日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)は6日までに、主要な大企業が抱える内部留保267兆円(全労連・労働総研調べ)を活用すれば、大幅な雇用増、月1万円の賃上げが可能だとする試算を発表しました。(1月7日付赤旗より転載)

「2013年国民春闘白書」(学習の友社)に掲載された主要企業・連結内部留保一覧にもとづいて二つのケースで試算しました。一つは、内部留保の1%を活用した場合、雇用がどれだけ増えるか。もう一つは、非正規雇用を含む全労働者に月1万円の賃上げをするために内部留保を何%取り崩せばいいのかです。

1%で各社大幅雇用増

雇用増についてみると、内部留保の1%を活用した場合、主要企業132社のうち81社でそれぞれ1000人を超える雇用(年収が300万円、1年間の雇用)が可能だとしています。このうちキヤノンやホンダなど8社では、それぞれ1万人以上の雇用が可能です。

トヨタ自動車の内部留保額は14兆1684億円。この1%を活用すれば、4万7000人の雇用が生まれます。大規模なリストラを実施しているパナソニックの内部留保額は3兆3043億円、ソニーは2兆6249億円で、この一部を取り崩せばリストラを回避できるとしています。

賃上げについてはどうでしょうか。

非正規雇用労働者数を明らかにしている92社のうち、78社で内部留保の3%未満を取り崩すと、正規雇用・非正規雇用を合わせて月1万円の賃上げが可能になるとしています。

トヨタ自動車の正規雇用労働者は32万5000人、非正規雇用労働者は7万5000人。全員に月1万円の賃上げをするには、内部留保の0・43%を取り崩すだけです。

日本の「デフレ不況」の一番の原因は、労働者に対する賃下げと、正規雇用を非正規雇用におきかえるなどの雇用破壊にあります。

国公労連は、内部留保の一部を社会的に還元し、雇用増、賃上げをすることは、企業の社会的責任(CSR)だとしています。

1月7日主要企業内部留保についての試算