第189回国会 2015年7月8日我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 

戦争法案 米軍と一体化

平時から統合部隊化へ

迎撃ミサイルで交戦も 畑野氏が指摘

 畑野氏は、自衛隊が行う「米艦防護」で、「平時」から日米の統合部隊化が進む危険を追及しました。

 戦争法案は自衛隊法に95条の2を新たに設け、米軍等の「武器等防護」を規定。この規定で「米艦防護」などで武器使用も可能と答弁しています。これは新ガイドラインで、平時から「各々のアセット(装備品等)を相互に防護する」としたことに対応したものです。

 畑野氏は、95条の2で「米艦に向かうミサイルを自衛隊のイージス艦が迎撃することはできるのか」と質問。防衛省の黒江哲郎防衛政策局長は「大臣が必要であると判断すれば可能性はある」と述べ、中谷元・防衛相もこれを認めました。

 畑野氏は、「イージス艦による武器の使用とはミサイルの迎撃以外に考えられない」と指摘し、「米軍の艦船と自衛隊のイージス艦が共同で行動している場合に『部隊同士』で防護するさいの武器の使用は、ミサイルの迎撃や、火器の使用も含まれることになるのではないか」と追及。黒江氏は「当然考えられる」と認めました。

 畑野氏は、自衛隊が「平時」から「米艦防護」を行う体制に組み込まれ、米軍と相手国との武力紛争の事態が進展し、日本政府が、集団的自衛権を行使する「存立危機事態」と判断すれば、武力行使を行うことになると強調。「自衛隊のイージス艦は、『切れ目なく』米艦防護を行う、まさに日米統合部隊がつくられることだ」と批判しました。

( 「しんぶん赤旗」2015年7月9日(木)付け )

 

