神奈川県の米海軍厚木基地周辺で、米空母艦載機の爆音被害が深刻になっています。昨年1年間で、県と周辺9市に寄せられた苦情は過去最高になりました。米軍基地の再編が、住民の反対運動で行き詰まり、艦載機の岩国基地への移転が先送りになる中、「これ以上の爆音被害はごめんだ」と怒りが広がっています。(2月2日付赤旗より)
厚木基地では、昨年早々から艦載機が飛行訓練をし、爆音を響かせました。
自治体に殺到
2012年に県と周辺市に寄せられた苦情は、7022件。過去最高の5677件(02年)を大きく上回りました。昨年、最も苦情が多かったのは、原子力空母GWが作戦に出港した5月の3825件でした。
ビルの工事現場レベル●夜10時過ぎでも●授業が聞こえない
米軍は同月、自治体や平和団体、日本共産党などの中止要請を無視して、同基地での夜間を含む地上離着陸訓練(FCLP)を初めて強行しました。その後、洋上で空母の甲板に実際に着艦する着艦資格取得訓練を終えた艦載機が深夜に同基地に戻り、住民の安眠を妨げました。
大和市が同基地滑走路北約1キロの住宅地で実施している騒音測定は同月、ビル工事現場の騒音(120デシベル)や車のクラクションの騒音(110デシベル)に匹敵する117デシベルを記録。「授業が聞こえない」「小さな子供が怖がっている」「病気の身体にこたえる」などの訴えが自治体に殺到しました。
12年は防衛本省など国の機関に4117件の抗議も有り、県などへの苦情と合わせると、計1万1139件になります。
基地周辺住民は、国に米軍機などの飛行差し止めと損害賠償を求める第四次厚木爆音訴訟を横浜地裁で闘っています。
苦しみの根源
原告の1人で、大和市に住む矢澤洋二さんは「“せめて三が日くらいは静かにして欲しい”との願いすら踏みにじられました。夜中10時を過ぎても飛ぶ事があります。テレビの音や電話の声も聞こえません。苦しみの根源になっている日米安保条約をなくし、平和条約を結んで欲しい」と訴えます。
日米両政府は、米軍再編のロードマップで、同基地の空母艦載機を14年までに厚木基地から岩国基地に移転する計画でした。国は1月24日、県などに移転が3年遅れ、17年頃になる見込みと説明。爆音被害の「たらいまわし」が思惑通りに進んでいない実態が浮き彫りになりました。
神奈川では、オスプレイが厚木基地を使用する可能性について、多くの住民が不安を持っています。
日本共産党の、はたの君枝参院神奈川選挙区予定者は「住民の願いは爆音のたらいまわしでも、オスプレイの厚木基地の使用でもありません。爆音被害の大本である空母の母港化撤回と、オスプレイの基地使用を許さない闘いを住民と強めていきたい」と話しています。