2017年3月31日(金)
文部科学省が31日付の官報で、小中学校の新学習指導要領と新幼稚園教育要領を告示するにあたり、日本共産党国会議員団の畑野君枝文部科学部会長が談話を発表しました。
一、改訂された小中学校の学習指導要領と幼稚園教育要領は、2006年の教育基本法改悪で定めた「愛国心」などの「教育目標」にそって、本格的に子どもの学習を統制しようとするものです。幼稚園でも「君が代」を教えさせようとするなど安倍政権の反動的姿勢を色濃く反映したものです。
一、とくに学習指導要領等がはじめて子どもが身につけるべき「資質・能力」を規定し、その達成を求めたことは、人格そのものへの国家統制につながる重大な問題です。学習を通じて子どもの人間性や能力をどう育むかは国民が考えることであり、国家が立ち入るべきではありません。「資質・能力」の効率的達成のために教育方法や評価方法を詳細に記述していることも、大綱的基準である学習指導要領として逸脱です。
一、学習指導要領は「主体的・対話的で深い学び」を強調しましたが、各地で特定の型の押しつけとなり混乱を招いています。暗記型でない豊かな学びは重要です。そのためには、授業準備もできないような教員の多忙化を解消し、全国学力テストによる点数競争や授業の画一化をやめる必要があります。条件整備と教育現場の自主性の尊重を国に強く求めます。
一、授業時数が学校週6日制の時期とまったく同じになり子どもの負担が限界に達しているもとで、漢字数や英単語数など学習内容が増え、「つめこみ」が強まることも深刻です。多くの子どもが授業から取り残され、塾依存が強まり、教育格差をさらに広げかねません。すべての子どもが大事な事項をよく分かるまでじっくり学べるよう、教員に学習内容の精選などの裁量を保障すべきです。
一、小学校英語が財界などの要求にそって教科化されましたが、多くの専門家の言う通り、早期教育が有効だという根拠はありません。しかも英語教育の専門知識のない学級担任に任せることはあまりに無責任です。早期の見直しを求めます。
一、憲法は、行政権力に教育内容への介入の抑制を求め、学校・教員の自主性を保障しています。その立場から、学習指導要領等に基づく過度の統制を許さず、子どもたちに豊かな学びと成長を保障するための国民的な共同をよびかけます。