日本共産党の田村智子参議院議員は6日、厚生労働省に対して、川崎市の川崎社会保険病院売却問題で診療や健診事業など同病院の機能維持が困難になっているとして、譲渡を進めた厚労省の責任で事態を打開するよう求める申し入れをしました。
厚労省は昨年末、同病院を民間売却すると突然発表しました。医療法人社団葵会が落札しましたが、大学病院の医師の引き揚げや医療従事者の退職が相次ぎ、救急搬送の停止、診療の縮小を余儀なくされています。
田村氏は「こうした事態を想定した売却発表だったのか。しわ寄せが現場と地域住民に集中している」と国の対応を批判し、「あらゆる手だてを尽くして医療機能の確保に努め、混乱の原因と責任を明らかにして職員や地域住民に説明すべきだ」と迫りました。
同病院支援対策会議を構成する川崎労連の菅野明議長、福本一博事務局長は「売却に至る経過が国から説明されないまま、地域住民が置き去りにされている。譲渡後の職員の待遇が不明なのも問題だ。国は医療の提供・維持に責任を持つべきだ」「住民にとってなくてはならない病院の運営が困難になり、健康や命が危機的状況に直面している。住民が参加できる説明会を開いて欲しい」と要請しました。
厚労省の担当者は、売却手続きは適正だとしつつ「地域住民に心配や迷惑をかけているのは申し訳ない」と述べ、住民への説明をなるべく早く行うと約束しました。