【会議録】

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
 私の地元には横須賀基地があります。この間の安保法制の質疑で、自衛隊による米艦防護が議論になっております。そこで問題にされる事例のほとんど、政府あるいはこの委員会で出される絵に出てくるのは自衛隊のイージス艦による米艦防護でございますので、その立場からの質問をしたいと思います。
 まず、今回、自衛隊法九十五条の二、米軍等の外国軍隊の武器等の防護の規定が新たに設けられようとしております。この九十五条の二によって自衛隊は米軍の武器、米艦艇の防護を行い得ると答弁されていますが、この米軍等の武器防護の任務は、米側の要求、ニーズによって法案に盛り込まれたものという認識でよろしいですか。中谷防衛大臣に伺います。
中谷国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境は変化をしておりまして、いわゆるグレーゾーンと申しますけれども、こういった事態に万全を期すということが重要でございます。
 そこで、我が国の防衛に資する活動に現に従事している米軍部隊に対して武力攻撃に至らない侵害が発生した場合におきまして自衛隊と米軍が緊密に連携して対応することが我が国の安全にとっても重要でありまして、同盟国である米国のみならず、域内外のパートナーとの信頼関係、協力関係を深めることが重要でございます。
 我が国と米国以外の他国との防衛協力の進展を踏まえれば、我が国の防衛に資する活動に現に従事する国は米国のみに限られないわけでございまして、このような認識で、新設する自衛隊法九十五条の二は、自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事している米軍等の部隊の武器等の防護について規定するものでございます。
 本条の新設につきましては、ガイドラインとの整合も図りつつ検討したものですが、我が国の安全のためにその必要性を認めて、我が国として主体的に判断したものでございます。
畑野委員 結論だけ言っていただければ結構です。
 法案決定に先立って四月に合意した新日米防衛協力のための指針、新ガイドラインには、アセットの防護という項目が盛り込まれました。自衛隊と米軍はそれぞれのアセット、装備品等を相互に防護すると、平時からの日米共同行動が明記されています。
 この新ガイドラインに対応して、九十五条の二で、米側からの要請により米軍と共同行動する自衛隊に米軍の武器等防護の任務を命ずる、そういう法律のたてつけ、仕組みになっております。
 新ガイドラインのアセット防護に対応して九十五条の二が設けられたということではありませんか。
中谷国務大臣 新ガイドラインというのは、いずれの政府にも立法上の措置を義務づけるものではなくて、また、いずれの政府にも法的な権利または義務を生じさせるものではございません。
 したがいまして、今回の九十五条の二の新設につきましては、新ガイドラインとの整合性も図りつつ検討したものでありますが、我が国の安全のためにその必要性を認めて、我が国として主体的に判断したものでございます。
畑野委員 新ガイドラインがかかわっているということはお認めになりました。
 具体的に言えば、平時から米軍のイージス艦や空母と共同で警戒監視活動などを日米で行う、その際に米側から米艦防護の要請があれば自衛隊のイージス艦を米艦防護の任務で活用する、そういうことになりますね。
中谷国務大臣 自衛隊と米軍は、平時から情報収集、警戒監視活動に際しまして連携しているわけでございますが、新設するこの九十五条の二を適用するということはあり得ますけれども、実際にいかなる米軍の部隊の武器等が警護の対象になるかにつきましては、防衛大臣が、当該部隊が行う活動の目的、内容、警護対象となる部隊の能力や武器等の種類、周囲の情勢等を踏まえて、自衛隊の任務遂行への影響も考慮した上で個別具体的に判断することとなるわけでございます。
畑野委員 大臣はあり得るというふうにお認めになりました。
 そこで、米側は何を求めてきているのかという問題です。
 資料をお渡しいたしました。一枚目、デニス・ブレア元米太平洋軍司令官は、昨年七月、ニュースサイトのインタビューにこのように答えております。
 米海軍と日本の海上自衛隊は十分に相互運用性のある装備を備え、一緒に活動した十分な経験を有しており、統一された指揮のもとに、例えば米国の司令官が統括し、日本の司令官が副官になって、合同任務部隊を速やかに形成することが可能である、この一環としては、両国が持つイージス駆逐艦があるだろう、米空母打撃群があり、また日本のヘリ空母があり、それら部隊は統合されるだろう、このように言っております。
