2010年6月11日 日本共産党 はたの君枝
神奈川では、一昨年10月から今年6月までに失職する派遣や契約などの非正規労働者は、厚生労働省の調査でも、9,595人にのぼり、全国27万7,000人のうち、5番目に多い人数となっています。
企業が利益を上げるために、正社員が減らされ、非正規労働者が大量に活用されたあげく、不況を口実に契約を打ち切られ、仕事ばかりか住む場所もないような失業者が大量に作り出されました。県内では、いすゞ、日産、三菱ふそう、資生堂・アンフィニ、JFEスチール・共和物産などで解雇・雇い止めを許さず、正社員化を求めて労働者がたたかいつづけています。
ヨーロッパの主要国では、非正規労働者は1割前後なのに、日本では4割近くにのぼり、「契約更新のたびに、自分のホームレス姿が頭をよぎる」などの声が寄せられ、しかも多くが年収200万円以下のワーキングプアを強いられています。
正社員についても、自動車、電機などで、賃金カットによって「年収が100万円減った」「会社は減産というけれど、我が家は破産」など悲痛な声が広がり、ダブルワーク、トリプルワークする労働者も増えています。しかも人件費コスト切り下げのために成果主義賃金制度が導入され、常に成果を挙げるために長時間過密労働も余儀なくされ、また違法なサービス残業が横行しています。同時に将来の見通しが持てず、不採算部門の切捨てなどによる「選択と集中」で雇用も脅かされています。
こうした雇用破壊、賃金破壊が内需の柱である個人消費、家計に打撃を与え、日本経済の基盤を大本からやせ細らせる原因となっています。これにメスを入れなければ、日本経済の成長はありえません。
人間らしく働ける雇用と生活保障こそ、経済再建の道ILOやヨーロッパではすべての人々にディーセント・ワーク(人間らしい仕事)を保障することをめざしています。そして、働けば病気になっても年をとっても安心して暮らせる社会は21世紀には実現可能になったのだと意気高くとりくみを進めています。同時に持続可能な地球めざし、自然エネルギーなど分野での雇用の拡大に力を入れています。
ところが、日本では、世界で有数の経済大国でありながら、大企業が、正規労働者の非正規労働者への大量の置き換え、リストラと賃下げ、下請への単価買いたたきなどによって上げた利益を内部留保で230兆円も溜め込み、日本経済や労働者に還元していません。日本経済が停滞している状況を打破するためにも、大企業の内部留保を活用し、労働者にも還元させ、人間らしい働き方を実現させるとともに、日本経済の再建めざして、以下の内容を実現させようではありませんか。
そのために、アメリカととに財界・大企業にモノが言える政治をめざす日本共産党へのご支援を心から訴えるものです。
1.「人間らしく働けるルール」を確立する
- 雇用は正社員を原則とし、派遣法を抜本的に改正する。有期雇用についても合理的理由がある場合に限るよう法制化する。
- パート・有期労働者は労働時間が違うだけで、時間当たりの賃金等は均等にする。
- サービス残業の一掃(160万人雇用創出)、残業規制、有給休暇の完全取得(148万人雇用創出)などをすすめ、将来的には週35時間へ、労働時間を短縮し完全雇用をめざす。
神奈川では、サービス残業一掃で17万7千人、有給休暇の完全取得で8万6,000人、週労働40時間を5%減らすことで11万5千人の計37万8,000人の雇用拡大により、県内失業者23万3,000人を雇用することが可能。 - 長時間労働を規制し、メンタルヘルス障害など健康破壊を許さない。健康診断を強化する。
- 傷病休暇・手当てなどを改善し、有給休暇を完全消化できるようにする。
- 再就職の見通しのない解雇は認めない。
- 配転・出向などは本人と家族の同意を必要とし、拒否しても不利益処遇は認めない。
- 仕事と家庭が両立できるよう保育所整備など子育て支援、育児・介護休暇の充実。
- 雇用延長、公務員の再任用などは、年金全額支給年齢まで希望者全員に保障させる。
2.ナショナル・ミニマム(国民生活の最低保障)を確立する
- 最低賃金は、全国一律、生活保護を下回らない額(神奈川で時給1,430円)をめざし、当面、時給1,000円以上とする。
- それぞれの年齢においても標準的な家族構成での生活保護基準を下回らない額(35歳月額35万円)となるよう法制化し、その金額に達するようスキルアップができるシステムをつくる。
- 公契約法・条例の制定をすすめ、国や自治体関連の仕事をする労働者に、健康で文化的な最低限の生活がおくれる賃金を保障する。
- 健康保険の保険料、窓口負担の減免制度を充実させるとともに、窓口負担ゼロをめざし、当面早期に1割負担にする。
- 非正規労働者も含め、すべての労働者が傷病手当を得られるようにする。
- 雇用保険と生活保護制度を拡充するとともに利用しやすくし、失業しても健康で文化的な最低限の生活が保障されるようにする。
- 最低保障年金制度を早期に実現し、近い将来誰でも生活保護基準を上回る年金を受給できるようにする。保険料の減免制度を拡充する。
3.新しい雇用の創出と再就職支援に力を入れる
- 国と企業の責任で、自然エネルギーを活用する仕事など環境での雇用創出をすすめる。
- 保育、福祉、教育、防災分野などの施策を充実させ雇用の拡大をすすめ、介護・福祉などの低賃金労働にたいしては月4万円以上引き上げるため、特別の公費投入をおこなう。
- 小中学校の耐震化、耐震基準以下の住宅の補強や建て直しなどを大規模にすすめるなど、防災対策を抜本的に強化する。住宅リフォームへの助成制度や最低居住面積水準以下の住宅の改良、省エネ推進で仕事と雇用を拡大する。
- 職業訓練を充実・強化し、新しい分野の仕事に就けるようにする。
以上