大手自動車メーカー、マツダの防府工場(山口県防府市)を「派遣切り」されたユニオン山口の15人が正社員としての地位確認などを求めたマツダ訴訟の判決が13日、山口地裁(山本善彦裁判長)でありました。労組側の主張をほぼ全面的に認め、13人について正社員として認めました。(3月14日付赤旗より)

マツダは最大3年とされている派遣制限期間を逃れるために、派遣社員を「サポート社員」(クーリング期間)としていったん直接雇用したのち再び派遣社員に戻していました。

マツダ派遣切り裁判 (写真)勝利判決を喜びあうマツダ派遣切り裁判の原告や支持者たち=13日、山口市

判決では、マツダが常用雇用の代替としてはならないという労働者派遣法の根幹に反して、派遣社員を使って労働需要の変動に対応していたと認定。「サポート社員」について「方便として導入」したものであり、労働者派遣法の違反が「組織的かつ大々的に」、マツダと派遣会社の協同で行われていたとのべ、両社の派遣契約は無効だと断罪。労働者派遣法違反に罰則規定はないが、マツダの責任を不問にすることはできないとして、マツダと原告の間に黙示の労働契約の成立が認められるとしています。なお「サポート社員」を経験していない原告2人は正社員と認められませんでした。

勝利判決に原告らは目に涙を浮かべ喜びあいました。判決後の報告集会で弁護団長の内山新吾弁護士は「全体として原告側の主張を全面的に認める画期的な判決だ」と評価しました。

この問題で日本共産党の志位和夫委員長は、2009年2月の衆院予算委員会で、マツダが派遣可能期間3年を超えて派遣労働者を働かせるため、3カ月と1日だけ「サポート社員」という期間社員に切り替えるという「クーリング期間」の偽装を告発し、「派遣切り」を追及しました。

仁比聡平参院議員(当時)も08年12月、マツダによる違法な雇用実態を国会で告発しています。

「画期的な判決」 原告団・弁護団など

原告団と弁護団、共闘会議は同日、声明を発表して、判決の意義を次のように指摘しました。

「(2009年12月の)松下PDP(プラズマディスプレイ)事件最高裁判決以降、おそらく全国で初めて派遣労働者と派遣先との間の黙示の労働契約を正面から認めた画期的な判決である。非正規労働者の置かれた不安定な地位の抜本的な改善へ向けて山口地裁は大きな一歩を踏み出し、その職責をまっとうした。判決は他の同種裁判や労働者派遣法の抜本的な解決に向けた大きな力となる」