 中谷大臣、今回の新ガイドラインはそういうことを目指しているのではありませんか。いかがですか。
中谷国務大臣 既に一私人となられた方の発言について政府としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げれば、我が国に対する武力攻撃に際して日米が共同対処する場合に、我が国は従来より、適時適切な形で種々の調整を行います。日米はそれぞれの指揮系統に従って行動することといたしておりまして、自衛隊が米軍の指揮下に入ることは想定しておりません。集団的自衛権の行使の場合も、我が国が主体的に判断して行動すべきであることから、同様のことであるものでございます。
 日米ガイドラインにおいても、「自衛隊及び米軍は、緊密に協力し及び調整しつつ、各々の指揮系統を通じて行動する。」としておりまして、米軍の指揮下に入って合同任務部隊を形成するというようなことは想定をいたしておりません。
畑野委員 昨年の閣議決定のころの発言だということです。
 さらに、昨年の五月には、グリナート米海軍作戦部長も、米空母打撃群と海上自衛隊は共同で作戦を行う統合化を進めている、集団的自衛権の行使ができるようになれば、将来的にはNATO同盟国と同様の共同作戦を展開することも考えなければならない、集団的自衛権の容認によって日米が実際に一つの部隊としてともに作戦を行うことが可能になると述べています。米側の要求が日米統合部隊化であることは明らかだということを指摘しなければなりません。
 次に、実際に自衛隊と米軍の間でどういうことが進んでいるのか伺います。
 横須賀基地には、米海軍の艦隊の中で最大の規模と戦力を持つと言われている第七艦隊が配備されています。
 資料の二枚目ですけれども、ことし六月十二日付の朝日新聞に、東シナ海、インド洋を活動エリアにする米海軍第七艦隊の洋上司令部が置かれている旗艦ブルーリッジに、海上自衛隊が情報をやりとりする連絡幹部を派遣していると報道いたしました。
 中谷大臣、いつから、何のためにこのような所属、階級の海上自衛官をブルーリッジに派遣しているんですか。
中谷国務大臣 これは、米軍との緊密な連絡調整また情報収集を可能とするために、また相互運用性を向上させるといった観点から、海上自衛隊におきましては、昨年から、海上自衛隊の自衛艦隊司令部に所属する海上自衛隊幹部を第七艦隊の司令部に連絡官として派遣いたしております。
 この第七艦隊の司令部はブルーリッジ上に所在をいたしておりまして、この連絡官は、ブルーリッジ停泊中はブルーリッジ内の当該司令部で連絡調整等の任に当たり、出港する際には必要に応じて乗艦をいたしますが、出港時に乗艦しない場合には陸上の在日米海軍基地において連絡調整等の業務をいたします。これによりまして、海上自衛隊と米海軍との間で従来以上に緊密な連絡調整や情報収集が可能になると考えております。
畑野委員 常時乗艦しているというふうに報道されております。なぜそのような必要があるのか。少しお話がありましたが、こういうことをやる場合には普通、覚書を交わすわけですね。これは、交わしているものはお示しいただけますか。
中谷国務大臣 これは海上自衛隊と米海軍との間で緊密な連絡調整、情報収集を行うために実施をしているわけでございまして、これにつきましては、我が自衛隊の任務の遂行上も必要なことであると認識をいたしております。
畑野委員 覚書を交わしていると思うんですけれども、実は新聞報道で「配下の空母や原子力潜水艦、偵察機などから最前線の情報が集まる司令部に配置することで、より一体的な作戦や運用を日米で進める」と書かれているんですね。
 だから、常時乗艦して、おりることもあるけれども、今までなかった体制を組んだわけですよ、昨年の一月から。そして、ことしの三月からさらに階級を上げて配置をしているというふうに伺ったわけですから、どういう情報をやりとりして、どのような作戦を進めているのか、そういうことを具体的に、覚書を出してほしいと言っているのに出ないわけですよ。どうですか。
中谷国務大臣 いろいろな取り決めをいたしまして実施をいたしておりますけれども、細部につきましては、申し上げることは控えたいと思います。
 目的でありますが、これはやはり米軍との緊密な連絡調整、情報収集そして相互運用性を向上させるといった観点でございまして、この点において、連絡官として派遣をしているわけでございます。
畑野委員 今までなかった事態が進んでいるということなので、委員長、この覚書を委員会に出すように私は要求したいと思います。
浜田委員長 理事会で協議させていただきます。
