第189回国会 2015年3月13日本会議 
 

2015年度予算三案 反対討論

畑野君枝君 私は、日本共産党を代表して、二〇一五年度予算三案に反対する討論を行います。(拍手)
 第一に、二〇一五年度政府予算案は、昨年の消費税増税による景気の悪化で国民生活が深刻な影響を受けているにもかかわらず、社会保障を一層削減し、その一方で、大企業を優遇する減税と軍事費の拡大を推し進め、国民生活を犠牲にする予算となっているからです。
 円安で史上最高の利益を上げている大企業に対して、法人実効税率を二年間で三・二九%引き下げ、一・六兆円もの減税と研究開発減税等の優遇減税を進めようとしています。これでは、大企業の巨大な内部留保をさらにふやすだけではありませんか。
 しかも、総理は、国民の家計や景気がどういう状態であれ、二〇一七年に消費税率を一〇%へ引き上げるとしています。国民の生活を無視した暴挙と言わなければなりません。消費税率一〇%の引き上げをきっぱり中止し、国民本位の経済政策に転換すべきです。
 今必要なことは、雇用の七割を支える中小企業に対して、社会保険料の事業主負担分への財政支援を行い、最低賃金を抜本的に引き上げるなど、国民の懐を直接暖める政策です。
 第二に、社会保障について、国民負担増と給付額の削減という全面改悪を推し進めるものだからです。
 消費税増税は社会保障の充実のためといいながら、昨年の骨太方針で、社会保障予算の自然増をばっさり削減する方針を打ち出しました。
 このもとで、来年度予算案は、マクロ経済スライドの発動による年金削減、高齢者医療の窓口負担増、介護報酬の大幅削減、生活保護の連続削減まで行おうとしています。社会保障の大改悪の中止を強く求めます。
 雇用はどうでしょうか。全雇用者に占める非正規雇用者の割合は、二〇一三年の三六・七%から、二〇一四年には三七・四%にふえ、直近の昨年十二月の数字では三八%にまでふえています。非正規労働者を拡大し、低賃金と長時間労働の蔓延を招き、格差を拡大してきた安倍内閣の責任は重大です。
 にもかかわらず、正社員ゼロに道を開く労働者派遣法改悪、過労死と長時間労働を加速させる残業代ゼロ法案など、労働法制の大改悪を行うことなど、断じて認めることはできません。
 残業を月四十五時間に制限する大臣告示を法制化するなど、長時間労働の是正こそ行うべきです。
 第三に、教育予算、子育て対策も不十分です。
 少人数学級は、保護者、教育関係者、国民の長年にわたる願いです。ところが、予算案は、公立小中学校の教職員定数を二年連続で純減し、三十五人学級は、法律では小学校一年生でとまったままです。
 安倍総理は、予算委員会で、三十五人学級の実現に向けて鋭意努力していきたいと答弁しました。子供たち一人一人に行き届いた教育をするため、今こそ全学年にわたる三十五人学級を早期に実現すべきです。
 子育て対策、子供の貧困対策は急務です。子供の医療費無料化を国の制度とし、認可保育所を増設し、保育料や幼稚園授業料の減免、児童手当の十八歳までの拡大など、子育てに係る経済的負担の軽減を、国の責任で図ることを強く求めます。
 第四に、東日本大震災から四年たちましたが、いまだに二十三万人にも及ぶ人々が避難生活を強いられ、震災を原因とする関連死は三千人を超えました。
 こうした中で、復興事業に対する被災地の負担を求めようとする安倍内閣の動きは、許されるものではありません。急ぐべきは、被災者生活再建支援金を五百万円へ引き上げること、そして、住宅となりわい、地域社会の復興に国が最後まで責任を負うことです。
 原発事故は、収束どころか、原因究明もされていません。汚染水の漏出事故や労働者の死傷事故が相次ぐなど、事態はむしろ深刻化しています。今なお、多くの方々が苦しんでいるもとで、原発再稼働などあり得ません。
 国は、東電の賠償打ち切りをやめさせ、事故原因の究明と事故収束、汚染水対策に全力を挙げるべきです。
 第五に、過去最高額の軍事費は、安倍政権が進める戦争する国づくりを具体化するものです。
 集団的自衛権行使容認の閣議決定と一体で、自衛隊を海外派兵型軍隊につくりかえようとしていることは極めて重大です。垂直離着陸機オスプレイ、水陸両用車両などの導入は、日本版海兵隊の創設を進めるものにほかなりません。F35ステルス戦闘機、無人偵察機、イージス艦などの軍備拡大とあわせ、周辺諸国との緊張を高め、東アジアの平和環境づくりに逆行するものです。県営佐賀空港をオスプレイの拠点基地化する計画の白紙撤回を求めます。
 沖縄・辺野古への米軍新基地建設反対の民意は、昨年の県知事選挙と総選挙を通じて明確に示されました。沖縄県民の意思を一顧だにせず、問答無用で基地建設を強行することは、断じて許されません。昨日再開した海底ボーリング調査は、直ちに中止すべきです。
 辺野古新基地建設の撤回と普天間基地の閉鎖、撤去を強く求めるものです。
 最後に、政治と金の問題が起きるたびに、政治家は国民に疑惑を持たれてはならない、大もとである企業・団体献金を禁止しようという議論が行われてきました。
 ところが、二十年前の政治改革で、企業・団体献金は、政治家個人に対しては禁止されましたが、政治家が支部長を務める政党支部への献金と政治資金パーティーの形で温存されました。この二つの抜け道のもとで、二〇一三年の企業・団体献金の総額は二百五十億円に上ります。
 また、政党助成金は、企業・団体献金を禁止するとして導入され、毎年三百二十億円もの税金が政党に配分され、政党運営資金の六割、七割を税金に依存する実態を生み出しています。
 今こそ、政治腐敗の根源である企業・団体献金を全面禁止し、政党助成制度の廃止に踏み出すべきことを強く主張いたします。
 以上をもって、日本共産党を代表しての私の反対討論を終わります。(拍手)