生活指導は授業と並ぶ教員の中核的業務ということですので、教員を生活指導の専門家ときちんと位置づけなければならないと思いますが、いかがですか。
○大岡大臣政務官 畑野先生にお答え申し上げます。
まず、財務省は、授業の専門家ということだけ位置づけて、そのほかは位置づけていないのかということでございますが、当然、授業の専門家であることは私も論をまたないと思っておりまして、ただし、先生に、授業の専門家だからといって授業だけに特化してくださいということをお願いしているわけではございません。
ただし、生活指導の専門家となりますと、先ほど馳大臣の御答弁のとおりでございまして、非常に重要な任務を担っておられますけれども、生活指導の専門家と言い切れるかどうかということにつきましては、もう少し議論が必要なのではないかと思っております。
と申しますのも、生活指導となりますと、当然、整理整頓ですとか、しつけだとか身なりだとか、清潔にするとか、いろいろな、暮らしにまつわるさまざまな課題の専門家ということになりますが、先生も教師でいらっしゃったので、職員室に入りますと、必ずしも整理整頓が得意な先生とは言えないような、もう山積みの机の先生もいらっしゃるし、中には、身なりだとか、生活をするとかの専門家とは言えない先生もいらっしゃるが、そういう人に限って授業は抜群だったりするわけでございますので、そうした視点からも、生活指導の専門家とは言い切れないけれども、先ほど馳大臣の答弁のとおりの位置づけとさせていただければありがたいと思っております。
○畑野委員 よくわからない答弁だったんですが、昨年の十一月の財政制度等審議会で言っている建議は、これは訂正されたというふうに受けとめておきます。
風邪の子供が教室で吐いたら誰が掃除するのか、けんかのトラブルが起きたら誰が仲裁に入るのか、キレた生徒が窓ガラスを手でたたいて出血したら誰がケアするのか、みんなその場にいる先生ですよ、呼んでくるには時間がかかるということですから。丸ごと子供を見ている、人間として見ている、このことをしっかりと位置づけることを強く求めて、時間が来ました、質問を終わります。