畑野委員 海上自衛隊が今年度、二〇一五年度予算で建造を計画しているイージス艦に、共同交戦能力、CECと呼ばれる先端システムを搭載することになったと報道されております。昨年、二〇一四年十二月二十八日、毎日新聞の記事を資料として配付させていただいております。
 これは、イージス艦が、敵ミサイルの位置情報を味方同士で共有し、即時に迎撃するシステムだという報道ですが、具体的にどういうことですか。
中谷国務大臣 北朝鮮のミサイルは我が国にとっての脅威になるわけでございまして、こういったミサイル防衛を実施する場合には、日米の共同の情報の共有等が必要でございます。
 そこで、CEC、これは共同交戦能力と申しますけれども、射撃指揮に使用可能な精度の高い探知・追尾情報をリアルタイムで共有することによって、経空脅威に対して部隊間で共同対処、交戦するためのシステムでございます。
 個々の装備品の性能を向上させずに実質的な戦力を増大させるということが可能となるものでございまして、平成二十七年度の予算において、イージスシステム搭載護衛艦一隻の建造に加えて、調達コストの低減を図るために二隻目のイージスシステムの調達に着手することといたしておりまして、御指摘のCECにつきましては、当護衛艦に装備をするということといたしております。
畑野委員 予算、額を教えてください。
黒江政府参考人 お尋ねのCECにつきましては、イージスシステム搭載護衛艦一隻当たり十四億円ということでございまして、平成二十七年度の予算のイージスシステムの調達額、千六百八十億円ございますけれども、そのうち二隻分で二十八億円ということでございます。
畑野委員 このCEC、共同交戦能力によって、米海軍のイージス艦と自衛隊のイージス艦との間で敵ミサイルの位置情報を共有することができるということでよろしいですか。
中谷国務大臣 このCECは、他の艦艇または航空機との間で射撃指揮に使用可能な精度の高い探知・追尾情報をリアルタイムで共有するシステムでございます。そのため、CECを搭載している米軍イージス艦と自衛隊のイージス艦との間での情報共有は可能でございます。
畑野委員 岸田外務大臣に伺いますが、米軍のイージス艦は、日本及び横須賀に何隻配備されていますか。
岸田国務大臣 我が国に配備されている米国のイージス艦は十隻であります。そして、全てが横須賀に配備されております。
畑野委員 それでは、少し確認をさせていただきたいんですが、この日本に配備されている米軍のイージス艦、これはCECは搭載しておりますか。
岸田国務大臣 米海軍の艦船の詳細について、我が国政府としてお答えする立場にはないことは御理解いただきたいと存じます。
 ただ、各種公開情報によりますと、CEC対応イージス艦は五隻とされていると承知をしております。
畑野委員 委員長、これも資料を請求したいと思います。こういうのも公開してください。
浜田委員長 理事会で協議します。
畑野委員 皆さんのお手元にカラーの資料を配らせていただいております。これはCECのシステム図であります。ノースロップ・グラマン社のホームページに載っているものです。お話があったように、イージス艦同士だけではなく、空母とも、そして航空機とも連携をするということで、図が載っているわけです。
 CECは米軍が運用しているシステムで、イージス艦や早期警戒機のセンサーの生データを互いに共有できるようにし、それぞれのデータを重ね合わせることによって、はるか遠方、広域の目標を精密に攻撃できる、そういうシステムだと言われております。
 まさにこの自衛隊のCECは、日米で共同運用することになるのではありませんか。確認です。
中谷国務大臣 米海軍においては、艦艇や航空機のCECの装備化が進められております。
 このCECというのは、射撃指揮に使用可能な精度の高い探知・追尾情報をリアルタイムで共有するシステムでございますが、CECに基づいて自動的に攻撃が行われるというわけではなくて、CECの情報に基づいて、攻撃方法の決定や攻撃事態への対応を米国独自に行うということになります。
 自衛隊につきましても、この所掌事務を遂行するために主体的に収集した情報を米軍に対して提供いたしたとしても、それが一般的な情報交換の一環としての情報提供である限り、米軍による武力の行使との関係で問題を生じるおそれがなく、憲法上の問題は生じないものと考えておりまして、自衛隊等につきましても、ミサイル防衛上、こういったCEC等につきましては今後検討してまいりたいというふうに思っております。
畑野委員 しかし、この三枚目の新聞報道によりますと、この共同交戦能力、CECと呼ばれる先端システムは、集団的自衛権行使を念頭に置いた体制整備の一環だとか、防衛省幹部は、集団的自衛権が行使できるようになってこそCECの能力を十分に生かすことができると述べたと言われているんですね。そういうことじゃありませんか。
