女性労働者7人が解雇撤回等を求めて闘う裁判の被告・資生堂が、原告等の復帰先である鎌倉工場を閉鎖しようとしています。原告や、資生堂争議支援共闘会議のもとには、驚きや不安の声が寄せられています。
〝労働者や地域が犠牲に〟
1通のメールで
労働者には、1通のメールで工場の閉鎖が知らされました。
メールは「本日(1月31日)に行なわれました取締役会において、大変残念ながら2015年3月末を以って鎌倉工場が閉鎖されることが決定され、15時30分に対外発表が行なわれました」として、詳細は翌2月1日に説明する、との内容でした。
支援共闘会議は、2月に2度、労働相談会を開催。複数の労働者から「次の仕事が見つかるか心配です」「将来が不安だ」などの相談がありました。
また、全労連傘下の労働組合への相談や加入を妨害する行為があったとの訴えも―。
原告が所属する全労連・全国一般労働組合は2月28日、同社に対し、妨害行為に抗議し、繰り返さない様申し入れました。しかし、同社は数日後、「申し入れ書に記載されているような行為はなかった」との回答を送付してきました。
雇用守れと宣伝
資生堂は、工場閉鎖の理由に、国内販売の低迷や中国事業の失速による事業環境の悪化をあげています。
しかし、工場閉鎖に伴う特別損失の60億円を除けば、同社の13年度純利益は165億円。11年度、12年度をともに上回る額です。また、2000億円を超える内部留保を溜め込み、原告等を解雇した09年に34円から50円に増額した株主配当金(総額約200億円)もそのままです。
支援共闘会議や原告等は、「工場閉鎖は、さらなる利益追求のために労働者や地域経済を犠牲にするものだ」と批判。閉鎖に反対し、約700人の労働者の雇用に責任を果たすよう求めて、毎週定例の宣伝行動を続けています。労働者への匿名アンケートにも取組む予定です。
3月28日には、工場近くの公園で緊急集会を開き、約150人でデモ行進しました。日本共産党市議団と、はたの君江参院神奈川選挙区予定者も参加し、原告等とともに「資生堂は社会的責任を果たせ」と訴えました。
「職場復帰を」
同社は「コーポレートメッセージ」として、「1瞬も 1生も 美しく」と掲げ、ホームページで「社会に対しても責任を果たして生きます。社会と、お客様と、そして全ての人が、『1瞬も 1生も 美しく』あるように」とうたっています。また、米国シンクタンクから「世界で最も倫理的な企業」として選出されたとして、国や地域の法令を順守するともコメントしています。
池田和代原告団長は言います。「資生堂は、解雇からずっと辛い思いをしてきた私たちから、今度は、戻る場所を奪おうとしています。言うこととやることが、全く逆。私たちは、労働者をモノ扱いにする資生堂を許さず、工場閉鎖撤回と職場復帰の全面勝利を目指して、たたかいます」