日本経済は長引く不況から抜け出せないまま新年を迎えました。「景気と暮らしをなんとかよくしてほしい」「安倍政権の経済政策に任せて大丈夫か」―。国民の切実な願いに政治がどう応えるかが問われています。大企業の利益を優先させて国民の暮らしを犠牲にしてきた日本経済の根本的転換が求められます。(1月4日付赤旗より)

「アベノミクス」の不安

4日関内駅はたの 4日、労働者の出勤に合わせて経済政策を述べる、はたの氏。

日本経済は経済成長が止まったままで物価の下落も続く、「デフレ不況」と呼ばれる状態を長く続けています。東日本大震災のあと一時的には“好転”も伝えられましたが、昨年夏以降はさらに落ち込み、年末に発表された政府の“ミニ経済白書”も景気の悪化を認めるありさまです。

長期不況の原因は、大企業が賃金や雇用を抑えているため、内需の大もとである国民の消費が低迷していることです。消費にお金が回らないから売り上げが伸びず、企業の経営も苦しくなるという悪循環です。頼みの輸出も、欧米向けや中国向けの落ち込みが目立ってきました。

年末に発足した安倍晋三政権は、「アベノミクス」と呼ばれる独特の経済政策で、大胆な「金融緩和」と公共事業の拡大で「強い経済」を取り戻すといいます。しかし国民の消費が回復しなければ生産を拡大しても売れないので、金融を緩和してもその効果は出ません。国債増発で不要不急の公共事業を拡大しても、喜ぶのはゼネコンだけで財政は悪化します。

そのうえ、2014年4月からは消費税の増税が待ち構えています。消費税の増税を中止し、賃上げと雇用の拡大で国民の消費を回復させない限り、経済の再生は実現できません。

日本共産党は、消費税に頼らず社会保障を充実するとともに、国民の所得を増やし、暮らしを立て直して、経済を再生することを提案してきました。大企業や大資産家に能力に応じて負担してもらうことや、大企業がため込んだ内部留保を賃上げや雇用の拡大に還元させるというのは、世界でも日本でも当たり前の考え方です。

すべての産業で2%の賃上げをしても必要な資金は約5兆円です。大企業の内部留保260兆円の2%分にすぎません。最低賃金の引き上げや中小企業の下請け単価の適正化、「正社員が当たり前」の社会にするなど、人間らしく働けるルールづくりも必要です。電機大企業の13万人にのぼる大リストラなど、雇用破壊に歯止めをかけることも重要です。賃上げや雇用の拡大を実現し、国民の消費を高めるために、政府は責任を持って対応すべきです。

政府の責任で改善を

フランスでは政府が大企業に乗り込み工場閉鎖や人員削減の修正を求めました。ドイツなど欧米諸国や東南アジアの国々でも最低賃金が引き上げられました。政府ができることはたくさんあります。

ILO(国際労働機関)の「世界賃金報告」は「賃金カット競争」が「『底辺への競争』に結びつき総需要を冷え込ませる」と指摘しています。賃下げを放置してきた日本政府の責任は重大です。

賃上げや雇用の拡大を実現し暮らしを立て直すうえでも、財界本位の政治を正すことが不可欠です。日本共産党はその実現へ国民とともに力を尽くす決意です。