中谷国務大臣 先ほどお話をいたしましたが、自衛隊がその所掌事務を遂行するために主体的に収集した情報を米軍に提供したとしても、それが一般的な情報交換の一環としての情報提供である限り、米軍による武力行使との関係で問題を生じるおそれはなく、憲法上の問題はないと考えております。
畑野委員 答えになっていないわけですね。
 それで、防衛省は、二〇一五年予算で米側から早期警戒機E2Dの導入も計画している。これにもCEC、共同交戦能力が搭載されているということなんですね。自衛隊のE2DにもCEC、共同交戦能力が今後搭載されるんじゃありませんか。
黒江政府参考人 平成二十七年度予算において要求をいたしておりますE2D一機の調達につきましては、当該機にCECを装備するという計画はございません。
畑野委員 しかし、イージス艦も前はなかったわけですね。それで、今回CECを搭載する。
 こういうふうに、どんどんなし崩しで進められるということじゃありませんか。集団的自衛権の行使ということと一体にということです。
 私は、こうしたもとで自衛隊法九十五条の二はどのように運用されるのか、米国の要請に基づいて米軍の武器等防護の任務を持つ自衛隊のイージス艦が行う米艦防護について、次に質問を進めていきたいと思います。
 平時において公海上で米軍と自衛隊のイージス艦が警戒監視活動を行っている場合に、何らかの要因で米艦に向かってくるミサイルを自衛隊のイージス艦が迎撃する、そういうことが可能になるということですか。
黒江政府参考人 今先生がお引きになられました例でいいますと、平時において警戒監視活動を日本の自衛隊と米軍の艦艇とが行っておるということでございまして、それが九十五条の二の条文に言います我が国の防衛に資する活動であるということであろうと思います。そういったものを現に自衛隊と連携して行っているということであれば、大臣がそれについて必要であるという御判断をなされれば、そういったことで九十五条の二というものを適用するという可能性はございます。
    〔委員長退席、御法川委員長代理着席〕
畑野委員 大臣、そういうことでよろしいですか。
中谷国務大臣 はい、そのとおりでございます。
 武力紛争が発生していない場合、またこういった状況において、この九十五条の二というのはそういう判断をしないということでございます。
畑野委員 九十五条の二による米艦防護で、武器を使用するというふうに法案に書いております。
 それでは、イージス艦による武器の使用というのはミサイルの迎撃以外に考えられないんですが、そういうことですか。
黒江政府参考人 今引かれました例がイージス艦ということでございますれば、そういう可能性というのはございます。
 他方、九十五条の二につきましては、必ずしもイージス艦を使うということが所与の前提になっているわけではないというのは御案内のとおりでございます。
畑野委員 九十五条の二による米艦防護は、重要影響事態の際、互いに後方支援活動を行っている部隊同士で防護する場合もあるというふうに答弁をされております。
 それで、伺いますけれども、米軍の艦船と自衛隊のイージス艦が共同で行動している場合に部隊同士で防護する、その際の武器の使用は、ミサイルの迎撃、火器の使用も含むわけですね。
    〔御法川委員長代理退席、委員長着席〕
中谷国務大臣 重要影響事態となる場合は、既に武力紛争が発生している場合と、武力紛争が発生していない、例えば差し迫っている場合等が考えられますが、既に武力紛争が発生している重要影響事態の場合は、武力紛争に対処している米軍等の部隊に対する侵害行為は米国等に対する武力攻撃の一環として行われる可能性が高いと考えられるために、防衛大臣が、新設する自衛隊法九十五条の二によって当該部隊の武器等の警護を行うという判断をすることは想定されておりません。
 また、武力紛争が発生していないときの重要影響事態については、本条により、自衛隊と連携して補給、輸送等を行っている米軍等の部隊の武器等を警護することは考えられますけれども、警護の実施に先立って、防衛大臣において、戦闘行為が行われるおそれを含む周囲の情勢、また米軍等の部隊の能力等を踏まえ、警護を行う必要性については慎重に判断をしてまいる所存でございます。
畑野委員 慎重にと言いますが、では、ミサイルの迎撃、火器の使用も含まれることもあり得るということですか。
黒江政府参考人 先生お尋ねの趣旨が、どのような形で防護を行うのか、要するに武器の使用の態様ということをもしお問い合わせになっているのであれば、それは火器の使用でありますとかミサイルの使用といったものは当然考えられるわけでございます。
