首都直下地震の発生が懸念されるなか、千葉県革新懇(革新と正義のための千葉県の会)は23日、千葉市中央区の県教育会館で大震災とコンビナート防災を考えるシンポジウムを開き、約200人が参加しました。

 講演した濱田政則早稲田大学教授(工学博士)は、液状化や地盤が水平方向に移動する側方流動を起こしやすい長周期地震動を伴う地震が発生すれば、石油など臨海部に林立するタンクの内容物が海域に流出する恐れを指摘。タンク流出物が発火すれば東京湾の海上火災が発生し首都機能喪失の危険性があるとのべ、「現在のコンビナートの防災対策は、海域の問題が盲点になっている。1都2県(東京、神奈川、千葉)が共同し、国が支援することが重要だ」と話しました。

 パネリストの小松実日本共産党県議は、東日本大震災発生時のコスモ石油千葉製油所(市原市)での爆発・炎上に伴い、隣接するチッソ石油化学で劣化ウラン(放射性物質)保管倉庫の屋根が焼け落ちたことを指摘。「一歩間違えば新たな放射能汚染源になっていた」と強調しました。

 また小松氏は、安全対策や被害想定が企業任せ、自治体任せとなっている現状を問題視。「コンビナート防災に向け、住民と行政、専門家、企業が一体となって知恵を出し合う必要がある」と述べました。

 県消防課予防・石油コンビナート班の対馬進班長は、東日本大震災を受けた県の防災対策の修正方針を説明。液状化対策や津波対策、初動体制の強化策を示し「今後もコンビナートの防災対策の充実をはかっていきたい」と話しました。

 県革新懇の矢野吉宏代表世話人は、まとめの発言で「大災害が接近しているなか、首都圏規模での運動を構築する必要がある」と述べました。