国土交通省は14日、乗客の転落防止のため鉄道駅に設置するホームドアについて、ホームの大規模な補強工事を必要としない軽量タイプの導入を進める方針を決めました。メーカーや鉄道会社と協力し、2012年度内にも東京近郊の3駅程度で実証実験を開始します。
国交省は、昨年1月にJR目白駅で起きた視覚障害者の転落事故をきっかけに、1日の利用者が10万人以上の駅へのホームドア設置に取り組んでいます。ただ、ホームドアの重みに耐えられるようホーム全体の大規模な補強工事が必要となる為、設置が進まないのが現状。同省によると、利用者10万人以上の全国235駅のうち、設置済みの駅は今年3月末時点で32駅にとどまっています。
メーカー各社が開発中の新しいホームドアは、扉の代わりにバーやロープを使ってホームドアを軽量化し、列車の到着時にはこれらを上昇させて乗客が乗り降りできるようにするタイプ。ホームの改修工事を必要とせず、コストの大幅な削減が可能となります。1年程度かけて実施する実証実験では、安全性などを中心に導入の適否を検討する予定です。
実証実験ではこのほか、例えば、3ドア車両と4ドア車両が同じ路線を走る場合、扉の位置が異なる為にホームドアを設置できないといった問題がある為、車両に合わせて移動するタイプの扉についても検証します。(8月15日付赤旗より転載)