 他方、先ほど防衛大臣がお答え申し上げましたのは、九十五条の二の条文上これは明示されておるわけでございますけれども、現に戦闘行為が行われている現場でこれは行わないということが明示されておりますので、その条文、すなわち我々が戦闘行為を行うことを避けるということを徹底することを申し上げたということでございます。
畑野委員 それでは、九十五条の二による米艦防護と、存立危機事態のもとでの米艦防護と、自衛隊のイージス艦が行う行動はどこが違うことになりますか。どちらの場合も、米軍の指揮中枢艦のネットワークのもとで、米艦に向かってくるミサイルを迎撃するということではないでしょうか。
黒江政府参考人 この点につきましても、以前にこの委員会でも御議論になった点であろうと思いますけれども、九十五条の二の規定によります武器等の防護といいますものは、現行の九十五条の武器等防護、自衛隊の武器等防護の考え方と同じでございます。
 また、先ほど御紹介いたしましたように、戦闘行動が行われている現場ではこの条文によって守るということは考えないということが条文上明らかになっておるわけでございます。しかも、九十五条と同様、極めて限定的な要件のもとで行うということでございます。
 他方、存立危機事態において米艦を防護するといいますものは、これは自衛権の発動による武力の行使でございますので、根本的に九十五条の二あるいは九十五条といった条文による武器使用とは異なる対応になります。
畑野委員 現象面としては同じだということだと思います。
 自衛隊法九十五条の二に関して、先日、七月一日の参考人質疑で柳沢協二元内閣官房副長官補は、共同作戦で行動する軍隊相互のアセット防護については、より広域の脅威情報を持っている者からの情報に基づいて、そしてトータルとしてアセット防護し合うわけですから、そこには、指揮中枢艦となるような船のネットワーク上のまさに統制に従って反撃の武器を使用するということが求められる、そういうネットワークの中に平時から自衛隊も入っていくというふうに述べております。
 結局、米軍の武器防護ということで、米艦防護の任務に当たる自衛隊イージス艦は、ブルーリッジという指揮中枢艦の統制するネットワークのもとに平時から組み込まれるということじゃありませんか。
中谷国務大臣 しっかりと法律に従って対応していくわけでございまして、そういう意味においても正確な情報、迅速な情報はより必要になってくると認識しております。
畑野委員 平時、そして重要影響事態と、九十五条の二で米艦防護、すなわち米空母や米イージス艦の防護を行い、米軍と相手国の武力紛争の事態が進展し、日本政府が存立危機事態と判断すればその時点で米艦防護の根拠は切りかわる、自衛隊は武器の使用から武力の行使に発展する。法律上の根拠は変わっても自衛隊のイージス艦は切れ目なく米艦防護を行う、まさに日米統合部隊がつくられるということじゃありませんか。
 私は最後に、九十五条の二についてもう一つ聞きたいんです。
 大臣は、九十五条の二の運用は現行九十五条と全く同じだと答弁されています。そこで、九十五条の行使の要件は米軍の武器等防護にも適用されるということになるわけですね。
 それで、お配りしました資料の四枚目、一九九九年四月二十三日の政府文書、「自衛隊法第九十五条に規定する武器の使用について」でございますけれども、六月二十二日の参考人質疑で宮崎礼壹元内閣法制局長官は、米側に事前の回避義務、事後追撃禁止の条件を約束させるという前提でなければ、自衛隊による米軍の武器等防護は容易に違憲の武力行使に至るおそれがあるというふうに指摘しております。
 米側に、宮崎元長官が指摘したような担保はとりますか。
中谷国務大臣 そもそも、改正の後の自衛隊法九十五条の二において現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除くと規定することによって、自衛官の行為が米軍等による武力の行使と一体化をしないということを担保するとともに、国または国に準ずる組織による戦闘行為に対処して武器を使用することがないようにしております。
 これによりまして、本条によって自衛隊が武力の行使に及ぶことがなく、また本条による武器の使用を契機に戦闘行為に発展することもないようにいたしておりまして、本条による武器使用によって違憲の武力行使に至るということはないものと考えております。
畑野委員 米側とこれからどういうやりとりをするかは法案が成立してから行う、何の担保にもならないじゃありませんか。
 まさに憲法違反、こうした法案、戦争法案は撤回をして廃案にすべきだということを強く求めて、委員長、質問を終わります。