NECの1万人リストラで、40代の男性社員が計11回にも及ぶ個人面談の一問一答をメモか
ら再現し、退職を強要されたと告発しました。面談室は会話が漏れないよう、通気孔を鉄板でふさ
ぐ細工がされていたことも指摘。「会社のひきょうなやり方には屈したくない」と職場に残ってたた
かい続けています。(10月9日付赤旗より転載)
男性に対する面談が始まったのは5月下旬。「希望退職」の制度説明のはずでしたが、いきなり退職を促されました。
会議室の通気孔は、厚さ約1センチの鉄板で覆われていました。上司は「こんな話、外に聞かれたらイヤでしょ」と説明しました。男性は「希望退職の説明なら鉄板なんていらない。漏れたらまずい話をするんだろう」と身構え、ノートを広げてメモをとりました。
男性は初回の面談で「辞めません」と答えました。しかし、上司は「(退職制度の)理解が足りない」などと言いがかりをつけ、次回も面談すると通告。1時間前後の面談がほぼ1週間おきに行われ、早期退職の募集期間が終わる7月末まで続きました。
「精神的に苦しいので、面談はやめてください」。男性は2回目の面談以降、心身への負担も大きい面談をやめるよう求めました。ところが、上司は取り合わず、「業務を拒否した」とどう喝。面談を続ける理由を問う男性に対し、「今の職場で今まで通りの業務をお願いするのは難しい」と100回以上も繰り返し、自ら退職を選ぶよう迫りました。
3回目の面談後、疲れ果てた男性は初めて心療内科を受診。不安や不眠の症状がある適応障害と診断されました。病気はこの面談が原因だと上司に伝えても、「会社からは(面談を)何度やっても良いと言われている。法的にも問題ない」と無視されました。
11回目の面談で、上司が指示を仰いでいた上役が現れ、「(職場に)残れないよ。残れると思った?」などと男性を追い詰めました。男性は思わず涙があふれ、「病気にまでさせておいて、さらに追い打ちをかけるんですか。もう自殺するしかない」と叫びました。
結局、NECの早期退職(9月末退職)には2393人が応じました。同じ部署で、3回以上の面談を受けた労働者はこの男性以外、退職に追い込まれました。
男性はこれまで、職場の連合労組を頼って計5回相談しましたが、同労組の対応は助言にとどまりました。
男性はインターネットを通じて電機・情報ユニオンを知りました。連合労組に話をした上でユニオンに加入。ユニオンとともにたたかい、退職強要ははね返しました。しかし、今も続くリストラ―。残った労働者を守るためにも頑張るという男性は、語ります。「要求はただひとつ。今の職場で働き続けることです」